Nobee谷口の撮影日記 / 第三章

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ゲリラ催眠in渋谷

急速、瞬間催眠のためのラポール(234ページ)

握手ラポールはね、実際には一瞬でも作れます。

あちこちに書かれている催眠の解説書には、そう書いてはいませんけどね。私が先に述べた「言葉に込められる思い」や相手に対する自分の姿勢や感情、態度までを正しく理解すれば少しはわかるようになります。

相手のほんの一瞬の表情や感情を捉え、自分の態度や感覚、心構えをただした上で相手に話しかけるようにすれば、被験者との心の距離は縮み、ほんの一瞬でも信頼感が形成されるようになります。

そうすれば、催眠にはかかるようになるんです。何十分も話しかけないと催眠はかからないとか、必ず事前催眠が必要だなどと説く先生もいるようですが、私は必ずしもそうだとは思っていません。

人間が相手から一瞬で受け取る印象にはその人を判断する多くの情報が含まれていると考えています。

わかりやすく具体的に上げると服装や髪型、声のトーンや話しかけ方、年令や性別、身長や体形、その人の目つきや視線、笑顔、握手の方法、体臭や近づき方まで。ざっと例を上げるだけでもこんなにあるんですよ。

目に見えるものから見えないものまで含めるとその組み合わせは無数になるでしよう。

それが全てとはいいませんが、第一印象は意外に大切だったりするんですよ。人はその一瞬で多くの情報を得ます。それで相手を計り場合によっては安心し警戒します。

そういったものを理解しないというか考慮に入れない方は、人間の情報を受け取る能力をまったく理解していないか、不当に低く評価しているからに過ぎませんよ。

一目惚れってあるでしょ?

大昔の文学作品から聖書や仏典の中にまでそういった記述があります(笑)。

おかしいと思いませんか?今までに一度も会って話もしたことのない相手にその一瞬で好きになって一目惚れするなんて・・・。運命の恋って言い張る二人が結構な頻度で出現してますよ?

私は「あなたたちが前世で知り合いだったから」なんていいませんよ(笑)。バカバカしいので。

私の感覚ではその人が一瞬で受け取った情報の中に相手を認め、自分が求める「何かの情報」があったからだと思います。安心感とか好意、近づいたり目にしただけでドキドキするものが含まれていんだと考えます。

潜在意識の領域に近づく話なのかもしれませんが、社会にはそういった実例が数々あるんです。

双方に「いいな」と共感する部分があって残りが後付です。

本来なら先に「言葉」があり、話し合いの上でお互いが理解し合えるならそれはそれで素晴らしいでしょう。ですが、その人とはそれが初対面であるにも関わらず、なぜか懐かしい感じや落ち着いた感じがあったり馴染むことはあります。恋愛だけではなく得意先でとか友人関係でもね。

初対面の相手でも、心がドキドキする「胸の高鳴り」があったりね(笑)。

私は基本的に一目惚れはしないタイプですが、それでも過去に数回くらいはそういった経験があります。

催眠を勉強した割にはその辺りを理解できず「催眠はすぐにかかったりしない」とか「ラポールの形成には何時間もかけなければいけない」って主張する人がいますが・・・。

それは、自分では一目惚れなどしない人なんだと思いますよ(笑)。

催眠術以前にもっと数多くの人生経験や対人関係を経験してください。初対面なのにどうしても虫が好かないとか「何か気になる」って相手はいてね。おそらく自分の中にある何かが琴線、心の中の大事な部分に触れているんですよ。それが第一印象を呼ばれるものです。

確かに、ラポールの形成には時間をかけなければならないケースもありますが、全てがそうではないんですよ。相手(この場合なら被験者)が受け取った自分(私のような施術者)の印象が良好であるならば、心の距離を一気に縮めることも可能なんです。

私もどっちかというと初対面の人に好意を持ち「好きだ!」と急接近するタイプではないです。それでも初対面の時点で「この人と付き合うことになるのではないか?」との予兆を得たことはあります。

まあ、世の中が一目惚れする人ばかりでも恐いでしょう? 自分の直感を信じてゴリ押しする人ばかりになったらストーカー天国になってしまいます。

そういったタイプの人は全体の比率らすると少ないとは思います。

ですけどね、恋愛は別として他の出来事ならよくわかったりします。初めて仕事をする相手なのに、なぜか自分と感覚が合うというか馬が合うというか。何度も話し合いを行ったり飲みに歩いたわけでもないのに「コイツとはまた仕事がしたいな」と思える相手など。

皆さんにもそういった感覚はありませんでしたか?

店員などにもいるでしょう? 理屈ではなく「コイツは絶対に嫌だ!」って感じる場合もあります。相手を一瞬で信頼する場合もあし、逆に一瞬で「嫌だな」と感じる場合もあります。

それは誰にだって起こる現象なんですよ。不思議には感じませんか? 私たちは一瞬でいったい何を相手から受け取っているのでしょうね?

それらを突き詰めて考えると「ラポール」つまり一瞬で信頼感を作り、相手との心の距離を縮める方法も可能性としてはあるのではないか? と考えるに至ったのです。

急速催眠や瞬間催眠などにおけるラポールの形成には、確かに相手との相性や一種のインスピレーションに近い部分もあります。人間の持つ「勘」や超感覚、第六感に近い部分があるのは否定しません。

この本で何度か触れましたが、私は人間の心理的な反応に「なぜか?」はないと思っています。結果として起こる現象には必ず何らかの理由があり「起因となっている出来事や情報がある」と思っているからです。

ですから、その「勘」とか相性、インスピレーションだと思われている現象も突き詰めて考えると「相手から受け取る一瞬の情報」に過ぎないのではないか? と私は捉えています。

それを元に考えた内容が私の急速催眠の基礎になっています。長くなりますからここで詳しくは述べませんが「お互いが受け取る相手の印象」にこそ、短時間で信頼を作り上げるヒントはあると思っているのです。

自分の心の持ち様から滲む人格やその人の個性。それが相手に雰囲気や情報として一瞬で伝わります。

急速催眠や瞬間催眠についての説明を一言でするならば、私は「相手との相性」を「自分で作り出そう」と考えたのです。

自分の持つ「雰囲気」に、意図的に多数の情報を織り交ぜる。その一瞬に過ぎない閃きやインスピレーション広い意味では「第一印象」に何らかの影響を与えることができるのではないか? と考えたことになります。

それによって相手に与える印象を変えて一瞬で安心させたり、心理障壁を瞬間的に乗り越える方法がないのかどうか? を真剣に考えるようになっています。

私はすでに私の考えた方法を利用して、実際に幾つかの催眠誘導に短時間で成功しています。今回の収録もその一例になるでしょう。

営業や販売の仕事に携わっていた際に、私の売り上げが異様に上がったのはそういった感覚が作用しているからかも知れないですね。私の与える何らかの情報操作や印象に、自分の売り上げの秘訣があったのでは? と考えました。過去に何度か常識から外れるような売り上げになることがあって、売り場では有名になって。

私自身が周囲への説明に困ったのです。

自分でも訳がわからない。(なんでだろう?)と真剣に考えた。

体調不良で風邪薬を飲みすぎてフラフラの状態でも売り上げが良かった。自惚れとか売り上げ自慢よりもそれが「なぜ起こっているか?」のほうが気になったんですよ。

いわば現象が先で、理論や説明が後ですね(笑)。なぜだろう? ばっかり考えるのは子供の頃から結局、変わっていないのかも知れないです。

私は人間の持つ雰囲気や印象が「無意識に」相手に何かを伝えるのであれば、それを自分が意図的に操作する方法もあるのではないか? と考えています。

無意識にではなく「意図的に」行っても同じことが行えるのではないか?と考え、様々に工夫を加えています。それが私の現在の最大の関心でありテーマです。

この部分はじっくり煮詰めています。そのうち、小説にでもしますかね?

「ラポール」とはお互いの心の距離です。そこの部分を正しく理解できれば私の行った街頭での急速催眠などにについても多少は理解できるようになると思います。

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