催眠術師のひとりごと / 第五章

スポンサーリンク
催眠の利用方法やストレスの軽減

潜在意識、「自分でも知らない自分自身」(146ページ)

プレゼント 箱何かの精神的なトラブルが生じた場合、何の原因もない、などとは考えられません。

よく人は「何となくイライラする」といった曖昧な表現を用いますが、現実の話、理由もなしに苛立ったり気分が優れないなどはないのです。

本人が自覚できないか、認めないだけですよ。

例えば友達が結婚するとか、昔好きだった誰かと付き合うようになったとします。

友達のしかも仲の良い友人であればある程、表面上は「喜んであげなきゃ」とは思います。ただしそれが本音とは限らない。興味深いのはですね、本人にとって核心に近い部分、つまり、自分が本当は気にしている部分ほど「本人は認めたくない」ですから・・・。

自分ではそれが原因だとは思いませんし、認めようともしなくなるのです。

これらは強いストレスとして潜在意識に蓄積されます。本人が簡単に認め「羨ましいなー」とか「私もああなりたいな」などと平気でいえる人の場合はね、意外にストレスにはならないんですよ。

我慢してしまったり、真面目で相手を「祝福しなきゃ」と思う人がストレスになりやすいのです。

本人が原因だと思っているのとはまったく違う何かがきっかけで、トラブルやイライラが生じているケースがあります。

ですからまず、私は催眼を用いた場合、心の中にその原因が存在しないか探すようにしています。

催眠を用いる際に事前に行う聞き取り調査が大事です。

実際にはご本人の自己申告や原因だと思っていることは参考程度にしかならないんですよ。よくあるのは「私が悩でいるのはこれが原因だ」と決めてから施術を受けに来る場合です。

こういった人は頑固であると同時に施術者にとって非常に厄介です。精神科のお医者さんでも同じ印象を持つと思いますが、こちらの判断や指示には従わず一方的に相手を否定したり、自分の考えに合致する相手を求めてあちこちを彷徨う(さまよう)ようになるからです。

これだと順序が逆ですね。診療とか診察とかカウンセリングではなく、自分が気に入った返答を与えてくれる占い師を探し歩くようなものです。

本来なら「何となく」ではないのですよ。意味もなくイライラするなんてことはない。原因もなしに結果が起こることはあり得ません。

例えば会社で嫌な上司に嫌味をいわれたとか、家族に自分の気にしている何かを突っ突かれたとか、外見や服装を笑われた、帰り道で嫌な奴に久しぶりにすれ違った(笑)。とか。

これ、すべて実際の催眠誘導で出てきたことです。

自分では自覚できないとか意識もしてなかったはずの出来事や発言で傷ついたりイライラすることがあるのが人間ですね。中には「妹の結婚が先に決まったことが許せない」ってお姉ちゃんもいました。

ご本人には悪気がないことが殆どです。「こんなことくらいで」と思うような些細な出来事やきっかけでも、たまたまタイミングが合ったり何かが重なり合うと精神的なトラブルになる場合もあります。

女性などにはよくあるバターンですが、さっきすれ違った「自分にとって嫌な奴」がなぜか「幸せそうに見えた」というだけでイライラすることもあるんですよ。

女性心理、花束の心理学
2017/12/07改訂1998/03/30初稿心をこめて、プレゼントを贈りましょう以前にちょっと面白い経験をしました。知り合いの女性が学校を卒業して社会人なる時です。私はそれを祝って、卒業式に花束を持って出かけることになりました。ちょっと...

自分の現在における生活や環境と無意識に比較してしまい、イライラする、腹が立つなどといった反応も起こってきます。私のほうが幸せだと思えるうちは平気だったりするんですけどね。

ご本人はショックを受けない(受けてない)つもりでも受ける時は受けるんですよ。

そして、それは本人にすればなかなか受け入れ難いものだったりもします。

「あんた、いつまで家にいるの?」と、親が何気なしにいったとしましょう。たまたま職場や友人に同じような言葉を投げかけられた直後であったらどうでしょうか? 

その女性がたまたま適齢期に近い年令であったら? 仕事が忙しく恋人と会う時間がとれなかったら? 友人からの「結婚しました」というハガキー枚、幸せそうに笑っている姿を見ただけでもイラつくようになります。

本人は自覚していないんですよ。ただの偶然の繰り返しに過ぎないのですから(笑)。それが結果として「何となくイライラする」という表現になります。

本人が意識していない原因やきっかけ、またそういた状況などが蓄積されたもの、それらを総称して「潜在意識」といいます。

催眠を用いてトラブルとなった内容やきっかけを旅するのはそのまま、その人の潜在意識と呼ばれるものの中を彷徨ったり旅することに似ています。

女性の過食の原因が、過去に起こった些細なきっかけが元になっている場合もあるんですよ。例えば失恋とか、誰かに冷たくされたとか、自分に自信を失うような一言を誰かにいわれたとか・・・。

強いショックを受ける内容であればある程、本人の表層意識からはきれいサッパリ消え去っていることもあって。催眠をかけるとしっかり出てくるんですけどね。

ですからその原因を探り、そこに加えられているストレスやエネルギーを吸収したり、吐き出させることで効果を狙います。過食などの場合、そこに溜まって自分の思いを吐き出した途端「ああスッキリした」といってピッタリと食べるのを止めるケースもありましたね。

面白いですけどね。これはダイエットや催眠に限りませんが、本人は気にならないと思った内容が実際には気になっているのです。それは無意識には残ってしまい影響を生じさせます。

それを顕在意識(目が覚めている自分自身)ではどうしても認めることができないが故に、そういった原因とは直接は繋がらない他の行為(代償行為といいます)に走っているケースは住々にしてあります。

ですから、催眠などを用いて本当の意味でのきっかけや原因を探すようになります。

初期の頃はいきなり「催眠をかけた」のですけれどね(笑)。

広大な誰かの心の中を道しるべもなく冒険するようなもので。断片だけが様々に浮き出てきて推測に四苦八苦することになりました。今は筋道を立てるために事前にご家族とかご本人、周囲の友人や知人からできるだけ聞き取り調査をして、カウンセリングを行ってから誘導をやります。

雑談も含め話をよく聞いて「起きている時」つまり顕在意識からも情報や断片を集めておきます。その上で潜在意識と顕在意識のズレを埋めて隙間をなくして行きます。

すると、ご本人にもストレスの原因や問題の根本が理解できますから「なんとなく」イライラすることもなくなり、解消に役立つようになります。