Nobee谷口の撮影日記 / 第三章

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ゲリラ催眠in渋谷

言葉を操るだけが催眠ではない(232ページ)

曲がりくねった道の標識ですが催眠を学ぶ人が誤解してはならないのは、その力だけを過信してはならないってことです。

言葉はね、自分の気持ちや感情を表す道具に過ぎないんですよ。

ですからそこに自分の思いや感情、気持ちがこもってこそ十分に力を発揮します。ただ単に薄っぺらな感覚で、文章の組み立てや記述を考え、マニュアル通りに言葉を操ればいいと私は思っていません。

それが催眠や心理学の基礎、広い意味では「言葉の持つパワー」の本質ではないのです。

言葉は重要です。私は何よりもその力を知り、利用研究している一人なのかもしれません。でなければ文章を書いたり、催眠などの仕事に関わったりはしていないと思います。

ですが言葉だけで、また決められた手順だけを繰り返しさえすれば相手が催眠にかかり、意識を失うと考えるのは極めて危険な考え方であると同時に、周囲に疎まれ嫌われる感覚だとも思っています。

言葉を用いその力や使い方を考える時、もっとも重要なのは「そこにこめられた思い」や願いだったりするのですよ。

思いや気持ちを表現するために言葉があり、使い方によっては誰かに感動を与え何かを動かす場合もある。これが言葉の正しい用い方であり催眠であったり「文章の本質」でもある、と考えています。

それがない言葉は相手の心を打ちません。相手から反応が得られないのです。誰かを操ろうとか、手順通りに行えば必ずうまく行くに違いない、などと考えると必ず行き詰まります。

そこには思いがこもっておらず、相手に感動や共感が呼べないからです。

独り善がりの一方的な思い込みを押し付けることになれば、感動どころか嫌悪感が先に立つでしょう。

求められているのは条件の提示ではなく「その条件を」なぜ、こちらが良いと思っていて勧めているのかの説明であり納得なのかも知れないですね。商品を売るための説明と、商品を理解して貰うための説明は似ているようですがまったく異なります。

そういった部分を理解しないと(催眠をいくら真剣に勉強していても)意外に早く壁にぶつかります。手順やマニュアルも大事かもしれませんが、そこに込められる言葉の意味や願いを大切にしてくださいね。

ダイエットに関する説明でも一部述べましたが・・・。早く痩せさせればいいんだろうと考え「食事にゴキブリが混じっている」などと暗示を行えばいいと得意満面で自著に書き綴っている先生もいました。

あなたはそれを自分にとか、自分の家族や友人に行いたいでしょうか?

過食に悩み、食事を吐くようになった自分の恋人や奥さんに。また我が子に。「痩せさえすればいいんだろう?」と考えて、そんな言葉を押し付けますか? そこに優しさとか「良くなって欲しい」との願いはありますか? そんな当たり前のことすら見失って催眠の専門家を名乗る人がいるのです。

そうあってはいけないでしょう。自分が嫌なことは相手も嫌です。共感も呼べませんしかかりも浅くなる。それは効率のよいマニュアルではなく、施術者側の歪んだ自己満足に過ぎません。

そういった感覚を捨てること。でないと一向にうまくはなりませんよ。