ZONE(ゾーン)集中力の世界

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タキサイキア現象

2018/12/20改訂
2002/08/28初稿

故、ジャック・マイヨール氏に捧ぐ

墓石

以前にあるテレビ番組の依頼を受け、収録に行ってきました。

久しぶりの収録です。依頼の内容は「スポーツ選手のメンタルトレーニングと強化」です。

今回の解説は、その放送内容に合わせてのことです。

依頼内容は「アームレスリングの選手に自信をつけさせて勝利させる」です。集中力を高めて現地(アメリカ)の大会で勝利させることを目的としました。

司会はナイティナインのお二人でした。

以前にお世話になった番組関係者からの紹介でもありますし、お色気企画でもない。ディレクターの意図や内容もしっかりしたものでしたので、今回は出演することになりました。

しばらく、出演は断っていたんですよ。

実家の義父が突然の急死のあと、色々とトラブルがあって大変でした。通夜や葬儀のために実家に帰っている間にも普通ではありえないような面倒を起こす相手がいて、精神的にも深いダメージがあり一切の活動を停止していました。

肉親が死んだときでも遠慮しない連中はたくさんいますよ。

それどころか「弱っているこれがチャンスだ!」とばかりに猫なで声で近づいてきたり、心配するメールを送って取り入ろうとします。

実際にはアダルトサイトの宣伝やリンクに私の名前やホームページに使おうとしてました。

部下で生活の面倒を見てきた男までが相手の魂胆に気が付かず「良い人だ」と思い込んでいたり「自分の実力が認められた」と考えて乗っ取りや流用に加担していたことまでがわかって、余計にむかつきました。

親が死んだ時、通夜や葬儀に帰っている留守中に裏切る、糞みたいな女とか男もいるんですよ。

それ以外の時ならそれほど腹も立たなかったでしょう。

動画配信のサイトを手掛けようとしていました。編集機材やカメラ一式も買った。YouTubeなどが発達する前ですからね。目の付け所というか発想は早かったんですよ。

それを知った連中には「面白いことを考えている」と思ってモノマネをしようとする者も出るわけですが、ノウハウやアイディアがないから私が付き合ってる女性とか部下ごと乗っ取ろう、奪おうとするわけです。

精神的なテンションが低かったり、あまりにショックな出来事があったり、友人だと思っていた人、親身になって相談にのっていた人の裏切りや嘘などがあれば流石に凹みます。

そういった出来事が相次ぐと、どうも誘導そのものが下手になるようです。

今だから言いますが、同じタイミングで大学の関係者(武蔵工業大学)から依頼されて講演もやったのですが・・・。申し訳ないですがこれまでで最悪の出来でした。

あんなに催眠誘導や話すのが下手になったことはいまだかつてなかったと思います。

肉親の死と部下や恋人の裏切りとか、執拗なネットトラブルが重なれば流石に駄目ですね。

気力が保たないので集中力がない。正直、立っているのが精一杯でした。

病み上がりでフラフラの状態に近かったので反応を見逃します。

家族の突然の死で母親が不安定だったので。誰かが側についていなければなりませんでした。どうしても離れられないので一ヶ月ほど実家に戻ったわけですが、その間に色々ありました。

滞在費や出費も嵩んだので精神的に落ち込んでいても、仕事を受けざるを得なかったのですが・・・。

本来なら人前に出るとか講演や実演を出来る状況ではなかったと思います。

こういった特殊な仕事を行っていると「とても急いでいる」と申し込んでくる依頼者は多数に及ぶんですけどね。そこには番組の関係者やプロダクション、大手のイベント会社を含みます。

残念ですが、そういった精神状況の時に無理に出掛けて行ってもいい結果は得られないのです。

私個人(施術者側)が精神的な圧力、内側から溢れるエネルギーに欠けていれば被験者の反応を見逃してしまいます。

ZONE(ゾーン)ってなに?

催眠そのものは霊現象でも超能力でもありませんから勉強すれば誰でもできるようにはなりますが、やはり、難しい依頼内容や緊張感の伴う場所(収録など)では、施術者にもそれなりの心構えと準備がなければ、うまくゆかなくなってしまいます。

おかしな話なのですが誘導を行う前に、こちら(施術者側)も集中力を高めておく必要があるんですよ。私の絶好調の時には、被験者が「止まって」見えます(笑)。

ZONE(ゾーン)と呼ばれている状態と殆ど同じというかそのものでしょう。瞬時に多くのことがでわかり小さな反応も見逃すことがありません。

それくらい集中力が高まっている場合には、特殊な誘導にも瞬時で成功するようになります。

では、そのZONE(ゾーン)っていったい、なんでしょう?

最近になって、最新の生理学や心理学にZONE(ゾーン)という考え方、現象がある、と主張する人たちが出てきています。その解説のために有名なスポーツ選手の実例や素潜りで有名なジャック・マイヨール氏の体験を引きあいに出すケースもままあるようです。

詳しく解説すれば長くなりますから、簡単にだけ説明しておきます。

ZONE(ゾーン)とは、究極の集中力です。

スポーツや競技、格闘技などでもいいでしょう。その対象者が何らかに一心に打ち込んでいるうちに、いわゆる時間の感覚の遮断(もしくは身体感覚の拡大、知覚神経の鋭敏化)が起きます。

難しいので一般向けに簡単な例で説明しますと、事故(特に交通事故)や突発的なトラブル(空から鉄骨が落ちてくる、など)に遭った人が、その瞬間を「スローモーションのように感じた」と表現することがあります。

ほんの数秒の時間がとても長く感じられ、全てが止まっていたかのように錯覚する例が多々あるのです。臨死体験をする人もいますよ。いわゆる漫画やアニメ、ドラマや小説では「走馬灯のようにこれまでの人生が」見えたとか頭の中を瞬時によぎったという状態ですね。

このコーナーの読者の方も、ご自分の体験や、周囲の友人、知人を片っ端から当たってみれば、一人くらいはそういった体験をした人がいるかもしれませんね。

これはね、自分が「死」を強烈に意識したり、危険に遭遇したために意識が集中し、そのこと以外の感覚を失い、自己を環境から完全に遮断することで起こります。

昔から死の直前には過去の出来事が「走馬灯(そうまとう)のように」よぎると言いますが、皆さんはこの表現を聞いて不思議には思いませんか?

時間にしては数秒、下手をすれば瞬きをするかのような一瞬ですよ?

現実に死んでしまった人はその瞬間を語ることはできません。一旦、死んでしまえば帰ってくることができないのですから・・・。

何らかの突発的な事故で死にそうになった、または、死の一歩手前で「帰ってこれた人」がその体験談や印象を語れば「人生の走馬灯のようだった」と答えることになるでしょう。

人間が一瞬で「スローモーションのような状態に入った」場合には感覚や時間の遮断が起きます。状況によっては音も痛みも、身体の全ての感覚さえ遮断してしまったり、まったく感じなくなってしまっているケースがあります。

事故にあって片足を失って目が覚めたり、戦争時に爆撃を受けて大怪我をしていながらまったくそれに気がつかない例もあります。

これについては「催眠って、何なの?」のコーナーを参照してください。

催眠って、なんなの?
2018/12/11改訂1997/06/00初稿懐かしいですね、私が最初に書いたコーナーです当時、印刷業の会社に勤務していた兄がパソコン(Mac)を使っていました。IllustratorやPhotoshopという名称ついては兄から教わりまし...

日本において催眠の研究が進んだのは戦時中ですが、そういった記述も複数残されています。一種のトランス状態に近いでしょう。

この「スローモーション」のような状態に入っている時が集中力が高まり、最新の心理学者や生理学者、一部のスポーツトレーナーなどが解説するZONE(ゾーン)という現象に近いと考えられます。

反動と利用方法

白黒 ゴルファー

通常、ZONE(ゾーン)には簡単には入れません。超感覚とも言いますが、いわゆる人間の持つ一部の感覚を突出させたり、どこかの能力を一気に強化してしまえばその反動が出るからです。

感覚神経の遮断から身体が動かなくなったり、聴覚、視覚に障害が出ます。

死に直面するような大きな事故に遭った人の感想として多いのは、先に紹介したような事例、つまり「まるでスローモーションを見ているようだった」ですが、そのスローモーションの最中に「自由自在に動くことができた」という人はごく少数でしょう。

よほど特殊な訓練を受けているか、特異体質ででもないと。その殆どは動くことも騒ぐこともできません。大声を上げるとか、瞬き(まばたき)することも忘れてその場に立ち尽くす事になります。

危険でしょ? 身動きがとれません。そのまま何かに直撃されていれば簡単に死に至ります。

それこそ見た光景が最後となり、そのまま走馬灯のようになってしまいます。まあ死んでしまった戻ってこなかった方からは「実際にはどうだったか?」の聞き取りは不可能ですが。

通常、人間はそういった感覚に一気に入ってしまわないよう一種の安全弁やセーフティが厳重にかかっています。身体が硬直して動かないというのは危険な状態で死の一歩手前を指します。

それが時折外れるのは緊急の場合だったり、その「超感覚」つまり、他の神経や感覚を遮断することで自らが生き残るための準備、他の神経や感覚を遮断して「集中する」ことで逃げよう、身体を蹴っ飛ばして助かろうという最後の賭けに出るからですよ。

似たような現象の報告は戦場からも数多く報告されます。命の危険にさらされる現場では、やはり超感覚に近い「意識の集約」「感覚の遮断」が起こることがあります。

言葉を返せば緊急時に起こるものであって、通常時にはあまり必要がないものでしょう。

超感覚やZONEは確かに存在するですが、それに入ることそのものがある意味で生命の危険に近寄ることでもあるのでしょうね。

要するに利益もありますが反動もある。

先ほど紹介した「催眠って、なんなの?」のコーナーでも一部紹介していますが、緊急事態の時には脳内ホルモンが大量に分泌されることになります。

結果として失うものも多くて「命がけ」になるケースがあるので一種の安全弁が働いており、簡単には外れないようになっているのでしょう。

ところが特殊なトレーニングを積んだり、ある一定の手順を踏む事で意図的にそのリミッターを外すことができる人達がいます。

それがヨガであったり、素潜りをやってる人達(ジャック・マイヨール氏)であったり、タイガー・ウッズのような特殊な才能を持つ人々です。

有名なゴルフプレイヤーやボクサー、F1のレーサーや一部の優秀な役者、ダンサーやタレントさんなどがその世界、つまり「ZONE(ゾーン)」に入れるのは、彼らが特別なトレーニングを積みその精神力と集中力で独自の世界に入り込むことができるから。

身体や神経、意識の一部を遮断し一部を突出させるような独特の技法、能力を獲得しているからになります。