どんな職業、分野、商売でも同じ
たまにテレビ番組などで専門的なことを並べ立てて悦にいっているコメンテーターがいますが、ありゃただの馬鹿ですよ(笑)。専門家が自分の専門分野のことに詳しいのは当たり前です。
それをかみ砕いて一般の人にもわかるように話せてこそコメンテーターですし、プロとしての仕事です。観る人のイメージや感情を揺さぶって自分の意見を受け入れさせるために出演しています。
自称、専門家が自分の意見を押し付けようと相手の発言を遮ったり、感情的になってヒステリックに叫んでるのを見ると苦笑いします。居酒屋でご高説ぶってるおじさんと変わらないレベル。
日本のテレビ番組、特に討論会とか報道番組は本当にレベルが低くなりましたね。昔のリベラル系とかサヨクを名乗っている方々は本当に手強いというか凄い論客もいたものですが・・・。
ここ(ホームページ)で書かれている内容、これは基本的に「雑談」です(笑)。
専門家であるならば、直接お金にならない話や利益に繋がらない話でも説明しなければなりません。直接的でストレートな話、「商品の説明」や宣伝は、短期間でみれば確かに効果はありますが、そればかりではそうそう長くは続かないんですよ。
粘り強い説得、無駄にも思える対応、販売や実績に直接関係なくても顧客が「興味をそそられる」内容が書けたり話せること。それが後にその人の信頼となって跳ね返ってくる例は多数あります。
そしてそれは「販売員」や「書き手」「話し手」の能力をも高めます。
ホームページにおいても同じことです。自分に都合の良い宣伝は確かに一時的には強い力を持ちます。そちらに流される人も出てくるでしょう。ですが、本心とか実情、中身を粘り強く解説し、長くきちんと運営を続けたホームページのほうが結局は説得力を持ちます。
それは時間の無駄などではないんですよ。本当はその時間こそが大切で必要な努力です。
先にも述べましたが、最初から自分の商品の説明や商売の自慢話ばかりに終始する人にいったい誰が期待しますか? 見え透いた「魂胆」ばかりが鼻につきますよ?
そろそろ社会全体でそういった歪みや焦り、偏見を考え直す時期に入っていると思います。
私が販売などの仕事に携わっていた頃ね、とても大切にしていたことがありました。相手に「何かを売りつけよう」ではなく常に自分の商品の「中身を説明しよう」「伝えよう」と勤めることです。
売りたいのは山々なんですよ。販売員なんですから(笑)。生活もかかっていますし、金が欲しくない人はいない。会社のノルマや他のメンバー、社員への面子(メンツ、体面ってことです)もあります。
でもね、だからといって、あまりに「売りたい!」という感情を持ちすぎると、それは一瞬で相手に伝わります。その思いを全身から態度に滲ませることになっているからです。
老若男女関係なくその焦りが伝われば販売なんぞ、うまくいくわけがない。
これは販売だけではなくて催眠誘導やカウンセリングにおいても同じです。
よくあるでしょ? デパートの売り場などにゆくと、にこやかで丁寧だけどすぐに立ち去りたくなる対応が(笑)。近寄ってきて「何をお探しですか?」と言うなり張り付いて離れようとしない。
あれが前時代的な対応なんですよ。
表面をいくら取り繕っても「売りたい本人の」思惑が滲むのです。それを相手の「潜在意識」がしっかり捉えてしまえば、どんな言い訳も作り笑いも効きません。
販売員だって「人」に過ぎない
どんなに丁寧であっても、売りたい気持ちが全面に出ると相手は嫌がるようになるでしょう。意外なことかもしれませんが、売りたい気持ちをある程度抑えたほうが商品は自在に動きます。
これは私が経験から学んだことで、私はそれを実証する形で売り上げを作りました。
これは販売などの仕事に限らず、恋愛などでも同じでしょう。
口説きたいとか「やりたい!」(肉体関係を持ちたい)とだけ考えている男性と合コンしたり、飲みに行ったらどう思いますか?
それが全面から滲み出している男性がモテますか? 私はモテないと思いますよ(笑)。余裕がなくてギラギラしてるでしょうから。気の利いた会話とか落ち着いた振る舞いが出来るわけもない。
早く二人きりになろうとか、外に出て部屋に来いだとか、飲ませて酔っ払わせて手っ取り早く済ませようとするのが関の山でしょう。女性を大切にしないこともすぐにバレますよ。
女性には玉の輿を狙う人もいるようですが、男性にだって金目当てだと気づかれてしまえば敬遠されます。口を訊くどころか連絡先を交換したり、近寄られることすら厭われるようになるでしょう。
何かが欲しい、というそればかりが全面に出てしまえば、その人本来の良さとか優しさ、魅力は伝わりません。むしろ、マイナスイメージばかりが強調されるでしょう。
誤解や錯覚が増えます。本当の人柄ではなく強引さとか横柄さ、焦りや欲得ばかりが伝わってしまう可能性があります。それはやっぱり悲しくないですか?
これは私の著作でも書いた言葉なんですけどね。仕事や恋愛に対して情熱を持つことはいいことなんですよ。ですが、相手と向き合った一瞬の感覚から人間は意外に多い情報量を手にしてしまいます。隠してもお互い本音は透けて見えるのです。
ですから変に隠したり偽ったりするのではなく、相手に誠実に向かい合い、余分な感情や力を抜いてから「誰か?」とか「何か?」に接したほうがいいんですよ。
難しいように思うかもしれないですけどね。
それは得意先や顧客ばかりではなく、家族や友人、恋人や「これから口説こうとする人」でも同じ。本音とか欲は誰にだってある。ただしそれが剥き出しなら家族だってドン引きですよ(笑)。
私は販売や仕事、恋愛においてあなたの魂胆を「隠せ」というのではありません。
よく意味を取り違えする人がいますが、今回のこのコーナーの意味はそうではなく、肩の力を抜いて少しは「相手の立場に立って考えろ」ということです。あなたが嫌な行為は相手だって嫌です。やりたいだけの男はモテないでしょうが、同じ意味で金目当てだけの女性もモテませんよ?
それがわかるようになれば、どんなに互いの立場や環境、考え方や姿勢が異なっても繋がりあう瞬間があります。反対にいえば、それが無い限りどんなに巧妙に魂胆を隠そうともうまくはいきません。
販売員も人間ですよ。やはり好き嫌いもありますし相性もあるでしょう。
別にカリスマでなくともあなたに出来ることはある
最初から最後まで、雰囲気のうっとおしい客に「なあなあ、にーちゃん、もうちょっとまけてーな!」としつこく絡まれれば切れそうになる時もある。「誰が値引きなんてするもんか!」と反対に意固地になる場合だってあるでしょうね。
ところが、結婚記念日の贈り物だったり。女性にプロポーズしようと少ない稼ぎの中から費用を捻出して指輪を買おうとしている方だったりするとね。できれば良いものを探してあげたいと願ってしまう。
それで私の給料が上がるわけではまったくなかったのですが・・・。心意気に反応はします。
私がまだ若かった頃、福井県にいた女性とお付き合いしたことがありました。田舎から大阪梅田に遊びに来てくれた時にね。一緒にデパートに入ったんですよ。
その時、中にいた女性店員が私の彼女を上から下までみて鼻で笑ったのを今も覚えています。確かに洗練された都会的な格好ではなかったと思いますよ? ですが、そんな態度をとられる理由もない。
私自身がその後、デパートで販売員をするとは思っていませんでしたが・・・。とても腹が立った記憶があります。私が販売実績ができても横柄な態度にならなかったのは。そういった連中と一緒の感覚になることがどうしても嫌だったんでしょう。
私の売り上げが良かったり返品率が低かったのは「感情移入」でしょうね。専門用語では共感覚性とも言います。これからの時代は無理やり売りつける強引な商法よりも共感覚性、同化機能が強い人のほうが売り上げは伸びると思いますよ。
カリスマ性は「憧憬、憧れによる同化だ」と説明しましたが、一歩進めるとその同化は「販売員や講演する側」にも求められるのです。相手の立場に立って物事を見られる人が「顧客の求めている商品」を見極めるのが上手くなります。
くだらないことだと思うかもしれないですけどね。結局は相手に対する思いやりだったり優しさだったりするのです。予算やお客さんの事情をしっかりキャッチできることが求められているのです。
販売って仕事は面白いですよ。その人それぞれに生の感情が見え隠れしますから(笑)。私は好きですね。自分が苦労して仕入れてきた商品とか作った品物を「それ良いわねー。ぜひ、欲しいわ!」と言われる時の快感は、きっとやったことのある人にしかわからないでしょうね。
今もそれに近い感覚はあります。私の知識や経験、書いた文章や技術に誰かが驚いたり、必要としてくれる時、やはり嬉しさは感じますよ。
流用や盗用を勝手に繰り返しながら「自分で考えついた」かのように振る舞う馬鹿はご免ですし大嫌いですが、きちんと許可をとってくれたりテキストを購入してくださる方には深く感謝しています。
別に皆がカリスマにならなくともいいのです。普通の人よりほんの少し、誰かの感情や気持ち、相手の立場をわかるようになれば、自然に身に付くものもありますよ。売り上げだって伸びますし恋愛においてもきっと良いことがありますよ?
私? 私ですか? 私は最初からカリスマは目指していませんよ。途中から勝手にそう思い込む連中や、それらしい肩書きを押し付けて儲けようと企んだ人達がいただけです。
今回の更新は、なぜかビジネス新書のようになってしまいました(笑)。
皆さんも買い物に出かけたおりには、店員やお客さんの様子を確認して見て下さい。視点を変えて観察してみればきっと面白いですよ。
ここに載せた文章がこれから何かに乗り出そう、新たな商売や仕事に挑戦しようという人の、多少なりとも参考になれば幸いです。
2000年11月15日 初稿
2017年12月09日 加筆、修正
谷口信行