正しい催眠誘導の方法 / 第二十三章

睡眠と催眠の違い、録画機器の準備を 正しい催眠誘導の方法

効果を高めたり確認するために必要なもの(140〜148ページ)

睡眠と催眠の違いは何?(140ページ)

ふきだしまず睡眠と催眠の違いについてから解説しておきます。

催眠誘導は睡眠状態と究めての通った部分を持ちます。ですが、一部違う部分があります。

睡眠も催眠も。完全に意識を失い、脳の活動全てを停止するのではない、という所までは同じです。

こう言うと「エッ?」と不思議に思うかも知れませんが、人間が眠っている間も脳の活動は行われています。

睡眠中に全ての脳の活動や機能が全て停止する訳ではありません。眠っている間も心臓を動かし呼吸もしていますし、意識を失っている筈なのに夢を見ることもあります。

これは睡眠中も脳の一部では活発に活動が行われていることを示します。

催眠も同じなのですが、睡眠と違う点はただ眠るのではなく、自分にとって必要な部分のみを意図的に活性化させ潜在意識に働きかけよう、ということなのです。

多くを経過観察、聞き取りを行った研究者によると人の見る夢の70パーセント程度が悪夢である、といわれています。なぜ、わざわざ苦しい悪夢を見なければならないかというと、実生活で溜まったストレスを「悪夢の形で発散させているのではないか?」と最近の研究では考えられています。

実生活においてはっきりと「誰々が嫌い」とか「仕事を辞めたい」とわかってしまうと本人も辛くなります。

難しいのは人間は大脳が肥大してしまっていますので。

本来なら建前に過ぎないその我慢を。自分の本音だと思いこんでしまうことがあるのです。

あの人が嫌いだ、と自分が認めてしまった所で生活のために仕事を辞めるわけにはいかない場合が多いですよね? するとそこで潜在意識によるスクリーニングが行われてそれは「なかったこと」にされることがあります。

実例は「催眠術師のひとりごと」の冒頭にも載せています。

催眠術師のひとりごと / プロローグ
プロローグ (8〜23ページ) 忘れてしまった過去の記憶 Aさんの場合(8ページ) 忘れてしまった過去の記憶 Bさんの場合(19ページ)

それが悪夢となって現れます。

目が覚めると忘れてしまっていたり、本人にもわからないようなぼんやりとした姿に形を変え、実像を結ばないようにしてストレスを発散させて行きます。

ですから、夢を本人が選ぶことはできないように思えますが、実際にはそうではありません。自分でも自覚していない潜在意識の要求や働きに従って、本人自身が悪夢をわざわざ選択して発現させ、実際の生活活動におけるストレスを軽減させている、という考え方ができます。

睡眠障害などの相談も最近は多いですが、それらは、社会生活や活動におけるストレスが、眠ることではどうしても解消できないくらいに巨大になったから起こる、とも考えられます。

ですから、催眠(自己催眠も含む)で何を行うか? といえば睡眠による自然な解消方法に頼りきりになるのではなく、自分の目的や目標をもっと積極的に絞り込んで潜在意識に働きかけたい、ということなのです。

夢を「無意識に見る」ことでストレスを軽減させるのではなく「見る夢」を自らの意思で選択、作り上げることで、ストレスを軽くしたり、目標(例えば、禁煙や飲酒など)に近づくと考えてください。

ですから、完全に眠り込んでしまえば目的にはたどり着けません。

自己催眠において難しいのは、自分の意識の一部分を保ったままで深化は進めないといけないということです。意識の全てを失ってしまうと、潜在意識への働きかけができなくなります。

後で解説しますが、私の用いる方法では被験者(自己催眠に取り組む人)が完全に意識を失ったり、顕在意識がかなり薄れてしまっても問題がないように、事前に入念な準備を行うように勤めています。

睡眠と催眠はとても似てはいますが。実は異なった部分がある、ということだけはここで理解しておいてください。