社会不安と欲望の法則

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不安が高まると増える商売

2017/12/14改訂
1997/09/01初稿

不況の時期こそ、賢い選択を

ゼロ 数字 アイコン※このコーナーが最初に書かれたのは1997年です。2009年に一度加筆修正、2017年にサーバー移転に伴いレイアウトを整えました。

私が開業した当初の頃の記述ですね。日本は一時期、不況から脱出しかかっていましたが、リーマンショックで逆戻りしました。

2017年にはすでに不況からは脱していますが、不況時の参考のためそのまま掲載してあります。

残念なことに不況が長引いています。

不況は今回が始めてではありません。ある一定の周期があり、過去にも様々な形で不況は存在します。オイルショック時代や就職難と呼ばれた時代は今までにもあります。

今回の不況はかなり深刻です。要因となる部分が様々に入り組んでしまい、対策が立てにくくなっています。今までのように公共工事を前倒しして道路工事などをガンガンやれば立ち直る、というような単純な物ではなくなっているからです。

すでに経済がある程度発達してしまい、大きな次の一手と言うのが打ちにくくなっています。いわば複合型の不況ですね。その抜け道がなかなか見つからない現状の中で様々な問題が表面化してきています。

現在、企業が生き残りをかけて行っているのは、リストラや人件費の削減です。

根本的な一手が打てないので、自分の体力を温存し、必要がない(と、経営者が思っている)部分を切り落とし、本体を助けようといった考え方です。

今までその企業や会社を支えてきて大きくするためにがんばってこられたお父さんがリストラの対象になってきています。

これはこれまでの不況ではあまりなかったことです。

「若い奴」の方が安く使える、といった感覚から、本来は働き盛りの中高年の働く場所が縮められ、奪われる傾向が見受けられます。

とても残念なことですね。

今回はそれを批判、何とかする方法を、というよりも、そのような状況下において、よく起ってくる問題や商売について書きます。

同じような悩みを抱えるOLや、リストラなどで悩む方のヒントになったり、危険なことに騙されないための力になれば、と思います。

街で見かけるようになる光景

大阪には「引っかけ橋」と言う場所があります。

これは通称です。本当はエビス橋と言う、ちゃーんとした名前があります。

時々、雑誌やテレビで紹介されることがありますからご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか? その名前の通り、女の子が通るのを男性が片っ端からひっかけることから、この名前がつきました。

今は以前のような勢いはありません(笑)。私が十代の頃は、風営法などがなかったため、街が賑わうのは深夜12時以降でした。今では絶滅寸前のディスコや深夜営業の飲み屋が繁盛しており、「引っかけ橋」の周辺はナンパしようと目をギラギラさせた男がウロウロしていたものでした。

私が十代の終わり頃にも、現在のように不況に近かったのです。

大阪の就職雑誌などはペラッペラの薄さでした(笑)。若い世代は知らないと思いますが、投資ジャーナルや豊田商事が現われるものこの頃です。

そんな中で、「引っかけ橋」で目立つようになるのはナンパに混じってホストクラブなどの接客業の連中です。髪を茶色に染め、スプレーで固めたんだろうな、と言うような頭で、お客を探しに「引っかけ橋」でビラを配ったり、声をかけたりしていました。

最近、服装やスタイルは髪形は若干、以前とは変わったものの、同じようなタイプの人間がウロウロするようになってきています。

不況になると増えるのは「ホスト」や「客引き」アンケートなどといって接近してくる自称「エステティック」や「美容師」、高額な商品や役に立たないチケットを売りつける連中です。

これは、今も昔も変わっていません。

最近はインターネットを使った詐欺も多くなっています。

増える商売のパターン

円 お金 アイコン不況下において、伸びてくる商売は幾つかのパターンがあります。

まともな商売もいいかげんな商売や商品もありますが、そのどちらもの共通するのは人々の欲求、欲望によりストレートになることです。

それが不況が続くと詐欺商法が増える理由でもあります。

余談ですが、不況の折りには必ずといっていい程、女性の服装の露出が増える傾向があります。過去にはミニスカートの流行やハイレグの水着などがありました。これなども欲望に直接働きかける商品の一例です。

生地(きじ)や服地業界で、不況になると必ず売れると言われる商品の一つにペィーズリー柄などがあります。元々は女性器の形を図式にしたと言われ、不況になるとその度に形を少しずつ変えては販売されます。

その造形が不況時には特に潜在意識に働きかけると言われ、周期的に売れたりする商品がある。心理学を専門にされている方なら誰でもご存じの筈です。

不況時に「儲かりそうな」話が沢山ある筈がありません。本当に儲かる話なら他人に教える筈などないのですから(笑)。

ですが、「儲からない」とストレートに言ってしまえばそれまでです。ですから、そういった連中は社会の不安をうまく操り、いかにも儲かりそうで安心に見える話を作ることになります。

お金や精神的に余裕がある場合は安易な話には飛びつきません。応じる側、つまりお金を払う側にも多少は吟味する余裕があるからです。

ですが、余裕がなくなってしまうと正しい判断を見失い、自分に入ってくる(と思われる)物ばかりを考えるようになります。

もっとわかり易くすると、「安い、儲かる、おいしい、失敗しない、安心だ、今がチャンス」「あなただけに教える」(笑)などがキーワードです。

上に書いたような宣伝文句が書かれた広告やCM、誘い文句は常套手段です。今だけの限定品っていう煽りもありますね。実際には在庫はたくさんあるのでしょうか。

不況下だから「安い」商品に人気は集まります。それがより人間の欲求を刺激するからです。不況で買い物が自由にできない状況で安くて良い品物が手に入る、と錯覚させる手口が存在します。

買えないこともストレスなんですよ。安くなっていると話しかけることで購買意欲を呼び起こさせる。それが結果として本人に強い欲望を刺激することになるからです。

それすらも買えない、ということは現代においてありません。クレジットやローン会社などがあり、どんなに現金がなくても保証さえあれば買えるのです。それが違法な商売や、詐欺まがいの商法を助長する原因にもなっています。

欲求を刺激するのは、商品だけではありません。

「お金」が入ってくる、とか「安く遊べる」など、本能により近い商売が流行ります。先にあげたホストクラブなどもそうでしょう。不況の時期は不安感を一時期忘れるために、より強く、即物的な刺激を求めるようになります。

援助交際や風俗店などもその一つです。じっくりと誰かを口説いたり手間をかける余裕を失います。即物的に欲望に直結する商売がどうしても流行ったりします。

気がつくと多額の借金だけが残った、なんてシャレになってません。

豊田商事や投資ジャーナルなどが伸びてきたのもこの時期(昭和60年、1985年)です。より強く欲求に働きかけ、「儲かりそう」に見える職業や会社、「条件」ばかりに気をとられます。

結果は皆さん、ご存じでしょう。