芸名、ペンネームが「nobee谷口」

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芸名をつけた番組

忘却の軛(くびき) 2章-四

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セミヌード 小説

二章 ヴァルキューレの肖像

何かを偽ったり、誤魔化すために写真を自分で撮影する場合、気をつけないといけないのは表情になる。

携帯でもスマホでも何でもいいが、初めて自分自身を撮影しようとすれば表情は硬くなる。

最近の若い世代は携帯やプリクラ、スマホでの自画撮りに慣れているせいもあってか、硬さはあまりなくなってきている。

それでも、撮り慣れしていないものや特殊な内容、嘘をつこうとか今回のように全裸になれば、どうしても表情が硬くなるのだ。プロのカメラマンや私のように恒常的に心理分析をやっている者ならその変化に簡単に気がつくだろう。

写真にはその人の生活環境や生活が現れる。趣味嗜好しゅみしこう、取り巻く人達、意外にも思えるくらい豊富な情報がそこに含まれることになる。

静止画でも動画でもいい。そこに何らかのヒントが含まれればそういった傾向を読み解くことは可能になる。

まず衣服が写る。服のメーカーや種類、好みがわかることがある。下着一枚でも嗜好しこうや環境は読み取れるのだ。書棚や机、床や家具が一瞬写り込んだだけで対象者の年齢、経済状況の推測ができることもある。

若い世代が読まない書籍、女性が使うことのない道具が映り込めば同居者がいることになる。新聞などがあれば親と一緒に暮らしている公算が強くなる。

自宅マンションに帰って確認すると、送られたサイトの写真は全部で十数枚があった。

やはり表情が固い。どうみても撮り慣れしていない。笑顔もろくに作れていない。ということは、この娘は普段は友達とプリクラすらあまり撮ってない女の子だろう。

明らかに緊張がみてとれる。

自分で写真を撮る場合は2つに分かれる。笑顔か泣き顔か。ポーカーフェイスというか普通の顔がもっとも難しい。全裸の時、彼氏にいきなりカメラを向けられてもなんとなく笑ってしまう女性も多い。

携帯電話やデジカメ、スマホが普及した現代にとっては、かなり珍しいタイプの女性かもしれない。

誰かに脅されて撮られている可能性は否定できないが、どうもそういった写真には思えない。なぜならば、数枚にはこの女性自身の腕がカメラを支えて撮っているのがわかる。

第三者が脅している場合、カメラを被写体に持たせることは少ない。

投げつけられて壊されたり、メモリーカードを抜いて持ったまま逃げることにも繋がる。スマホやカメラを撮影されている本人に渡したほうがリスクが高まるからだ。

これは自画撮り、つまり自分でカメラを構えるなりセルフタイマーで撮ったものではないか? と推測した。

撮られた写真の方向から考えて右利きだ。慣れていない人は利き腕でしかシャッターを押すことが出来ない。カメラを支えて自分の姿をフレーム内に入れ、ボタンを押すことは結構難しい。

若い女性で高校生くらい。髪は若干、ウェーブがかかっているものの天然。艶やかな黒髪で染めた形跡はなし。豊かに発達した胸の割に体脂肪が薄い。ヌードなのでよくわかるが下腹部の腹筋が締まっている。

歩く距離が長いとか、長時間、足で動くスポーツをやっている可能性が高い。一枚だけ写った足先に若干の親指の変形が見られる。

ハイヒールを履く年齢ではないだろうし、何らかのスポーツの影響に受け取れる。

おそらくは良家の子女、または金持ちの娘。

私の推測の材料の一つは歯並びが抜群に良いことだった。

口をだらしなく? 開けている写真が一枚だけある。

欧米、特にアメリカには歯並びコンプレックスといわれるものがある。虫歯がなく歯並びが綺麗であることがスティタスであるとの感覚が根強いので幼少の頃から矯正を行いたがる。

日本やアジア諸国のように八重歯が可愛いとの発想もない。ドラキュラの歯などと忌み嫌い、たいていは抜くか歯科矯正で整えてしまう。

そういった歯科マニア? が飛びつきそうな真っ白な、矯正した痕跡も残されていない綺麗な歯並びがそこに写っていた。治療痕や銀歯のようなものもない。

幼い頃からよほど生活習慣が整っていないとそうはならない。

下卑げびた全裸写真とか、下品な暴露写真をご本人は撮ったつもりなのだろう。表情にも工夫はある。

ところが、その姿を見た私の印象はギリシャ神話か北欧神話の登場人物、女神が神殿で水浴びしているかのように映った。全体的に整いすぎているのだ。

全裸で股を開き、セルフタイマーか片手で支えて撮ったらしい写真は確かに男心をくすぐるものではある。 

ただし、それはどちらかというとその構図とか局部を晒していることではなく、清楚せいそで真面目に見える女の子が精一杯に背伸びをして、自分をいやらしくみせようと務めることで生じる歪みに過ぎない。

おじさん心をくすぐるとしたら、その必死な表情のほうだろう。

表情を拡大してみると顔がはっきりと赤い。

私はその表情を見つめながら苦笑いする。

私が撮影者、またはこういった写真を使って悪巧みをたくらむ者ならばその表情は修正するだろう。マニア向け? には抜群な仕上がりとなってしまっている。

わずか、その一枚で彼女の感情や立場を伝えすぎている。

デジタル写真にはEXIF(イグジフ)と呼ばれる撮影日時や使用機種、GPSによる位置情報がある。

編集時にアプリや設定、ソフトを使ってそれを飛ばしてしまわないと様々な情報が受け取れてしまう。撮影した時のミスでEXIFが消されていないものが数枚あった。

画像のサイズも大きすぎる。軽量化、色数を落とすとかモザイクをかけることもやっていない。

Photoshopなどを使えば顔の赤みなど簡単に消すことが出来る。それを行っていない。つまり、この写真や撮影の影に「プロ」はいない。撮影や編集、写真の修正にも慣れていない、ということになる。

最近ならプリクラやアプリでも修正は可能だ。それを知らない。自撮り棒も使った形跡がないので三脚だけだろう。自宅の高精密な30インチディスプレイで確認すると細かい部分までがよくわかった。

きっと恥ずかしかったんだろうな、と思うと急速に好奇心が失せた。

確かに美人でスタイルは良い。が、結局は目立ちたがりやだったり、タレント志望のお嬢さんが気まぐれでこういった行為を行っただけかと思ったからだ。