Nobee谷口の撮影日記 / 第二章

スポンサーリンク
ワンダフルという番組からの依頼

他にもあった理由(176ページ)

一方通行あと他にも理由として上げるとすれば、このまま辞めるにしろ続けるにしろ、自分の催眠の経験や技術が、現在、どの程度であるのか調べてみたいとは思っていました。

催眠をやっているとね。世界選手権とか無いんですよ。どっちかというと横の繋がりがなくなる。縦、つまり自分が教わったり教えた相手、被験者というか、相談に乗ったりトラブルを解消した相手とは繫がりがあります。

ですが横というか他の催眠をやってる人とは、なかなか繋がりがないものなんです。

集会とか練習会は確かにあります。懇親会や研究会も時々は行われています。しかしその参加費用が異様に高額であったり、参加資格を変につけて限定していたり主催者が何だか怪し気な集団やカルト臭がするものであって到底、気軽に参加できるものではありません。

それどころかマルチ商法か、宗教団体のような危険な匂いを感じる場合もあります。

催眠学会と名乗っているものなどもあるんですけどね(笑)。大きいのだけでも幾つかは存在します。そのお互い同士は仲がいいとは決していえませんね。

医療関係者でもどこの学部を出たとか、どこの大学の出身者だとか論文は何本出したとか、催眠とは関係ない部分で結構、大変だったりします。

私のような学閥に属さない人間には敷居が高くて参加し辛いんですよ。

するとね、自分の位置というか自分の腕、自分の行っている技術や知識、現在の経験がどの程度、実用に耐えて効果を上げられるのかがわからなくなる。

空手でいえば型ばかりに囚われる感覚でしようか? 自分の所属している団体や道場ではそれなりに実力を発揮しているが、実際にはどんなものなのかがわからないと感じる。

自分の受け持つているクライアント(依頼者)は喜んでくれます。それなりに実績も経験も増えます。ですが、それが自己満足ではないという証明にはならないんですよ。

どこかで検証する場所とか試したり発表する機会がないと、自分の考えを修正したり実力を確かめる術がなくなります。

特に急速催眠や被験性に関する知識や記述など、日本においては殆どといっていいくらいありません。専門家(と、自らが言っている人たち)が出した本でも画一的で同じ内容ばかりになり、まったく検証していないものもあります。

特にダイエットとか行動抑制については、明らかに間違っている内容が多くて驚きました。

ですから私は自分で考え、まとめてきた方法が特殊な状況下においてもどれくらいの効果があるのか、実際にどこかで試してみたかったんですよ。

まあマッドサイエンティストに近い発想かも知れないですが(笑)。

他の先生が出した催眠に関する記述や著書に対しては疑問もありました。自分の経験と重なる部分や共感できる部分も確かにありましたが「本当にそうなのかな?」と強く疑問に思うところもああった。明言している部分に間違っていると感じることもあったのです。

私がそれをいくら自分のホームページに懸命に書いたところで信じない人は信じません。

どこかで実際に実証しないと認めては貰えない。その人が番組に露出したりマスコミにさえ出れば本当だ、と思う人も世の中には多いですからね(笑)。

「あの人(番組に出ていた他の催眠術師)はそうは言っていない!」と、その方の著書を数冊読んだだけの一般人から罵る内容のメールが直接届くわけですよ。

それはちょっと悔しいじゃないですか? 

「番組に出さえすればいいのか?」って話で。

まあそれ以前に「自分の考えが正しいのかどうか?」を知りたいという欲求がありました。研究者というか技術者や職人の癖ですね。「知ってどうするんだ?」って部分もありますが知識欲求が強い人間でないと、こんなものには最初から関わっていません。

テレビ番組の依頼はある意味、私にとって渡りに船でした(笑)。なんせ「もう辞めてもいいや」くらいに腹括ってる最中に降って湧いた話です。

これは自分の実力や考え方、これまでの経験や技術の検証や証明の場所になるのではないか? と考えたのですよ。