2018/12/10改訂
1997/06/00初稿
知人を集めての実験 女性が催眠で望むこと
男性が催眠術を女性を口説くことに使えないか? などと安直にと考えるのに対して、女性の反応は少々複雑ですね。どちらかというと女性は攻略ではなく自分の保身に用いようとします。
それ(催眠術)を使って現在の恋人やご主人の浮気を突き止められないかとか、あの人の心が私から離れられないようにできないかといった、ご質問や要請が圧倒的に多くなるのが特徴ですね。
男性は催眠を「女性にモテる」ことや欲望の達成、「自分の浮気が奥さんにバレた時に誤魔化す」(笑)ことに使おうとするのに対し、女性は「パートナーに捨てられない」または「男の浮気を防止する」ことに使いたがる傾向があるように感じます。
確かに催眠を使って「意中の男性から愛を打ち明けられる」なんてことも、理論上は可能です(笑)。
もっともそれが何の意味があるのか私にはわかりませんが・・・。
本当の意味での愛情はないでしょう。偽りの言葉であり一時的な反応に留まるでしょう。昔風の言い回しをするならば身体の関係が出来ただけで・・・。
私からすれば、それは弄ばれて(もてあそばれて)いるようにも思えますし、催眠などを用いなくても女性が捨て身で関係を迫るなら、それを見事に断れる男性のほうが少ないようにも思うのですが・・・。
感情、優しさや愛情を伴ってこそ恋愛だと言えると考えています。
私なら相手を操って優しい言葉を得るよりも、結果が辛くなってもいいからその人の本音やストレートな感情を知りたいですね。
そうは思いませんか? 皆さん?
暗示を使った強引な行為など長続きするかどうか、私は疑問に思いますが・・・。それ以前に自分の卑怯さや身勝手さが嫌になりませんか?
男性にとって幸いなことに? 女性のほとんどの方はそれ(催眠で私を好きになって)を望もうとはしません。
それは女性の願望の中にやはり自己顕示欲というか、ありのままの自分を認めて欲しいとの欲求があり「偽ることのない自分を好きになって欲しい」という欲求があるのではないでしょうか?
男性は新しい便利なものが手に入るとそれを使って何か「新しい」こと、発掘や探求、出会いに使いたがるのに対して、女性は「今ある楽しい」ことや、自分の身の回りの環境を維持する方向に使いたがるように感じられます。
嘘も方便? ですかね?
私の元に女性から複数の依頼、相談がありましたので、ついでにおもしろい実験を試みました。
複数のカップルに協力していただきました。
実験内容や事情をすべて説明した上で参加していただいたカップルと、女性のみ(パートナーの男性には内密)に内容を説明、男性には実験終了まで黙っていたものとにグループを分けました。
※いわゆるシャレのわかる人たちと行った実験ですので、旦那の浮気をやめさせたいなどの本気のご相談には応じられません。
そういった方はもよりの探偵事務所か弁護士などにご相談ください。
参加してくださったのは「おもしろそうだ!」と好奇心から来てくれたカップルと、過去に浮気がバレたなどの失態があり、嫌々ながら彼女に勧められて参加してくれることになった心優しき? 男性陣です。
少々同情も禁じえませんが、数人は「実験内容をまったく何も知らずに」参加させられることになってしまった運の悪い男性陣で。総勢は十五人程度でした。
はっきりと結果を残すため、まず催眠のテストをおこないました。かかりやすさ、つまり深層催眠とよばれるレベルまで催眠が深くかかる人を選び出すことから始めたのです。
これは催眠を解いてからも無意識に効果の持続する、後催眠現象を引き起こさせるためです。
テストの結果、十人の男性を選び出しました。笑ってしまったのは、やはり「浮気」がバレた経験のある男性の協力があまり得られず、全体の参加人数が男性だけ減ってしまったことですね(笑)。
表面上はパートナーの女性の手前、快く協力してくれているのですが、何かが「バレる」のではないか、という無意識の感情が彼らを恐れさせたのではないでしょうか?
今回、実験に参加していただいたのは私と面識のある方ばかりで、一度は私に催眠をかけられた経験のある人達なのです。
つまり他の機会には深く(催眠に)かかったにもかかわらず、「今回だけ」催眠がかからない、ということは、心に何かやましいことでもあるのでしょうか(笑)。
これが心理障壁といわれるもので、テキストなどに何度も解説されている部分です。
そのへんについてはあえて触れるのを避けました。私が突っ込めば、更に実験の参加者や男性の友人が減ってしまうような気がしたからです。
知らない人達の反応は上々(笑)
反面、彼女達に騙されて? 何も知らずに参加することになった男性達の反応は素晴らしいものでした。
禁煙させてくれるんだって?
とか
リラックスできるの?
とか、中には
浮気がバレないようにしてくれるんだって?
とか、笑えない話を奥さんや彼女に吹き込まれてしまい、ノコノコと現場にやってきてしまった男性がいます。
どこでどう話がすれ違ったのでしょう?
まさか自分が浮気できなくなる、とは露ほども思わずに実験に参加してくれていますので、催眠のかかり具合はとても深くなりました。
心理障壁というのは面白いもので、経験と環境に依存します。
私の推論では睡眠時間や体調、体温の変化やバイオリズムとも周期しているのではないか? と思います。女性がイライラする時期、または人間が事故を起こしやすい周期に月の満ち欠けがありますが、そういった周期とも関連して増減する傾向があるようです。
過去に何らかの体験があり、それに対して嫌悪感や拒否感を持っていると心理障壁は高まり厚くなります。その壁を突破するのはやはり難しくなるでしょう。不可能ではありませんが、手順はややこしくなります。
過去に「洗脳の解き方」などのコーナーで紹介していますが、人間の心の扉が開くにはタイミングがありそれを捉えられるかどうかがキーポイントなのです。
「知らない」ということは先入観がないことになります。過去の体験に嫌なものがあって、それを少しでも連想させる場合には遠ざかるでしょう。その気遣いが無い分だけ、知っているグループよりも誘導が容易になってと思われます。
せっかくですからグループ別でかけた催眠は二種類に別けてみました。直接的な暗示、すなわち「あなたは浮気してはいけない」という暗示と、間接的な暗示「あなたは浮気したくなくなる」という暗示です。
私の経験では禁止暗示(つまり、あなたは◯◯してはいけない、とか、◯◯してはいけない、といったもの)は持続しない傾向があるように感じます。
著書やホームページ、テキストで何度も「禁止暗示、抑制暗示は良くない」と告げるのは過去の実体験、カウンセリングや依頼者からの聞き取り調査による私の結論です。
催眠を聞き齧った人にはよく陥り易い間違いなのですが、他者催眠、つまり施術者が他の人を催眠にかける時に「◯◯してはいけない」といった強制的な暗示は長続きしないようなのです。
ショー催眠ではそういったことも盛んに行われますが、一時的には劇的な効果があります。
ところが、カウンセリングや精神的なトラブルの解消としては長続きしません。
実際の施術、誘導においては他者催眠も自己催眠(自分で行う催眠)の延長線上にあるといっても過言ではありません。ですから、本人の望む意思を強化、喜びや感動を助長する形で催眠を進めて行くことが成功の鍵だと私は考えています。