催眠術師のひとりごと / 第三章

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多重人格と向き合って催眠を使う

存在する複数の原因(83ページ)

古いタイプの鍵 アイコン詳しい経緯やどういった方法を用いたのかはここでは省きます。長くなりますから。

ただ、彼女の中には点在する複数の理由が存在しました。

私はそれを知った時、迂闊なことに泣きました。

覚悟して始めたつもりでしたから、少々の内容では同様しないつもりでしたが・・・。「こんな酷いこともあるのか」と思ってしまいました。

そして、そこに関わっている全ての人間たちの身勝手さ、卑怯さを苛立たしく思い呪いました。

曲がりなりにも現在、カウンセリングを行っている人間が相手を呪う、などといった表現を使うのは適当ではないのかもしれませんが・・・。

ご批判もあるかもしれません。ですがこの時、私が感じた感情はその表現しか当て嵌らないようにも思うのです。私は当時、彼女を傷つけた相手に殺意すら持ったのかもしれません。

もちろん、彼女には私がそういった激しい感情を持ったことは内緒にしていました。

怒りと悲しみ、そして憎しみと苦しさがありました。やっぱり覗かなければよかったとも思いましたし、彼女を「何とか助けてやりたい」とも思いました。

彼女の中には大きく分けて、三つの原因が存在していました。

前にも少し触れましたが、多重人格が起こる原因には子供の頃の虐待や性的な嫌がらせ、思春期の頃の多大な圧迫感などが上げられます。

暴行や暴力、子供の力でははね除けられないようなブレッシャーやトラブルに見舞われ、その衝撃から自分の心と身体を守るために、心の一部を分離し異なった人格を作り上げることで、本体のパーソナリティ(人格)を守ろうとするのではないか? といわれています。

元は同じものであっても、同じであってはならないのですよ。それを自らが認めることは自分の受けた傷や過去を全て認め自分の中に受け入れることになります。簡単に受け入れられる内容なら、元々分裂など起こりません。

それが起こっているという現実は、それはそのまま本人がその時に受けた傷や衝撃の大きさを指すことになります。ショックで死にかねない程の衝撃であれば、それを本人が受け入れることは絶対にありません。

人間は残酷な生き物なんですよ。自分には関係ないと考えると、どんな酷い内容でも平気で行います。

それで相手がどんなに傷つくかとか、相手がどんな思いをするかなど考えたりはしないのです。我が身にさえ危険が及ばなければ、人間はどのような残虐行為も平然とやってしまう可能性があります。

他人が困っているトラブルや嫌な出来事も平気で馬鹿にしたり、当事者の気持ちも考えずに誹謗中傷を繰り返したり嫌がらせを行ったりもします。匿名であれば何でも平気で行ったり、自分の薄っぺらな正義感や価値観押しつける人間は社会に数多く存在します。

相手の立場になって考えないからです。自分がその立場に入れ代わることは決してない、と思っているからです。

自分自身や自分の身内や友人には決して行わない内容であっても他人だから、俺には関係ないから「コイツにはにはやってもいいんだ」と勝手に決めつけ、それを行っているからです。

いじめなどの問題でもそういった状況は時々、起こってきます。それが原因で相手が死んでしまっても「アイツが悪いんだ」と平気でいいます。まったく良心が痛まないというか、最初から備わっていないのではないか? と思う人は確かにいるんですよ。

そういった人間にとって、自分が誹謗中傷やイジメに積極的に関わっていてもまったく心が痛まないのです。

所詮は「他人事」なんですから・・・。

自分が同じことを行われれば「痛い」という当たり前の出来事が、現実感を持って受け止められないからです。

そういった人間ほど自分の痛みには敏感で、すぐに泣いたり喚いたりします。行われた内容をそっくりそのまま誰かがやり返してやれば泣き叫ぶと思いますよ?

自分は平気で周囲に自分の痛みや苦しみを理解させようとしたり、わかってもらおうとしますし、自分の立場は押しつけようとしますが、相手の痛みには気がつかない。

気が付かないのではなく理解しようとはしない。駄々っ子と同じですよ。

彼女に群がり勝手な憶測を話し中傷を繰り返したり、嫌がらせを行った人間はそういった種類の人間です。また、彼女の心と身体に直接、影響を残し、痛みを残した人間は他人の痛みを知らず、自分は常に安全だと考える愚かで傲慢な人間でしょう。

私は、そのような人間をとても嫌っています。

彼女の中には子供の頃と思春期の頃、それに成人になってからと、複雑に結びつきからみ合った三つからなる原因が存在していました。

それぞれの出来事は、それを覗き見ただけの私にさえ大きな衝撃を残す内容でした。そのたった一つの出来事でも普通であれば死んでしまってもおかしくない内容であり、彼女の心には多大なショックが加えられていました。