コミュニティの心理学2

事前確認、checkをしてから判断 応用と実践

2017/12/14改訂
2001/09/01初稿

人間の「心」とか精神は、どこにあるのか?

円形 艶のあるハート アイコン大宝律令などの過去の制度に書かれている内容は1300年も前に書かれたとは思えないほど素晴らしいものです。下手をすれば現行の制度よりも一部は優れているのかもしれないですね。

これは凄いことです。

1300年も前の内容にもかかわらず、精神障害者に対する社会の応対方法から支援制度に到るまで詳しい記述があります。

社会的な弱者とか障害者に対して保護を加え、それを明文化してあるということは当時の社会(コミュニティ)の成熟度を指します。個々の生活がギリギリの状態では弱者の救済や保護は決して行われません。

正直、自分たちや家族が生き残るので精いっぱいでそれどころじゃないから。弱者の救済は「そのコミュニティ、社会の成熟度」つまり余力にも左右されるのです。

自然界において、何らかの状態で餌を取れなくなった個体は死ぬしかありません。一部の特殊な例を除いて保護はめったに加えられないのです。自然界では弱肉強食の掟の通り身体に障害を持つ者は先に食われ、生きていけなくなることがかなりの確率で起こります。

まして、それが手足とかではなく「脳」であったり、群れとしての統率行動のとれない個体であれば尚更でしょう。彼を庇うことは群れそのものの危険を意味します。

見捨てるほうが簡単です。厳しいようですが、弱った個体とか障害がある子どもを切り捨てることで他の子達や群れを守ります。都会に住んでる野良猫でも。生き残って成長できるのは30パーセントもありませんよ。その殆どがカラスに襲われたり車に轢かれたり餓死します。

人間社会のみが精神に障害を持つ人も社会の一員だと捉え、保護を加えます。また、何らかの事件を起こしても罪を減らし、罪を問わないでおこうとします。興味深いのは現在過去、西洋東洋の分け隔てなく、どの時代どの地域にも似通った共通の概念や考え方があるということですね。

本来、社会に多大な影響を与えかねない人、負担にしかならない存在を「心がここにないのだから」罪を問わない、社会全体や法律で保護しようといった考え方は人間特有なものです。

(宇宙とか異次元は知りませんが)地球上において、人間以外の動物で「心を保護しよう」とか「心がここにないから罪を減じよう」などと考える生物はいないでしょう。

では、その「人の心」とはいったい、どこにあるのでしょう?

それを突き詰めて考えれば、魂(たましい)などの概念に到ります。人間が「どこから生まれてどこに帰るのか?」にも等しい、生命の根幹とか人間そのものの行方を問う難しいテーマにぶつかってしまいます。

少なくとも人間は「心」がどこかにあって欲しいと望むものではあるようです。

自分達の世界とは別に保管場所というか戻るべき場所があって、人間という器の中に「いつか移される」とか戻ってくるとの意識があって、そのために「魂」とか「心の定まらない人」の罪は問わないでおこうとの慣習が生まれたのではないか?と推測します。

人間は遥かな昔から「心がどこにあるのか?」わからないからこそ、崇め(あがめ)、奉り、守ってきたのかもしれませんね。神とか来世、自然とも直結する概念なのかもしれないです。

死ねば天国や地獄に行くだとか、リインカーネィション(輪廻転生)だとか、様々な考え方と方向性を各種宗教団体や哲学者、科学者が論じてきましたが、未だに明確な解答は出ていません。

時折、見せる素晴らしい表現や特異な選択

山下清作品集 写真ここまで色々と解説を行ってきましたが、人間が精神に障害を持つ人を保護し、社会で補助してきた背景には、人間の持つ独特の倫理観、輪廻転生や「生と死」観「魂の行方(ゆくえ)」論争があります。

よくわからないものだから「心を持っていない」人とか、一見、異常に見える人にでも保護を加える。それが神の御心に叶うとか、自分たちの未来とか将来、社会にとって有益であるといった考え方が根底にあったのかもしれないですね。

未熟な私などは精神障害を持つ筈の人の行動を見れば、尚更、それ(人の心の動き、存在)が不思議に思います。大脳生理学者とか科学者とか医者なら、私とは違った見方をするでしょうが、私は基本的には心理学寄りであり催眠術師ですからね(笑)。

当然、人間の心とか被験者の表情や反応、動きのほうに興味はあります。

学校の勉強はまったく出来ないとか、受け答えがおかしい人もいるでしょう? 最近はタレントさんとかモデルさんにもいます。おそらくですが一昔前ならテレビ番組になど出れなかった人達でしょうね。面白いのは文化の多様化、社会が個性を重んじるようになったので、そういった人達の発言でも嫌悪感を持たなくなったことでしょうか?

明らかに発達障害とか脳の一部に障害があるのではないか? と疑われる人達もいます。ところが社会にとって迷惑ではない。一般人というか普通の人では絶対に答えられない解答とか言葉のチョイス、選択があります。それはやはり見てて凄いとか面白いと思いますし、刺激も受けますね。

私からすると赤ん坊が虚空をみつめてニコニコ笑っている姿と、どこか共通するものがあります。

私には見えない「何か?」とか「異質な存在」が見えているのではないか? と思ってしまう瞬間がある。普段はこっちをまっすぐ見て。普通にキャッキャ笑っている子が同じように虚空を見てそっくりな反応をする。「じいさんかばあさんでもそこに立ってるのか?」と思いますよ?

祖父母はどちらも故人ですが(笑)。先祖の霊がそこにいると言われれば信じてしまいそうです。

山下清さん(放浪の画家、裸の大将、とも呼ばれました)の絵なども感動させます。私のように、催眠とか心理学のようなちょっと変わった仕事に携わる者は、その素晴らしい出来栄えにとても不思議な感覚がします。おそらくは彼の絵を眺めた多くの人がそう感じたから今も残っているのでしょう。

小学生の頃、山下清さんの切り絵(ちぎり絵)を女性の担任教師にみせられ「この人は気違いなのよ。信じられる?」と言われ、凄い衝撃を受けた覚えがあります。

今では考えられませんが、当時の教師の発言です。クラスメート全員の目の前で堂々とキチガイだ、と言い放ちました(笑)。今のように厳しい時代ではなく、おおらかな時代だったんでしょうね。

今、教師が生徒の前で芸術作品を前に「製作者がキチガイ」などと発言すれば大変なことになりますよ? 裸の大将放浪記みたいなテレビドラマがヒットするよりも遥かな昔のお話です。

当時、子供だった私は彼(山下清)がどんな人かなんてことはわかりませんし知りません。知りませんが女教師によって差し出された絵が、美しい色彩であったことに感動しました。

確か花火の絵だったと思うのですが・・・。

人間社会が精神的な障害に対して保護を行う理由は様々でしょうが、人間だけがそういった「精神」つまり「心」とか「魂」に対して「肉体とは別の次元のもの」として捉え「どこかに存在する」と考えたのでしょう。

だからこそ、世界各国で宗派の垣根を超えてそれを尊敬し尊重したのでしょうね。少なくとも太古の昔から大切に扱ってきたことは間違いがないように思えます。

正常と異常を別けるのは、実は自己申告ではない

分かれ道 標識 アイコン精神障害と異常者との違いについては先に述べました。

では、異常者と正常者の違いとはなんでしょう? 私も講演会や実演のおりにそういった質問を受けます。凶悪犯罪が起きてそれが何度も報道された後だと、よく受ける質問ですね。

一般人から心理学者、自称、犯罪心理の専門家から政治家まで皆が難しく考え過ぎるようですが、私の解説はしごく簡単です。

異常者とはただ一言で表現できます。それは「コミュニティを脅かす(おびやかす)者」です。

まあ、この一言が書きたくてこのコーナーを立ち上げた訳ですが。

実際には、異常と正常を明確に分けるものはありません。数多くの相談者、心の悩みを抱える者と向き合ってきた私の偽らざる感想です。「私はおかしい、私は異常だ」「私はおかしくない、私は正常だ」と訴えてくる人は、それぞれにたくさんいますよ?

相手の自己申告、メールや面談での発言を真に受けて会話していると混乱しますよ? 異常だ、と言っている人の受け答えがとてもまともで、「正常だ」と言ってる人の受け答えがこちらとしては、まったく理解できないこともままあるからです。

実際問題、私は「正常だ!」と言いながら、大勢に迷惑をかける人はいますよ。「私は異常だ!」と言いながら、他人に温かだったり優しい人も社会には大勢います。

ご本人の自己申告くらいあてにならないものはない。

興味深いのは催眠においても同じです。「ぼ、僕は催眠によくかかる筈だ!」も「絶対にかからない!」もあてにはならない。あくまでその人の自己申告なんですから(笑)。「一度でも経験しました?」と聞くと経験はない。「専門知識がありますか?」と聞くとそれもない。

タレントさんなどはなぜか、汗びっしょりになっている人もいます。怖いんでしょうね。

はっきり言えば「正常か?異常か?」などご本人にはわかりませんよ。周囲が勝手に判断するものなのです。その人の所属する「コミュニティ」にとって、その人の行動や存在、考え方や雰囲気があまりにも「異質」であっったり突飛なものならば受け入れられません。

「お、おにぎりが食べたいんだな」

ランニングシャツを着てリュックを背負っていても、この程度の発言なら受け入れられます。

「お、女の子を襲ってみたいんだな」

なら絶対に無理でしょう。それがそれが冗談だった、自分で創作している異世界とか架空世界、ラノベや漫画やアニメや小説の世界だと言い張ってみた所で。その内容を耳にした瞬間に周囲は強い警戒感を持ちますし、多くの人は露骨に嫌悪感を示すことになります。

まだ実害は出ていない。ただし「今後出る」かもしれない。それは「コミュニティを脅かす」者で家族とか友人、恋人の敵かもしれない。そう感じただけで排除や見張るべき対象に変わりますよ。それが一般人が考える異常者であり犯罪者なのです。

ただの異質な考え方や雰囲気だけならいいですが、実害が出れば話は別です。実際にその人の行動でコミュニティに直接的に影響や被害が及ぶなら、それは明確に「異常者」に分類されてしまいます。

パッと見、一種の「異常者」ともとれる行動をとる人は、社会に大勢いますよ。

女装癖のある人や、SMっぽいことにしか興味のない人、裸にならないと用を足せない人や、匂いを嗅ぐ癖が止められない人、同性にしか興味がもてない人、数え上げればキリがない(笑)。

暴力傾向が強くて他人を殴りたい人、車に乗れば人が変わったようにアクセルをふかす人や、人形やフィギュアばかり集めている人、奥さんや旦那さんがいるにも関わらずかたっぱしから浮気を繰り返す人もいます。他人にみられていないと興奮しないというカップルとか、露出癖が強くてどこでも服を脱ぐ人もいて。私からするとこういった人は別に珍しくもありません。

家族とか恋人に同情されたいがために、あえて一度妊娠して中絶することが好きなんて女性にもお会いしました。中には理解できないというか私には無理だとか、怖いと思う人も含まれますよ。

でも、その多くは「異常者」とは呼ばれません。