正しい催眠誘導の方法 / 第十二章

催眠の基礎、凝視法から学ぶ 正しい催眠誘導の方法

凝視法を用い、催眠誘導を行う(60〜64ページ)

催眠「術」と催眠誘導(60ページ)

古いテレビ色々と解説、説明はありましたが、やっとここからが「一般人の考える」催眠『術』らしくなってきます。

催眠(正確には術とはいわず、催眠誘導といいます)を勘違いしている人の多くは「どういった手順を用いれば、簡単に相手の意識を奪い相手を操れるのか?」といった趣旨の質問を繰り返します。

実際には催眠に秘術や秘訣はないのです。

「読めば簡単に身に付く」ものでもありませんし「簡単に意識を失わせるマニュアルがある」のでも、優秀な催眠術師が「何か隠している」訳でもないですね(笑)。

催眠に秘訣があるとすれば被験者とまっすぐに向き合い、自分の姿勢を正し、微かな被験者の反応も見逃さない集中力、それが秘訣といえば秘訣になります。

ですので、長年この仕事に携わっていると調子が出ないというか失敗を繰り返すことはありますよ? 秘訣や秘法があるなら「そういった好不調の波」もないことになります。

私はそういった部分も隠してはいませんし、公開もしています。流石に催眠で多少、名前が知られてからは交通費はしっかり戴いていますが・・・。

番組収録等で不出来な時は、基本ノーギャラですね。

引き受けるまでの条件は他よりも厳しいと思います。ただし依頼に失敗した時には全額返金です。これは初期の頃からずっと変わらない私の方針です。

番組だけではなく一般人が相手だったり、講演(イベント参加や公演も含む)でも同じです。

催眠においては手順以前に被験者の心をほぐす作業や、相手との心の繋がりを強化し「この人になら安心して心をまかせてもいい」とか「この人になら、催眠をかけられてもいい」といった瞬間を作り出したり、その反応を探って分け入ることに本質はあると思います。

催眠を行う際に重要なポイントは大きく分けて三箇所に分かれます。

1. ラポール、被験者との信頼感や繋がり

2. 深化法、 催眠を深くして自意識や自我から遠ざからせる

3. 暗示、具体的な指示であり、効果を与える内容

の三つになります。

催眠を『術だ!』と捉える人の多くは、実際にはもっとも重要なポイントである「ラポール」を完全に無視します。

「催眠『術』には何か、秘訣があってあいつら(催眠術師)はそれを隠しているに違いない!」と勝手に思い込みますから、自分の都合の良い部分ばかりをあちこちの知識から聞き齧ったり読み漁ります。

大金を払えば資格が身につくとか秘術を教えてやると煽っている団体に引っかかったりね(笑)。

ここ(nobee.com)では初期の頃からずっと警告を発しているのにそれも読みません。

多額のお金を支払ってしまったり役にも立たない卒業証書だか催眠術師の認定書を掲げて開業している人もいます。そういった人が開業後に困ってウチにGoogle AdSense経由で広告を載せようとします。

このテキストをきちんと読まず、飛ばし読みしたり抜粋するような人も、きっと同じように考えているに違いないと思います(笑)。

そういった人には身に付きません。だいたいにおいて「深化法」の途中から知りたがり「暗示」がもっとも重要だと勝手に思い込みます。

練習会でも時折、私を閉口させるのですが、基礎の勉強や練習を嫌がり「私にはそんなことわかっている」と2と3の部分(深化法と暗示)ばかりに質問を集中させます。

隠しているのではないんですよ。その人が理解できないだけです。

そこに更に特殊な技法とか応用の話などをしたら余計に基礎の練習はしなくなるでしょう。実際には応用部分は秘術ではありません。

ピアノの運指(うんし、基本の指使い)が出来ない人に難しい技法は教えないでしょうし、基礎体力や筋力がない人に必殺パンチを教えても肉離れや大怪我の元となると思います。

後で催眠において重要な「暗示」(98ページ)についても触れますが、暗示も「ラポール」といわれる被験者との繋がりや相手の意志(潜在意識も含む)を尊重する形で行わないと、十分な効果は得られなくなります。

催眠は「相手に何かを強引に押し付ける」ために存在するのではないのです。

嫌な感覚は被験者とのラポール(信頼感)を容易く断ち切ります。正しく理解すればそういった間違いや過ちはなくなります。

そう考えて、今回の「正しい催眠誘導の方法」初級テキストでは信頼感や心構えの説明に多めにページを割きました。指のくっつき反応のテストや可倒テストもそれに含まれます。

せっかく催眠について学びたいと思ってくれるなら、本当に必要とされる条件や内容をわかってください。

後半では暗示についての具体的な指示も書いていますが、前半の部分の理解なくしては後半の理解もないと思ってください。