前世は本当にあるのか?

2017/12/11改訂
2004/04/08初稿

聖書に書かれている一節

新訳聖書ヨハネによる福音書9章、2節にこういった記述があります。先生。彼が盲人に生まれついたのは、だれが罪を犯したのでしょうか? この人ですか? その両親ですか?」

これは今から2000年も前の話になります。イエス・キリストが各地をまわっていた際に出会った、生まれつきの盲人を見てイエスの弟子が質問した話です。

興味深いのは2000年も前からすでに「前世があった」とする考え方があり、その人の前世に何らかの出来事や事件があって、それが現世において、何らかのハンデを背負って生まれてきたのではないか? と考える人達がいた証明となる文章です。

業(ごう、といった表現も用いられますが、何らかの業を「過去世(前世)に背負っているからこういった状況に本人が陥っているのではないか? と考える人々がいたことになりますね。

キリスト教は終末思想というものに繋がっています。世界はいずれ終末に向かってゆくのでそうなる前に、正しく生きる方法を考えようという教えを説いていたので、リインカーネイション、つまりゾロアスター教や仏教、他の宗派の概念とも繋がる「生まれ変わり」については否定的であったのではないか? が近年の研究者の主張です。

「誰が罪を犯したか?」という弟子の言葉は。そのまま「前世があった」にも変換できます。

キリストが架空の話ではなく実在の人物だったとしてこの質問はイエス・キリストが生きていて弟子と直接話ができる時代に描かれたことになります。

キリスト教のベースになった「ユダヤ教」にはリインカーネイション、生まれ変わりに近い概念が遺されているようでが、キリスト教の信者は否定的ですね。

一度しかない人生で神から授かった命だから、大切に生きなさいと考えるため自らが命を絶つ自殺を禁忌と考えており、悩んだ末に亡くなった方でも自殺だとなかなか許そうとしません。

生まれ変わりがないから自殺は罪であり許さない。それが前提なのにキリストが生きている時代には、弟子たちが師匠にこういった問いかけをしていることになります。

これは当時の概念の中に当たり前のように「生まれ変わり」というものが入り込んでいて、一般人や弟子たちが前世について考えたり、質問として口にする機会があったことを示しています。

前世について書き始める前にこういった話を例にとるのは、皆さんにはそういった考え方が何千年も昔からあちこちで論議されてきたことだ、という認識を持って欲しいからです。

前世(催眠)についての考え方

私の元にも時折「前世催眠をやってください」といった依頼が舞い込みます。またそういった療法を売り物にしている施設、団体もあるようです。

テレビ番組などの影響もあるのでしょう。一部のいかがわしい団体が「催眠で前世さえ調べればどんな悩み事も解決する」などとネットで煽ることもあって、高額な費用を請求してると聞いています。

番組に時折出ているスピリチュアルカウンセラーとやらを名乗る男もいて、そういった連中が前世、前世というから信じ込んだり頼ろうとする人も出るわけですね。

「谷口さんの所ではやらないのですか?」といった問い合わせも受けます。

私の所では一切やっていません。その理由、私の考えについてもこのコーナーの後半に述べます。過去にあった実体験としてそれに近いものも紹介しますが、私の思いは別にあります。

研究者によって前世催眠や療法については様々な考え方があります。

少々難しいのはそこに輪廻(りんね)とか、カルマ(業)とか、リインカーネイション(生まれ変わり)などの複雑な概念(がいねん)を含むため、哲学や思想、宗教観やそれぞれの考える生と死なども関わってしまいます。

すると冷静にというか、施術者の主観を挟まずにそれらに関わることがとても難しくなってしまいます。

前世催眠を最初から真っ向に「まがい物だ!」と決めつけてしまう研究者、施術者もいますし反対に「前世催眠こそが問題の解決のためのもっともな近道だ!」と熱烈に訴える人もいます。

中にはかなりヒステリックな方や、妙に熱心な信奉者(どちらの方向にも)もいますが、私はそういった物をとやかくいう前にもっと真摯に考えなければならないことがあるのではないか? と考えています。

日本において若い世代には「前世はある!」(あって欲しいと願う?)人も多いようで、私の元に寄せられるメールの中には、「私には何らかの前世があり、それを知りさえすれば自分の現在抱える問題があっさり解決するのではないか?」といった期待を抱く人も数多くいます。

リインカーネーション「生まれ変わり」?

1970年代、アメリカでベストセラーになった本があります。

原題は忘れましたが、「ブラッディ・マーフィーを探して」(もしくは、マーフィではなく、メアリ)という邦題がついていたと思います。興味がある人は探してみてください。

残念なことに現在は絶版になっています。私は昔の古い本や特殊な書籍ばかりから知識を漁る癖がありますから、現在その本が興味を持つ皆さんに手に入るかどうかはわかりません。

ここで紹介すると長くなりますから、かいつまんで一部分だけ書きます。

ある女性に深層催眠をかけてどんどん退行を行ってゆくと、結果として前世が現れるようになり、現在(その当時)被験者が住んでいたのとは違う地域で違う世代(1798年)にアイルランドに別の名前で生まれ、生活していたと証言し始める話です。

このコーナーを最初に書いた2004年の時点では詳細な情報や正確な原題、放題がわかりませんでした。その後、ウィキペディアなどで追加情報を載せ翻訳してくださった方がいます。

正式な人名はブライディ・マーフィーで邦題は「第二の記憶:前世を語る女ブライディ・マーフィ」だったようですね。

最近になって、ブライアン・L・ワイスという方が書いた「前世療法」という本が日本でも翻訳されて話題になり、かなりの册数が読まれたようです。

そのどちらにも共通するのは「前世」が存在すると仮定して、催眠誘導中に現れた本人の過去の記憶、すなわち前世を検証(ブラッディ・マーフィにおいては実際に現場を追跡)しようとする話です。

ブライアン・L・ワイスという方の書いた「前世療法」という本の中では、生まれ変わりについてかなり突っ込んだ解釈が載せられています。

これまでにあった本のように「前世がある」「催眠をかければ出てくるんだ」といった漠然とした感覚ではなく、輪廻(りんね)とか転生、要するに「生まれ変わりは本当にあるんだ」といった思想、概念が色濃く感じられますね。

仏教やチベット宗教などにおいては、昔からそういった感覚教えが残されています。

近年になって(アメリカ、ヨーロッパ、日本を問わず)世紀末の世相や社会情勢を反映してでしょうか?若い世代を中心にそういった感覚や思考は受け入れられ、多くの支持を集めているようです。

興味深いのはこれまで、欧米における一神教(キリスト教)主義においてはあまり触れたり重要視しようとしなかった部分も一緒に引き継いでしまっています。

輪廻(りんね、生まれ変わり)とインドやチベット密教などでの考え方に近い「カルマ」つまり、宿縁や宿業生まれる前から本人が背負っている何か? といった考え方や、マスター(守護者)や指導霊(人間より上位に属する何らかの存在)に導かれる、といった記述が多くみられることですね。

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