友人ってなんでしょう?

応用と実践

2017/12/12改訂
1998/09/01初稿

私の若い頃のバイトの話

カクテルグラス 泡付き アイコンずいぶんと昔の話になりますが私が十八歳から二十歳前後の頃、地方の飲み屋、今から考えれば高級なタイプのラウンジでバイトしたことがあります。

知り合いに紹介されてたまたま、中で働くようになったんですけどね。

余談ですがそこのお店のママさんがとてもお綺麗で(笑)。お元気ですかねー? 山口百恵にそっくりだってことで地元じゃ有名じでした。お名前もフルネームで覚えています。

もう三十年近くも前の話ですから覚えている人もいないとは思いますが・・・。

今もお綺麗なんでしょうか? まあ、男のほうが色々と過去の感傷に浸りやすいんですよ。女性は意外にあっさり忘れるようですね。

誤解ないように言っておけば私はまだ若造でしたからね。当然、その女性と付きあっている筈はなく当時はただのアルバイトです。面白いのは当時、私はまったくの下戸(げこ)でまったくお酒が飲めない人でした。悪友と飲んだことがあったのですがすぐに頭が痛くなっちゃって。

ですからどこかに飲みにいったり遊びに行った経験もろくにないのに、いきなりそういったお店で働くようになったんですよ。

言っておきますが今なら違法ですよ? 私が若い頃は十八歳を超えたら大人というような雰囲気がありました。大学生もそれくらいですからね。新歓コンパでベロベロに酔っ払うとか普通にありましたが、今ならそういった行為は表沙汰になったら大学関係者が処分受けちゃいますよ。

お酒は二十歳になってから。

三十年以上も前なのにしっかりお店の名前とママのフルネームは覚えています(笑)。下のお名前が貴美子さんだったこと、色白で山口百恵似で清楚だったこと、誕生日が七夕の日であったことだけはなぜか明確に記憶しています。

ウーン、何ででしょう?? 語呂が良かったせいですかね?? 人の誕生日をよく忘れるので、怒られるんですが?? 母親の誕生日すらきちんと覚えていません。

これは遠い日の追憶ですね。その女性へのかすかな憧憬(あこがれ)と共に、私の記憶の奥底で揺らいでいるのでしょうか? ガキでしたからね。

こんなこと言ってるとちょっと照れますが(笑)。

高校時代に行った新聞配達(三年間、やってました)やバッティングセンターやスポーツジムでのバイト以外で、接客業では初のバイトです。当然、かなり緊張してました。

今も他に覚えているのは、飲みに来られた地元では有名なヤクザ屋さん? (高級店でしたからたぶん、幹部の方でしょう)に「フルーツ出せ!」と言われて、まったく経験のなかった私は普通にリンゴをウサギさんに切って出しました。

「お前、なめとんのか!!」

と関西弁でいきなり怒鳴られたことですかね?

だって知らないですもの(笑)。教わってなかったし。

だいたい、一度もラウンジとかクラブに飲みに行ったことすらもなかった私が、こういったお店で出すフルーツの出し方や切り方など知ってる筈がありません。

もちろん今ならわかりますよ。かつら剥きも得意ですし、柳刃包丁も専用で持っています。飾り切りくらいは普通にできますよ。

今では料理は私の趣味の一つです。

一緒に来られていたどこかのクラブのおねーさん達が、「まあまあ、ここは家族的な店なんでしょう」と懸命に取り成して下さいました。それがなければ殴られてたでしょう。

やってきた連中

やっと仕事にも慣れ、少しは勝手もわかってきたある日のことです。

私の働いていたお店に、数人の男がドヤドヤとやってきました。

「おい、ノブ、飲みに来てやったぞ!」
「今日はワシの誕生日や! 何か、飲ませんかい!」

別に危ない連中でも何でもありません。顔を見れば苦笑いです。私の普段仲のいいというか、当時、よくつるん遊んでいた連中でした。

私は連中に「バイトを始めた」とは言いましたが、どこのお店で何を始めたのかもまったく言っていなかったのです。そこが高級クラブだともラウンジだとも言っていませんでした。なのにどこから聞きつけたのでしょう? 店を突き止めて突然、友人が3人で押しかけてきたのです。

これには驚きました。

私にすればやっとお店に慣れた所です。トラブルは勘弁して欲しかったのですが・・・。また、その働いてるお店の雰囲気はどう考えても高級な感じがあり、普段、つるんでいる連中とはどうもそぐいません。

ま、だから言わなかったのですが・・・。連中が気軽に飲みに来れるような雰囲気の場所ではなかったんですよ。正直、すぐに帰って欲しかったです。

ところが、帰ろうとしないのです(笑)。「飲ませろ、飲ませろ」の一点張り(笑)。それも「俺達は今(いつもだったんですが)金持っていないから、お前の給料でツケで飲ませろ!」と入り口で大声で言ってるんですよ。これには参りました。

まるでどっかの芸人かチンピラのようですね。売れない芸人とか、タレント同士が仲間内のやってる店に押掛け、「奢れ!」とか「飲ませろ!」と迫るような?

仕方ないので、その店のママ(経営者でした)をそーっと見ると、快く(こころよく)「いいわよ」というように頷いて(うなずいて)下さいました。

奢りというよりタカリ(笑)

(やれやれ・・・。)

気分は複雑でしたねー。ママにはっきりと断られればそいつらを中に入れずに済みましたから(笑)。

おまけに働いている私の驕りですよ。給料から天引きです。ママに気づかってもらって私の顔が立ったとはいえ、かなりブルーな気分でした。

連中は私の1週間分から2週間分? くらいの稼ぎを一瞬でかっ食らってしまいました・・・。ママが値引きしてくれたのと友達ですから多少の遠慮もしたんでしょうが、当時の私からすれば元が高級店ですからそりゃ、高いですよね。

相手は酔っ払いです。酔った勢いで押しかけてきて「お前の支払いで飲ませろ!」と迫った訳です。

私がしっぶーい顔でカウンターに立っていると、そのうちの一人がこう言いました。

「よっしゃ、ノブ(私のあだ名です)、俺が店やるようになったら、何度でもタダで飲ませてやる。だから今日は黙って飲ませとけ!」

太っ腹なのかなんなんだか・・・。よくわかりませんね。あくまでも将来の約束です。

「タダでいつでも飲ませてやる!」ったって、相手の話はあくまで架空の話ですから・・・。

ただ、彼はメンバーの中でもっともやり手でした。当時からあちこちに顔が効きましたし、仕事にも熱心でした。いずれは自分のお店を持とうと名刺をせっせと集めていましたし人当たりも良かった。

他の連中はすぐに仕事を辞めてしまうので(笑)まったく当てになりませんが、彼の言葉なら多少なりとも信ぴょう性があったのです。

まあ、その言葉を当てにして奢った訳ではありませんが、結果として、私は友人3人に「私の給料で」気前よく飲んで貰ったことになります。

その日、彼らはとても楽しそうでしたね。まあ一方的に押しかけて、他人の奢りでタダ酒飲んだのだから当然と言えば当然なんでしょうが・・・。

私一人がちょっとブルーで、しばらくタダ働きでした。