モテる男(女)の必須条件 2

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出入りする時間と距離

2017/12/06改訂
2011/01/13初稿

アンケートからの続き パーソナルスペースと「時間軸」

ストップウォッチ アイコンモテる男(女)の必須条件を考える時、避けて通れない部分があります。

私のホームページ上においては「パーソナルスペース」の話がたくさんでてきます。

これはごく初期の頃、催眠誘導を行うには「心理障壁」(しんりしょうへき)と呼ばれる心の内側に入り込む作業が不可欠であり、そのためには「心と身体の距離」をうまく掴むことが必要だと私が考えたから。

それをテキスト上やこのホームページ上で解説しようとして「パーソナルスペース」について述べた文章が増えました。

1997年当時、催眠とパーソナルスペースの密接な繋がりについてとか、対人距離について詳細に書いた解説書やホームページなどは一つもありませんでした。

以前にですね。パーソナルスペースについてこういった解説を行っています。

►「浮気するタイプの見分け方」

アンガールズ田中さんとか出川哲朗さんと「石田純一さん」の行動パターンは、おそらく微妙に異なるんですよ。ご本人が「同じだろ!」と言い張っても女性から見ればそうではない。

おそらくですが、ストップウォッチで「そこにいる時間」を正確に計って条件や環境を同じにしても、対象者の受け取る印象はまったく異なるでしょう。

パーソナルスペース、についてだけ、聞き齧って理解した気になっている方はこの「時間軸のズレ」についてまったく留意しません。

この「時間軸のズレ」は個人の感覚、受け取り方によって異なるものです。

自分の身を守ろうとか傷つけられたくないために「誰かとの距離を置く」ことがパーソナルスペースだとの解説は過去に行っています。

パーソナルスペースにはもう一つの側面があって、特定の相手に親密な感情を示す、つまり「あなたは私の家族や仲間、愛情を注いでいる人だ」と知らせる意味合いを含むのです。

親愛な情を示す相手とか、自分が不快に思わない相手は「長く」「近く」にいることができます。反対に危険だとか不愉快に思う相手とは「距離」も開きますし「時間」も短時間になります。

距離も大切ですけどね。実際にはその距離の中で「どれくらいの時間、居ることが出来るか?」「どのタイミングで踏み入れるか?」も重要なポイントなのです。

このパーソナルスペースの距離(範囲)と時間は外見(容姿)とか雰囲気、その人の持つ個性や話し口調、匂いや仕草などに大きく左右されます。

逆説的な解説になりますが、このパーソナルスペースの距離と時間を把握するなら「親愛の情」つまり、あなたが相手を気に入っているとか好きだということを円滑に伝える道具にも使える、ということになります。

大切なのは「距離」と「時間」。と同時に「タイミング」なのですよ。

動物においても同じような「距離」と「時間」がある

犬の顔 アイコン催眠においてもそうなんですけどね。以前には入れたのになぜか「今日は無理」な場合があります。

いつもと同じ手順、同じ手法を用いて被験者にアプローチを計っても「入れない」ことはあり、おそらくはタイミングとか距離、被験者の心理状況が微妙に異なっているからでしょう。

心理障壁というのが難しいのは、そこに個人の感覚とか体調、受け取り方によって変化があって、それを掴むためには様々な要因が重なってくるからです。

パーソナルスペースに準じる「距離」は動物においてもありますよ。

犬であれば相手のお尻の匂いを嗅ぎ合ったりします。肛門線と呼ばれる匂いを発する器官があるのですが、そこから流れる匂いを嗅ぎ合うことで近親者(兄弟や親)や群れの仲間、年齢、上下関係をかぎ分けると言われています。

犬の嗅覚は人間の数万倍といわれていますが、相手の情報を詳しく知るためにはやはり、お互いの匂いをしっかり嗅ぎ分けられる距離に近寄る必要が出てきます。

それがテリトリーであり、犬にとってのパーソナルスペースでしょうね。

まだ生後幼い子犬は敵視されません。成犬としての匂いが発せられておらず、群れの中での上下関係よりも保護が優先されます。

ですので、無理にお腹を見せろとか歯を剥き出しにして吠え合うような行為は成されず、無視されるかそのまま群れの一員に納まることができます。

犬はお互いの体臭、優れた嗅覚を使ってどれが敵でどれが味方で、序列はどの位置で、群れで保護すべき幼犬はどれか? を選択していることになります。

犬の視覚は白黒ですのでそんなによく見えません。赤緑色盲だと言われていて人間の10分の1の距離にまで近寄らないと相手が確認できないのです。超近眼、超近視ですよ?

その分、嗅覚が発達したんですね。

パーソナルスペースとは本来、相手との「距離」だけを示すものではありません。「時間」と「タイミング」こそがもっとも重要なポイントだったりもします。

これまで、テキストやこのホームページ上ではあまり詳しく述べてきませんでした。理由は簡単でそれによって練習者や購読者に余計な先入観を持たせたくなかったから。

犬が肛門の匂いを嗅ぎ合う時も一瞬で終わってしまう時もあれば、異様に長引いたり延々とお互いに吠え合うケースもあります。テリトリーに入るべきタイミングもあります。

その行為(匂いを嗅ぎ合うこと)で、いわゆる上下関係や群れでの地位がはっきり決まってしまうので、実力が伯仲していたりお互いが納得しない場合には長時間、激しい争いになってしまう場合もあります。

その嗅ぎ分けの時間は様々な状況や個体によって変化するので「何分で終わる」と簡単には言えないでしょう。

私は趣味で料理もよくやりますが、パスタやうどんのゆで時間とも似てましてね(笑)。

加水率とか乾めんの状態や太さ、鍋の大きさや水温、ガスレンジの火力などでゆで時間とか加熱時間なんてコロコロ変わります。

料理を教わる側は「何分茹でるってわかりやすく書けよ!」と言いますが、付帯(付け加わる)条件が一律でなければはっきりとした数値にはなりませんよ。業務用の鍋と一般用の鍋では厚さが違ったり。銅鍋とホーロー、ガスと電磁調理器では熱の伝導率も違いますから。

なので「だいたい何分」といった大ざっぱな目安にしかならないでしょう。

同じ料理教室内で同じ素材の鍋と同じ大きさのガス台を使って調理を始めます。同じ容量の水を同じ温度から温め始めれば、正確に時間は計れます。

それぞれの持つ道具とか環境、素材や設備が違うなら同じ結果にはなりません。

「MHC遺伝子」から考えるパーソナルスペース

双方向矢印 アイコン私がパーソナルスペースの解説において「何メートルの距離に何分」「何分間、そこにいたら何分間、外に出る」といった具体的な記述を行わなかったのは、心理学においてはそれが厳禁だからです。

対象者や被験者によって反応が千差万別になるので、一概に決めつけることで起こる誤解や錯覚を避けるためです。

指導やってると「おおよそで」「大体の時間を」って言い出す人が必ず出るんですが(笑)。催眠誘導などでそういった錯覚を最初に持つと、全体の理解には余計に時間がかかります。

これも面白い説なのですが、犬が肛門線の匂いを嗅いで自分の親族とか遠縁、上下関係を見分けるように人間も「自分から遠い」異性に魅せられ、匂いによって嗅ぎ分けてパートナーを選んでいるとの説もあります。

興味がある方は「MHC遺伝子」という言葉で検索してみてください。その理論や学説を信じ、「人間には一目惚れ」ってものもあるんだ、と強弁する番組も過去にはありました。

残念ながら、「MHC遺伝子」万能論、には重大な欠陥がありまして・・・。

人間は他の動物、つまり犬ほど嗅覚は発達していません。2、3メートルも離れればまったく嗅ぎ取れなくなってしまうでしょう。

人間の何万倍も嗅覚が発達してる筈の犬が、肛門に鼻がくっつくくらい近寄りますよ?

ですので、そういった「相手と異なる遺伝子の型」を所有していて、人間が匂いで嗅ぎ分けているとしても、それがそのまま相手の拒絶やパートナーの選択に繋がるか?と言われれば、おそらくはそうはならないでしょう。

一目惚れ、という言葉は本来、遠目で誰かを見て魅せられるというか、相手に魅せられて忘れられなくなるという意味合いのほうが強いかと思います。

人間は映像とか写真、つまり匂いや触覚のない静止画とか「絵」を通してでも一目惚れは起こします。漫画のキャラクターに惚れ込む実例すらある。おそらく、匂いとか直接的な情報(触覚など)がないまま、相手に焦がれたり好きになる反応は人間独自のものでしょう。

その人が書いた文章や絵画、楽曲や詩に魅せられるのも人間特有のものです。

犬や野生動物ならお尻を丸出しで歩いていますけどね(笑)。人間は衣服も身に付けています。朝晩、シャワーを浴びる人もいますし香水だって付けます。

人間には様々な価値観がありますので、パートナーを選ぶ際には相手の身長とか体重、見た目の要素も入ります。収入とか生活環境、地位や肩書き、着ている服のセンスにすら左右されます。

それこそ「鼻毛の一本で」好き嫌いが別れてしまうのが人間です。

野生動物なら「足が速い」とか「力が強い」「体格が大きい」で判別できます。人間の場合はお金を持っているとか優れた音楽家や芸術家であるとか、社会的な地位を持っていること、身だしなみや持ち物が良いことも「強さ」とか頼りがいの一つになってしまいます。

それを考え合わせれば野生動物とはかなり違うことになりますね。

単純に匂いとか遺伝子で相手が決まっているのなら、少子化が起こったり婚期が遅れる人がこれほど多い状況には陥らないと思いますよ?

適当にお見合いの数だけこなせば、片っ端「遺伝子の距離や匂いで」結婚が決まってゆくと思います。

「MHC遺伝子」のような話が番組で紹介されると飛びついてしまう人もいるようですが、人間がそんなに簡単に出来ているなら苦労はしません。

人間程度の嗅覚能力では簡単に相手の匂いは嗅げないでしょう。普段使ってるシャンプーの匂い、直前に食べた食品の香りなども残るかも。街には煙草や排気ガスなどの匂いも染みついています。

それを踏まえて「異性に好まれる」つまり相手に「MHC遺伝子」を確認させるとするなら、人同士はよほど近い位置に立たなければなりませんよね?

まさか遠い位置から団扇や扇子で扇がせるわけにもいかないでしょうから(笑)。

「MHC遺伝子」が有効だとしても、回数はどうしても「複数」である必要があります。一回で強烈な匂いを嗅がせてニックアウトするってのは流石に無理でしょうから(笑)。