Nobee谷口の撮影日記 / 第二章

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ワンダフルという番組からの依頼

かかる奴は「見ればわかる」(193ページ)

人差し指それなのに、なぜ、受けたのかって?

そりゃ簡単です(笑)。私が当時、無名の催眠術師だったからですよ。

「できない!」といえば、そこで終わりでしょう? 他の先生ができない内容だからこそ、そこに呼ばれたのではありませんか? 

他の先生が出来る内容であれば、私は最初からここに呼ばれていません。

番組からすれば一番困るのは映像が撮れないことです。丸損になりますからね(笑)。それなら少々、ギャラが高くなっても実績のある先生を呼びます。

そのほうが安全ですから。高い費用をかけてロケを行い、結局、満足の行く映像が撮れないなんて笑い話になりませんよ。

面白いとか変わった映像が撮れないならば、無名の、しかも新人で大阪に住み、呼び寄せる度に交通費のかかる私を呼ぶ必要なんてないでしょうね。

私を大阪からわざわざ呼んだ時点から何か裏がある(笑)とは最初から思っていました。私はそんなに大物ではありませんよ? 大手のプロダクションにでも所属する夕レントなら話は別ですけどね。

遠方から声がかかった時点で、何か不都合があったり、無理があるのはわかっていたことなんですよ。

話を聞いて「ちょっと困ったなぁ」とは思いましたよ? 思ったよりもハードルが高かったから。正直、そこまでのハードスケジュールだとは思っていなかったので。

ですが私は他の先生同様に「それではできない」とはいいませんでした。

なにしろ大阪からわざわざ打ち合わせに行ったのですから。また、そこで「できない」というなら、他の先生とまったく同じになってしまいます。

自分から自分を「たいしたことはない」といってしまうのと同じです。他の先生とは違うという実力や技術を証明をしに行ったのですから・・・。

ですから私は断るどころか逆に「私は催眠にかかる人は、通りがかりの人を見ただけでも見分けられます」と、いい切ってしまいました。

他の先生が「絶対にそんなことはできない」といっている中で、私だけが「できる」といい、更に踏み込んで「かかる奴は、見ればわかるんだ」といいだしたわけです。

皆、驚いていました。

今考えると、恐い話ですね(笑)。

勝算はありましたよ。私も計算くらいはしますからね。自分がまったくできないとか不可能だ、と思っている内容は最初からいいません。デ夕ラメを言ってしまえばそれは後から自分の首を絞めることになります。

できる自信はあった。

私も過去に「誰にでも一瞬で催眠をかけられる!」などと自慢する先生に会ったことがあります。初期の頃は情報を探してありとあらゆる資料や専門家を名乗る人にお会いしました。

単なる仕込みだったりサクラだったりね。会場や店が変更になったら出来なかったりね。実際には「誰にでも」と「一瞬で」は両立しないことを確認しています。

それは不可能だと思います。その人も実際に「眼の前でやってくれ」できませんでした。過剰広告というか自分を大きく見せるためのハッタリで演出なのでしょう。

催眠を受け付けない人は、比率として全体の中には確かに存在します。ですから私は「どんな人にでも一瞬で」催眠がかけられるとは思ってないですし、これまでも自分でそういった主張をしたことはありません。流石にそれは無理だと思っています。

それが出来るなら催眠術ではなく超能力の領域でしょうね。

もしそれが出来るならば、人間の生活において殆どの不可能がなくなるかもしれません。私がその先生なら他人にその能力を見せるどころか公言することも一切しないでしょう。

黙っておいたほうが自分に都合がいいから。それを他人に話した時点で嘘っぽいです(笑)。政治家とか警察とか軍隊とか。宗教関係者なら喉から手が出るほど欲しがる技術でしょう。

あまりに異質な能力は人間には受け入れられません。迫害を受けるか、殺されますよ?

誤解しか生まないからです。少なくとも私は、今までにはそういった技術を自分で実際に見たり体験していませんから・・・。それはあり得ない、と思っています。

私は催眠にかかる人を私が雑踏の中から見分けることが可能で、そういった人になら野外や現地で短時間で催眠をかけるのも可能だ、と言ったに過ぎません。

同じように思うでしょう? 実際にはその二つには大きな隔りがあります。