正しい催眠誘導の方法 / 第五章

スポンサーリンク
ラポールの形成に必要な資質

「ラポール」催眠の基礎にもっとも必要な知識(24〜28ページ)

ラポール、とは?(24ページ)

耳慣れない言葉でしょうが、専門用語で「ラポール」と呼ばれる単語があります。

実は難しい概念ではなくとてもシンプルで簡単なものです。ところが一部の人たちにとって、これがもっとも厄介で理解しがたいものとなります。

先のコーナーで。「猫なで声やコスプレ衣装、誰かの出演時の服装のモノマネや白衣は必要ない」と説明しました。

実はこのコーナーの「ラポール」の意味がどうしても理解できない人たちがいて。そういった人たちが頼ったり自分たちが集めた会員? に物知り顔で秘法とか秘術として語り始めるのが衣装とか環境、肩書きづくりなのです。

「催眠術師のひとりごと」などに私が渋谷の街頭や寒風吹き荒ぶ雪山、カラオケのガンガン鳴っている店舗とか衆人環視でスポンサーに連れられていっただけのイベント会場は打ち上げの場所で。実際に催眠誘導に成功した話はすでに触れられていると思います。

私は白衣を着ていませんし普段着のままです。環境設定と称して部屋を暗くはしていませんし、音を全て切れとも言っていません。講演会やスタッフとの打ち上げや二次会では、誰かがカラオケをガンガン歌っている横で催眠の実演をやってたりします。

参加者はそれを直接、目撃もしていいます。

つまりそれは、一部の催眠団体とか指導を行っている人たちが秘法だとか秘術だとか「服装や環境設定、肩書きが大事だ」と言い張っている殆どが、何の意味もないことを示しています。

私は肩書き自慢なんて一度もやったことがないです。私のいたセールスとか営業とか接客業の世界では肩書き自慢、学歴自慢がもっとも笑われます。

どんな世界でも実際の数字がなければ徹底的に馬鹿にされると思いますよ?

静かな環境で二人っきりでとか長時間、誰かを拘束して話しかけるならそれはそれで効果がありますし、意味もあるかも知れませんが・・・。少なくとも講演会とか収録、実演には向いていませんね。

弟子が何人いるとか、大きな団体の役員だ主催者だ幹部だと言い始める人もいますが・・・。それはカルト宗教とか一部の「権威」を勘違いした人たちの行うものであって。

心理学とか催眠「術」とは関係が無く、むしろその対極にあるものです。

ラポールというのは相手(被験者)と施術者(催眠をかける側)との精神的な信頼感や繋がりといってもいいでしょう。他者催眠において、実はこれがもっとも重要なものになります。

信頼できない相手に身体を触らせる人はいません。同様の意味でいえば信頼できない人に、自分の心に分け入って欲しい人もまたいないのです。

下手をすれば直接的に性的関係を持つよりも、そっちを嫌がる人だっていると思いますよ? 心理障壁、というのはそういうものなんですから・・・。

先に白衣のケースなどでも少し触れましたが、ある種の歪んだ発想から催眠を盲信、過信する愚か者は「権威を与えれば相手が信頼する」と考え小道具や衣装、肩書き、会員数などにこだわります。

「私は世界で何番目の催眠術師だ」とか「テレビに出ている有名な催眠の先生だ」などと主張し始めます。相互リンクを結んで掲示板で自作自演を繰り返したり、大きな団体だとか医療関係者にも指導している、そう言えば催眠誘導に成功する、と思い込んでいますね。

皮肉なのは私がテレビ番組への出演を決めた背景に何も知らない一般人から、そういった連中と比較されて悪口を言われることが何度もあったからですね。

では、私も「番組等に出れば」この人達は黙るのだろうか? と。

背景だけを誇るなら街のチンピラと何も変わらないですよ。

確かにそういった底の浅い権威付けでもある種のタイプの人間には効力を発揮することがあります。テレビ番組とか相手の名乗る肩書きを盲信する人もいますから。

ですので、それもまあ一種のラポールといえなくもありませんが・・・。今の御時世、よほどのお馬鹿さんかお人好し、ネット検索を使えない人くらいしか騙せないでしょうね。

古臭い言い回しをするなら「王様ゲーム」のようなものです。私が王様で権威を持っているから「絶対に動くな!」「逆らえないことになってんだ!」「王様の命令は絶対なんだ!」と言い張る子供のような感覚ですね。

駄々っ子と同じ。それで心理学や催眠を学んだといえるのでしょうか? 最初は仕方なく付き合ってくれていても。そのうち、嫌になって全員帰っちゃいますよ?

権威とは本来、その人の持つ威光とか雰囲気とか人柄に魅せられて。その人の指示とか考え方に「自然と従ってしまう」ことを指します。下記はそれについて触れた内容です。

新説 ダースベイダーの育て方
2017/12/07改訂1999/09/01初稿新幹線に乗った時に偶然手にした雑誌私はよく移動で新幹線に乗ります。飛行機のほうが好きなんですけどね。予約するのが面倒で、ついつい予約の必要のない新幹線で移動します。おかげで自由席しか空いていな...

ですので権威の本当の意味は肩書きとか地位とか、無理やりに集めた人数、自らが語る自慢話ではないのですよ。

難しいことに誰かに自然に敬ってもらえるような雰囲気や人柄、「能力」というのはなかなか身につきません。焦った人が何とか形だけ真似ようとするので、結果として白衣を着たり偉そうに振る舞って肩書きをちらつかせることになります。

自らで「権威だ」と思っている肩書きとか団体名をペラペラとしゃべりはじめますが・・・。医者のコスプレをしてる人が所属団体自慢をする。薄暗い部屋でその人と二人きりになって、ペンライトを振りかざすようになったら怖いでしょう?

それはカルト宗教とか洗脳に近づく行為で。そのようなことにのみ執拗にこだわる人は、元々人間の「心」に対する配慮と理解力に乏しく、感覚が浅い人だといわざるを得ません。

そういった感覚で催眠に手を出す人はすぐに壁にぶつかって乗り越えることができなくなるでしょう。

施術の失敗を自分の稚拙さであるとは考えないからです。反省もしません。「もっと権威を与えればいい!」と考えるようになります。それもその人が考える権威の姿ですので、どんどん傲慢で偉そうになったり変な衣装で登場するようになります。

どんな立派な舞台や衣装でも役者がポンコツだったら良い公演にはならないと思うのですが・・・。医者が自分の学閥とか派閥を自慢するようになったら患者にドン引きされると思いますよ? 求められるのは技術や人柄であって所属団体ではない。

催眠を扱っている施設とか各種のホームページでも時折、そういった人はいます。

看板倒れですね。考えてみればおかしな話です。そんなに有名な王様で団体なのに私はその人を知りません(笑)。私も催眠に関わっってから長いですよ? 良い噂を聞きません。また「世界で何番目」など誰が決めるのでしょうか? 

過去にどこかでコンテストでもありました? 本気でそういった自慢をしたり、ネットで自作自演を繰り返している人もいるんですよ。殆どが数年で正体がバレて消えてしまっていますが・・・。

インターネットは自由な空間ですが、逆にいえば「どんなことでも」載せられます。

大きな団体の正会員だ、名誉会長だ、役員だなどと自慢する人もいます。また、それらしく外国人と肩を組んだ写真を撮って利用するような愚かしい人もいて、私を苦笑いさせます。

私も多少はテレビ番組などにも出演しましたし書籍も出すようにしましたが、だからといって当初の頃から行っている相談者に対する話しかけや対応などが変わったり、手順が省略できる訳ではありません。

その種のことが「権威」には当たらないと気がついているからですね。

それだで相手を信頼するような人は実生活に重要な何かが抜け落ちている人です。騙されますよ? テレビ番組やマスコミ関係者にもろくでもないのは大勢いますから。

それで信用してしまう一般人は間違っています。マスコミや番組に出演する人などを妄信していたり、勘違いして変に崇めているだけに過ぎないのです。大切なのは相手の方針とか考え方、手順や料金、人柄をきちんと確認することですよ。