コミュニティの心理学1

異質なモノに対する不安と恐怖 応用と実践

2017/12/14改訂
2001/09/01初稿

誰しもが感じる「異質な物に対する恐怖」

障害者マーク アイコン※このコーナーの初稿は2001年です。番組出演をするようになった後に東京に移り住んで仕事を引き受けていたことがありました。

事件報道(2001年の附属池田小事件や光市の母子殺人事件)に対する感想と、一般的な精神障害者とそう偽る人との違いを追記してあります。

一部は「パーソナルスペースについて」にも重なる話です。内容が重くて長文になったので2つに分けています。

人間は異質なものに恐怖します。自分が過去に体験したことのないもの、触れた事のない人々、外見や雰囲気の異なるもの、ありとあらゆる物に恐怖し遠ざけようとします。

それは身を守るための本能にも近いものです。理屈ではないのです。

いわゆるガン黒とか金髪にピアスとか腕や首筋にタトゥや入れ墨が入っている人、雰囲気の異なる見るからにヤクザっぽい人や目つきの悪い未成年者が、コンビニや駅で地べたに座っていたり大勢がたむろしているのを見て心地よく思う人は少ないでしょう。

これは日本だけの問題ではなくて。イギリスやアメリカなどでも問題視されています。近年になって話題になった「モスキート音」などはイギリスで店の前でたむろする若者を何とかして欲しいという店主の要請から開発されたものです。(「コンビニは心理学の宝庫です」などを参照)

異質な雰囲気のものが集団になれば恐怖は否応なく増します。理屈ではなく心が反応するんですよ。

相手についての情報が少ないことは特に致命的です。外見が異なるだけでも怖いのに、言葉が通じないとか相手が集団で大声をあげるなどの行為をみて好感を持てというほうがおかしいのです。

以前に東京に住んでいた頃、私は(2000年前後)移動にバスを使っていました。

その移動の際に公共の施設で身体に障害を持つ方の学校、訓練施設を通ります。ですから、その施設に通う学生や障害を持つ方が時折バスには乗ってこられます。

滅多にある訳ではありませんが、突然大声で歌い始めたり、女性に触ろうとする人(悪意があってではないと思いますが)も時には見ることがありました。

彼らにすれば毎日の通学でしょうし、悪気があってやってる訳ではありません。いつも通勤で使っているバスの乗客や運転手の方も、そういった際の対応には慣れている部分があります。

それはこの路線のバスにおいてはよくあることなのかもしれず、奇声をあげたり奇妙な動きをする彼らを適当にあしらう人もいらっしゃるようでした。

私は普通の人よりもそういった方達との繋がりがあります。たぶん、少しは慣れている側でしょう。特殊な依頼者もありましたし過去には精神的な疾患を持つ人とか、いわゆるカルト宗教に取り込まれた人を救出に行くとかもありました。

障害者の方の雇用支援問題にも兄が取り組んだり講師として指導に立ったりしていましたので、関連施設を訪れたり取材に伺ったこともあり、NPOの依頼で正式に動画編集を請け負ったこともあります。

ですからまったく無縁という訳ではないのです。彼らのおかれている状況や環境、身体的、肉体的、精神的反応についても、一般人よりは多少は理解しているつもりでいます。

身体も鍛えてしましたしね。今の仕事を始める前は肉体労働も水商売もやったことがあります。理不尽な要求、いわゆる闇社会の住人に脅されたり先輩や同業者から金を要求されるとかありました。

その後も仕事柄ストーカーに遭うとか刃物を向けられるなどもあったため、私は見た目の優男風(笑)とは違ってバッキバキに鍛えてましたよ。体脂肪は7パーセントくらいで腹筋割れてました。空手や合気道などをやったのは護身のためで、必要に迫られたからです。

でも、その私にしても恐怖感は覚えるのです。異質なものは誰だって怖いですから。必要以上に身構えてしまったり無意識に怖いと思って反応してしまうこともある。

特に雨の日、傘を持ってバスに乗り込んできた人(障害のある人)が大声で歌っていたり、傘を多少オーバーに振り回したり動かすのを見れば、おせっかいながら出ていって止めたくなってしまいます。

悪気はなくたって万が一ということもあります。当たれば怪我をするかもしれない。

そうなればバス通勤する一般人も通学に使っている障害を持つ方やご家族も大きく傷つく。それまでは普通に通学や通勤に使えていたバスが、それをきっかけに使えなくなったり、全て排除する方向に傾くことも十分に考えられますから・・・。

見た目の雰囲気と「本当の怖さや異常者」は実際には異なる

SNSマーク Facebook アイコン見た目とか雰囲気で相手を怖がるのは、「自分(達)とは違う」ように感じるからですが、実際に問題を起こすのはそういった人とは限りません。

酔った勢いでとか何人か集まった際に問題を起こすのは、わかりやすく見た目が怖いとか異質な人ばかりではなく、むしろ普段から自分を「普通の人だ」と思い込んでいる人、一般的な服装をしていたり真面目そうな方の場合もかなり多いんですよ。

JRが行った事件の集計結果でも、ホームで殴りかかったり暴力事件などのトラブルを起こした人の実年齢は50才代がもっとも多いようです。次に30代40代、20代と続き、とかくテレビでクローズアップされたり報道されることの多い「キレる世代」などと表現される10代はそれよりもずっと少ない。

まあこれはただ単に逃げ足の遅い人(体力のない世代)が犯罪やトラブルを起こした後であっさり捕まるので、そういった結果になっているとも推測できますが・・・。

マスコミも捏造や恣意的(自分たちの誘導したい方向)な報道が増えましたので「今時の若者は」と言いがために、一時はそう煽ったとも考えられます。

常識的に考えたら若い世代のトラブルだけが増えるわけがないのですが・・・。少子高齢化で子供や若者の数は減り続けており、企業が行ったアンケートでも外出はせずに家で余暇を過ごすことが多いになっています。酒を飲まなくなった世代が暴れる機会は減ると思いますよ。

その分、ネットとかTwitter、SNSやゲーム画面での罵り合いは増えてると思いますが(笑)。

この数字が事件の実態や実数にどこまで迫れているかはわかりません。ただし、若い世代だけが問題を起こすのではなく働き盛りと呼ばれる人達や社会では分別がある歳だと思われている世代でも、そういったトラブルは頻発しており、実際に警察に捕まったり届け出があるのが実情でしょう。

JRや私鉄各社が行った車内トラブルのアンケート、暴力事件とかではなく痴漢の被害者への聞き取り調査でもそのような結果になっています。

影に隠れてしまっている部分を合わせれば実数や実態は異なるのかも知れませんし、凶悪犯罪とか刃物を持ち出して刺したなどで統計を取れば、こういった結果とはまた別の次元の問題なのかも知れません。確かに若い人の事例も出てくるでしょう。

ただ間違いないのは未成年者とか外国人、いわゆるヤクザ屋さん? ばかりが、駅のホームや繁華街で問題を起こすのではないということです。それは忘れないほうがいいでしょう。

自分では「一般の人で普通の人だ」「真面目だ」と思い込んでいる働き盛りの男性であったり、普段は良いお父さんとか人の良さそうな人が起こすトラブルも多々あります。

飲食店の経営者や警察関連の方に聞けば簡単にわかりますよ。お酒を飲んだ勢いで看板を壊したり、誰かに絡んだりとお店に迷惑をかける人の大半は「普通の人」です。そして男性だけではなく酔客で迷惑をかけるのは女性だったりもします。

どちらかというと特殊な商売をやっている人は少ない。風俗嬢とかヤクザやチンピラばかりが暴れているわけではないんですよ。普通の会社員もOKも飲めば気も大きくなってしまう。若いだけではなく高齢者もいます。些細なことで問題が拡大してしまうこともある。

テレビとかマスコミ報道から受け取るイメージだけで考えれば、そういった結果にはならないでしょう。鵜呑みにしてしまえば若い連中だけが大暴れしているような錯覚に陥ります。

確かに過去にくらべれば、未成年者のトラブルも外国人のトラブルも多くなっています。ですが、それは比較対照の方法とか集計の方法に問題があって、違う手法でアンケートをとれば一般の人(というか年配層や働き盛り)もあると思いますよ。

怖いというイメージは簡単に増幅します。元々、「異質だ!」と思い込んでいるタイプの人間に対する不信感や恐怖は、ほんの少しのきっかけで暴走しがちなんですよ。相手の外見とか見た目が特異であれば尚更、強烈に印象を残します。よほど注意しないとやはり誤解や錯覚を生むでしょう。

それは私でも同じことです。特異である、ということは「特殊な仕事をしている」「見た目が派手」だけではなく「どこにも出掛けていない」というたわいのないものでも、含まれることがあります。