わざと商品の欠点から話す
三点法を使って商品に説明を加え、長所と短所を比べます。そして選択(または欠点の指摘)は必ず、相手にさせるようにします。
販売員はそれに反論を述べません。ここが大事なポイント。
安易に反論すると顧客側に

(私の意見に逆らった!)
というような印象を与えるからです。
ご本人に自然に(間違いなどに)気付いて戴くために、次の商品を取り出し、それの長所を並べることで(前の商品の)欠点を打ち消して行きます。
顧客の意見を真正面から否定するとか指摘するのではなく、ご自身の頭の中で比較してもらって自然に気がつく流れを演出するんですよ。
私は販売の際、基本的に最初から最後まで

「いかがですか?」
とか

「お似合いですよ」
とは言いません(笑)。宝飾品や宝石の販売員としてはかなり異色かもしれないですね。
本当に過去に一度も言ったことがないんですよ。面白いでしょ?
大事なのは「ご本人の印象」であって。私の私見じゃありませんよ。店員(私)はその方のご家族でも恋人でもないでしょう。赤の他人が「お似合いですよ」と安易に勧めることそのものが相手の心を冷まします。
商品は必ず、ご本人に選んでもらいます。
かわりに、商品の長所とかアフターサービスについて(サイズ直し、返品、交換等)については、それこそくどいくらいに丁寧に説明していました。
自社商品を強引に薦める販売員は二流以下です。
少なくとも私はそう思っています。
私自身はそのような販売員からは絶対に買いません(笑)。基本的に自社の売りたい商品を悪く言う社員、販売員などいないからです。
生活とか仕事のために「どうしても売りたい」んだから。
「こちらの意思を無視して」特定の商品を勧める場合には、何らかの意図が働いています。自分が成績や利益を気にして売りたいだけで、お客さんの意向など無視している可能性が高くなります。
むしろ他社とか手持ちの別の商品との比較を口にするほうがいい。それも「欠点を貶す(けなす)」のではなく、比較した時に「お勧めの商品の長所を」述べるのです。
私の感覚では比較販売法を用いる時に他社の悪口は言ってはいけない。また強引に自社の商品を褒めちぎってはいけない。そういう行為を繰り返すとお客さんが減ります。
日本語では「手前みそ」という表現もあります。自家製の味噌を褒めちぎってもお客さんはありがたがらないものですよ(笑)。これがアメリカなどだと感覚は異なってくるのですが。
偶然通りがかったとかその気がないのに訪れただけのお客さん、ユーザーからすれば好きでもない商品を無理やりに勧められて押し付けられているような感覚に陥るからです。
どの店員、営業マンも売りたいのはやまやまなんですから・・・。褒めちゃダメですよ。
そこはグッと我慢する。
魂胆が見え透いてしまいますから。
恋愛でも手順は同じ(笑)
大切なので、絶対に手順を間違えないように・・・。「欠点を指摘した後に長所を持ち出す」ことです。
ここが重要なポイントです。
販売員の本心は「皆同じ」ですが、それを悟られないように一工夫する必要があるのです。
商品の欠点を先に述べ、(もしくは相手に話させ)後から「別の商品を」用いてその欠点を打ち消します。
そして、商品は必ず相手に選択させ、手に取らせるように心がけます。
この商品にはこういった欠点(例えば色が薄い、傷がある、型が古い)はあるけれど、反対にこういった長所(石が大きい、入手が困難だ、型落ちな分だけ値引きが可能だ)があると相手に繰り返し説明すること。
それが大切です。
隠し事をしない。売りたい商品だけを褒めちぎらない。
誤りや欠点がある場合にはそれを正直に話し、販売員としては「なぜこの商品がお勧めなのか?」を話します。
そういった対応が顧客に

(この人は誠実な人だ)
とか、

(商品に自信があるのね)
といった「プラスの」先入観を植え付けることになります。
長所を話した後で欠点を話すと印象は最悪です(笑)。販売における心理学の基本中の基本。
何度も延べていますが、最初から最後まで何かを褒めちぎる人に対し、人は不信感を持ちます。
そういったやり方が、相手に全て諂う(へつらう)人、「おせじばかり言う人」もしくは「何か魂胆のある人」といった印象を受けるからです。
褒め方にも叱り方にもコツはあります。
人にはコンプレックスが存在します。
誰しもプライドは高いんですよ(笑)。例外はありません。どちらかというと、プライドの高い人ほど本当は根強いコンプレックスも存在します。
ですから、異性に

君の全てが素敵だよ。
とか

いつも綺麗だよ。
などと漠然とした褒め言葉を使い続けるとたいていは嫌われます。
勘違いしている人は直したほうがいいですよ。「君の全てが好きだ!」「全部がチャーミングだ!」なんて繰り返すと失敗します。それでは何も伝わらない。
どちらかと言うと誰にでもそのようなことを言っているといったイメージを相手は持ち易く、言われた本人が傷つくからです。かえって不信感や不快感を持たれ易いでしょうね(笑)。
第一印象がよほど誠実な人だと思われていないと、そのような言葉は言ってはなりません。
それは本心から出た言葉でも褒め言葉とはならず、反対に逆効果になる場合があるからです。
人はそこまで簡単に他人の言葉を受け入れはしませんよ。
「私には何の欠点もない」「完璧な人間だ!」などと思っている人は珍しいので「全てを褒める」やり方では表現として足りないでしょう。
それよりはむしろ

君の性格のこういったところが素敵だ!
とか

目が綺麗でチャーミングだ!
とか

プロポーションが抜群だ!
など個別に攻めるべきでしょうね。
そして、その「褒め言葉の数」を徐々に増やすことです。
全部、誉めたり認めてはいけない
話が少々逸れましたが、つまり、商品全てを「良い」と認めさせるよりも長所も欠点も話した上でその商品全体のイメージを正したほうが、結果として信頼を生むのです。
欠点も長所も隠さずに話す。複数の選択肢を持たせて顧客に選ぶ自由を持たせる。
それが結局は誠実で嘘のない人(商品)であるといった印象を生み、後々のトラブルを予防出来るのです。

この製品は何もかもが素晴らしい!
と表現する販売員や営業員は正直、かなり未熟だと思いますよ(笑)。
前出の恋愛のケースでもそうですが、人間は完璧なものがあるとは自分でも思っていません。どこかにコンプレックスは持っていることが多いでしょう。
どんな美人や男前であっても「何もかもが完璧だ」と思っている人はごくごく少数なのです。
他人が作った商品とか、利益が関わる「売り物」なら尚更ですよ?
それを褒めちぎってしまうと、商品を強引に勧めているとも思われがちです。誰かに「あの人には欠点が無い」と言われた途端にあら探しを始めるのも、人間にはよくある話です。
ですので「欠点が見つからない」場合には作ってしまえばいいんです。

現在は一押しの商品ですが、新製品なのでお値段が・・・。

型落ちになれば、お値引きもできるようになるのですが

私もこのシリーズは好きなのですが、派手ですかね?
新作で最先端のものと、反対に旧作で値引きが可能な商品を並べると「どっちらかが」よく売れました。
そこまで話を引っ張れた時の私の成功率は約9割くらいでしたね。
新しいものが欲しい人は新製品が「どうしても欲しい」のです。
機能には満足しており旧製品でも何らかの特典、値引きなどがある場合はそちらがいい人もいます。
この販売方法はスマホやパソコン、家電製品では特に有効です。私はよくそういった手法を用いました。
わざと自社の商品の欠点を話し、回り道をしながら相手の嗜好を読むのです。
今掲げた例は、実際には「欠点」ではありません。高くても買いたい人もいますし、デザインが気に入って買う人もいます。値引きこそが大切な方もいますよ?
いわば会話を続けるために「水」を向けているわけです。
誘い水ですね。本当に問題があってリコールになるような商品は最初から勧めませんよ。返品やクレームになって後が大変になるだけですから、きっちり調べておきます。
欠点を話したようで実は「どんな価格の商品が欲しいのか?」「新商品が欲しいのか、型落ちで安いのが欲しいのか?」「デザインにこだわりがあるのかどうか?」を確かめていることになります。
一見、遠回りなようにみえますが、それがもっとも近道です。
お客さんが気に入って商品を褒めていても、私は必ず1ヶ所は否定意見を入れます。理由は簡単で購買意欲を高めたり、キャンセルを予防したり、購入に対する本気度を確かめることになるからです。
「高い!」ことを否定意見として入れた場合には、後で「新製品で難しいですが頑張って、これくらいは値引きさせてもらいます」を最後の殺し文句として用いています。
余談ですが、私は「落としてから値引きをする」を心情としています。
買うことがほぼ確定してから更に値引きしたりサービスでおまけを付けていました。
落とす前に引いやったら幾らでも値引きすることになりますから(笑)。感謝もされません。半端な譲歩を繰り返すと後々に返品などを招きやすくもなります。
最近はその辺りも含めて、下手くそな店員が増えましたね?
販売員の質が低いです。
そうなると自然、顧客やエンドユーザーは通販やネット、Amazonやヨドバシで買うでしょう? 実際の購入者のレビューを確認したほうがよほど参考になってしまいますからね。