言葉の持つ、力とその意味(230ページ)
言葉はとても重要です。催眠、また営業や販売などの仕事に関わっていると「たかが言葉」なのに、それにどんなに素晴らしい力があるのか、また自分の話しかけ方一つによってどれほど結果が異なってくるのかがはっきりはわかったりします。
現在、営業やセールスの仕事に従事する方ならわかると思いますが。生活がかかっていますからね。「たかが言葉じゃないか」とは、とても言えないんですよ。
その使い方一つで、明日からの自分の収入や売り上げ、生活や未来ががまったく違ってしまうからです。
暗示や催眠はね。確かに「かかるまで」は他の要素もあるんですが、一旦かかってしまえば指示は言葉で行います。それは「たかが言葉」の繰り返しに過ぎないのですよ。
文学や小説などもそうです。たかが記号や文字の羅列に過ぎない内容で、様々な人間の感情を左右し時には大勢に感動を与え時代さえ動かすことすらあります。
また、その使い方によっては催眠のような、複雑で不思議に思える反応も起こせるのです。
映像や音楽などにも力はあると思います。ただし言葉、動物の中で人間だけが持つ「言語」はもっともシンプルで原始に近く、人間の感情や感覚により強い影響力を持っています。
言葉を操る人間だけに備わった力なんですよ。
人間だけが言葉で泣きます。文章を「読んで」泣いたり笑ったり、苦しんだり怒ったりもします。たかが記号と数字の集まりに過ぎないものなのに、投げかけられた言葉、書かれている文章を読み、その意味によって傷つきもしますす喜びもします。
使い方によっては自分の感情や相手の感情が左右されることもあります。
私にすれば催眠、つまり言葉で暗示にかかり色々な現象が起こるというそのことよりも、そのような希望や数字の羅列で人間の感情が言葉で左右され、笑い泣き怒る、といった反応が起こることのほうが不思議に思います。
何年か前に「一杯のかけそば」という話がありました。ご記憶されている方もいらっしゃるかもしれません。
あれは本当だ、いや作り話なんだといった論議もありましたが、私からすればそのたった原稿用紙数枚に過ぎない短いストーリーで泣く人や感動する人が大勢いるってことが興味深いものになりました。
言葉の持つ力の証明でしようね。私からすれば巷で起こっていた論議「それが実話かどうか?」なんてどうでもよかったんですよ。言葉の持つ力というか、その浸透力や拡散力、影響力に驚きました。
長い文章ではない。昔からどこかで聞いたようなストーリーです。そのありきたりにも思える物語を読んで大勢が泣いたり笑ったりするというその現象、周囲の受け取る印象や反応について考え「なぜ、こんなことが起こるんだろう?」と不思議に思ったんですよ。
ならば、自分にだって起こせるかも知れない。
催眠のみならず、営業、販売、また今回のように本を書いたり、文章を書くなどの仕事に携わっているとその言葉の持つ意味とかその力について、どうしても多少は理解し考えざるを得ません。
言葉には確かに、何かを行い実際に動かすだけの力があるのですよ。