相手への配慮、自分の心の持ち様が大切(228ページ)
一瞬の表情、一瞬に見せる視線やその感覚。理屈ではないように思いますが、実際には人間は相手のそういった瞬間に見せる反応を見分けて「なんか、ヤダなー」といった印象を持つのです。
本当はね。理由もなく印象が決まることはないんですよ。そこには情報として「何か?」が必要です。外見も含むかも知れませんが、決して外見だけでは決まらないと思いますよ?
下心があったり魂胆があれば目つきや態度、声のトーンや口調、雰囲気にそれが滲んでしまうのです。
優秀なセールスマンとか営業マン、またはナンパの達人(笑)と呼ばれる人は、いかにそういった自分の中にある悪い方向の感覚を消すかを考えると思います。
いいですか? ここがポイントなのですが「隠すのではなく消す」ということが重要なんですよ。
隠すことでは、どんなに上手に隠したとご本人が思っても相手とか周囲には伝わる場合があります。
人間はそんなに鈍くはないんですよ。うまくやったつもりでもそんなに長くは続かない。一時はよくてもしばらくすると伝わってしまいます。
いかがわしい感覚やトラブルを振りまいたり魂胆のある人は考えを改めたほうが早いのです。どんな仕事につこうとどんな技術を身につけ知識を漁り、何かに関わろうともうまくはいかなくなります。
自分の心の中から消してしまえば、悪い印象は相手にも伝わりようがありません。
人間なんですからどんなその道の達人、プロと呼ばれる人でも本音は同じかも知れないですね。セールスにおいても売りたいものは売りたいですし、口説きたいものは口説きたいのです。
ですが、あまりにもそれが全面に滲み出し、その感覚にこだわったままで相手と向き合えばよほど勘の鈍い人以外には「あの人、なんか気持ち悪い」と捉えられて距離を置かれるでしょう。
そこはテクニックといいよりは、こちらの気持ちとか心構えの問題なんですよ。
温かい気持ちや優しさを込めて相手をまっすぐに見る人と、小手先のテクニックに囚われれて策を弄する人と、あなたなら「どちらを信用して」どちらから商品を買ったりお付き合いをしますか?
あなたご自身が逆の立場なら、どちらから口説かれたり信頼して商品を買ったりしたいでしょう?
そう考えればわかります。催眠も同じですよ。自分の感覚を正しまず、自分の気持ちや姿勢から整えることです。その上で相手をまっすぐに見る必要があります。そうすれば相手には伝わるものがあります。
催眠において戦うのは実際には被験者ではないんですよ。自分自身の場合が多いですね。
策を労しどんなに催眠の専門的な話を延々と繰り返そうと、様々な症例や自分の手がけたケース、有名人に催眠をかけた話を得意げに話そうと、深化しないものは深化しません。
信頼感、つまりラポールを形成する為に必要な内容を勘違いしており、失敗しているからです。
相手の気持ちとか立場、心の持ち様を考えず、小手先のテクニックにこだわることは無意味です。そういった人は身体への触れ方がとか立ち位置がとか、言葉遣いや文章がといったことばかり考えるでしょうね。
そういった指導書、テキストも存在しますよ? 副次的なものでメインテーマではないのですが(笑)。
それでは先にあげた女の子を強引に口説こうとする男と同じになってしまいます。
逆説的ではありますが・・・。相手に信頼してもらうためには、まず、「小手先のテクニックを捨てること」です。あなたの姿勢や心の持ち様が重要です。相手とまっすぐに接することです。
特にカウンセリングとか精神的な悩み事と向き合う時には必要ですね。
「あなたが嫌なことは相手も嫌」ですよ。
それこそが相手に対する、もっとも重要な配慮になります。