正しい催眠誘導の方法 / 第十九章

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リバウンドしないダイエット理論

目的意識と設定(118ページ)

さあ、これらを踏まえた上で、いよいよ、催眠によるダイエットに取り組みましょう。

暗示において大切なのは「目標をはっきりと示す」ことになります。

潜在意識に働きかけを行う場合、目的がはっきりとせず、指示がはっきりとしない、漠然としたものであると効果がありません。目的意識を明確にして有効な働きかけを行うようにしましょう。

ここではダイエットを行うために必要な目標設定を行います。禁煙や他の行動抑制(ギャンブルを止めたい、アルコール依存など)を行う際にも流れとしては参考になると思います。

まず、必要な設定を整えます。

1.(目標の達成までに)必要な具体的な期間と目標体重

「痩せられるだけ痩せる」とか「夏までには何とか」など、期日や目標がはっきりとせず「こうなれたらいいなー」などは目標とはいわず、単なる願望に過ぎません。

「将来、僕はミュージシャンか漫画家になれたらいいなー」では目標とはならないでしょう?

漠然とした願望、そうなったらいいな、程度では目標とはならないのです。ですから「今から何ヵ月後までに何キロ痩せる!」ことを具体的にはっきりと目標として掲げましょう。

また同じ意味で、どう考えても不可能な目標も掲げないように注意しましょう。

「一ヶ月で10キロ痩せる」などはその典型ですが、そんな無茶をすれば身体を壊します。

ここまででカロリーについての説明を行っていますが、運動強度を含めても成人女性なら「一日に制限できるのは2000キロカロリー」です。絶食して一切の食物を摂らず水だけに切り替えても一日に減らせるのは2000キロカロリーに過ぎません。

4日で8000キロカロリー、つまり1キログラムです。10キログラムなら40日かかります。

絶食してその数値なのですから、食べながらなら不可能でしょう。そこに仕事とか学校が絡んだら? 生活しながら1ヶ月で10キログラム痩せるというのは大変なことになりますよ。

こういった説明をすると必ず「知り合いにもっと痩せた人いるもん!」と言い出すお馬鹿さんがいますが・・・。

元の体重を正確に計っていますか? 漠然とした数値とか日数ではなく、ダイエットを掲げてからの日数も確認しましたか? 運動量は? 毎日長時間のレッスンや運動をしてほぼ絶食なら可能性はありますが、それでも1ヶ月だと難しいでしょう。

だいたいは数ヶ月かかっていたりします。

他には体調不良や病気で入院して、ずっと高熱と戦っていたり点滴を受けてた人と混ぜています。カロリーの消費の3分の2は体温ですから、高熱にうなされて病気で療養していた人なら体重は一気に落ちます。

現実不可能な設定や難しい内容、最初から高いハードルを用意するのは止めてください。潜在意識への働きかけは強力ですから通常のような「失敗しても別にいいや」といったいいかげんな目標ではないのです。

今回は無理がない程度の目標として、一ヵ月で3キログラムをまず目安にしましょう。

リバウンドをさせないことを目標とするなら、それくらいで問題はないでしょう。

2.痩せたら、何をするか?

催眠を用いてダイエットをする場合、確かにただ単に「痩せたい!」といった単純な暗示でも効果はあります。

ですが、その人(依頼者)に「痩せたい」本当の理由は存在していませんか?

会社にいる憧れの先輩に見て欲しいとか、彼女に自分のカッコいい所を見せたいとか、流行の水着を着てみたい、夏には海でナンパしたいとかされたい、健康のために痩せて体調を整えたい、などです。

ご褒美、というと変に聞こえるかもしれませんが、潜在意識に働きかける場合は「その結果、これが得られる」といった具体的な内容を付け加えると長持ちしますし、成功することが多いのです。 

ただご注意戴きたいのは先にも少し触れましたが、あまりに自分の都合の良い物や、実現不可能な目標は避けてください。特に他者催眠で、あなたが「誰かを誘導」(他者催眠の場合)には注意が必要です。

「何キロ痩せたら、あなたの大好きな◯◯さんがあなたに会いにきてくれますよ」

「あなたは痩せたらスカウトされ、芸能界に歌手としてデビューできます」

などはその典型例になります。

そういった手法を煽っていたり教えている催眠術の大先生とか施設も存在するようですが・・・。

そういった働きかけはルール違反なのです。確かに可能性はゼロではありませんが、「限りなくゼロに近い」ものは避けてください。

確かにそういった方法でも痩せますし多少の効果はありますが、その反動があります。

痩せたのに目標がかなわないことが、無意識に伝わってしまうと、反動からもっと肥る可能性があります。おまけに次回にはこちら(施術側)の暗示は受け付けなくなります。

一度、酷い嘘をつかれていますからね(笑)。

DV夫、浮気を繰り返す女性を信用する人はいないでしょう? 暴力を振るわれたり酷い嘘、甘言を弄して(ろうして)騙した相手というのは、信用していただけに傷が深くなるので相手にされないのです。

女性への実現可能な追加事項、ご褒美として考えるならば

「3ヵ月後に何キロ痩せると自分に自信が持てるようになる」

「欲しかった服を着るととても綺麗に見える」

「周囲からも痩せたと言われて、とても嬉しい」

などが適当でしょう。

男性例としては、こういった内容になります。

「自分がカッコよくなったことが実感できて、鏡で自分の体型を見ると嬉しい」

「その体重を維持し、来月も同じように無理をせずに痩せて行く」

「痩せたら積極的になれて仕事にも励みがでる」

「素敵だな、と感じる女性に積極的にアタックする」

ご本人との話し合いやカウンセリングで希望を聞く必要はありますが。

現実離れしていない目標を入れて行くといいですね。後で他にも具体例がありますからケースによって使い分け、取り入れるようにしてください。

私のこれまでの経験では、女性にはできる限り実現可能な結果というか成果を入れてあげるといいようです。完成する外見とか周囲の目を意識した内容が効力を発揮しやすいです。

これは「催眠術師のひとりごと」にも載せた内容ですが。痩せると周囲(自分の付合っているパートナーも含む)に「痩せて綺麗になったね、と褒めてもらえる」などです。

「何号サイズのスカートが綺麗に着られる」「お気に入りのブーツがよく似合うようになって履ける」など具体的ではっきりしたものを入れてもいいでしょう。

男性の場合には痩せたら「新たな目標が自分に芽生える」「自分に自信が持てて仕事や女性に対し、積極的になる」といった意欲や計画に繋がる暗示を付け加えるといいようです。

女性とは違って男性は「これができると次には何ができるか?」などの意識改革や将来設計に繋がるもののほうが、暗示が効いたり継続する傾向が強いように思います。

ここまで(自己催眠は除く)は、被験者の方と話し合いの上で決めてください。施術者が一方的に決めるのではなく、本人の意志の確認が大切です。