販売に応用してみると!?

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三点からの選択、比較販売法

相手の興味を惹き付けて行く方法

実は、相手の心を惹き付けて行くには幾つかの方法があります。

今は私も専門(心理学や催眠)ですので、詳しいですけどね(笑)。当時はそういった知識や経験が無かった。ですからとても驚いたのです。

心理学には相手(顧客)を魅了して引きつけてゆくための特別な方法もあるのです。

その人(販売員)を注意深く眺めていると、ある一定の法則や方法を使っていることがわかりました。

 

大御所スタッフ

この商品はね・・・。

最初の話しかけの部分、いわゆる「導入」の部分では廻りにも聞こえるくらいの声で話しているのに、いざ「落とす」(商品の購入を決定させる)部分になると、すぐ隣にいてもなーんにも聞こえません。

声のトーンとか声量が小さくなってしまってご本人達(その販売員と顧客)以外にはまったく聞こえないのです。

俺

(クーッ! 話の内容が聞きてぇ!)

と当時の私は思った物です(笑)。

そのやり方が、周囲がその販売員を「ボソボソおじさん」と名付けた由縁です。

その「ボソボソおじさん」が商品をショーケースから取り出して見せ始めた当初は、商品を目線より低く見せています。話が盛り上がってくると手の高さとか立ち位置とかが違っています。

説明をしながら宝石の位置や高さ、「顧客に話しかける位置」が微妙に変化しているのです。

不思議なのは、その動作を行っている最中、販売員(ボソボソおじさん)はお客さんの「目」や顔をまったく見ていません。

自分の薦める商品だけをジッと見ながら身振り手振り、商品の上げ下げをゆっくりと繰り返し、相手の目を殆ど見ない状態で説明を繰り返していたのです。

通常において、「視線」は相手に自分の意思を伝えるのにとても重要な役割を果たします。

「何か」を薦めたり、何かを相手にやってもらいたいとこちらが望む場合、無意識に相手に視線を合わせ、相手に同意を求めてしまいます。

微笑みとか頷きとか相手の反応を得ようとし、相手をどうしても見つめてしまいがちになります。

言葉や態度、視線の位置や身体の反応(腕組み、首をかしげる、まゆを潜める、笑う)などで、相手の意思や感情を読み取ろうとします。

プロの販売員であればそのように教えられますし、それが販売においては当り前となっています。

この販売員の方は相手の反応を「無視」することで逆に相手を自分のペースに巻き込み、自分の販売方法に「引きずり込む」ことに成功していたのです。

それに気付いた時、私は

俺

(スッゲ〜、おっさん!)

と素直に感心したものでした。

まだ私が20代後半の頃です。

催眠にも共通する所「声のトーンと大きさ」

私がそのような内容や癖に気がついたのは、(専業ではないにしても)催眠や心理学に興味を持ち、いつも他人を観察する習慣が身についていたせいでしょう。

すでに催眠術は得意でしたからね。売り場でとか飲み会でよく実演やってました。外商員にもその話をして盛り上がったりなんかして。

この「ボソボソおじさん」は、おそらく私とは異なるパターンでそういった手法にたどり着いています。

心理学や催眠などには興味や知識はないと思います。大学で専門で勉強されたとか習ったとかいうことはありません。間違いなく実地ですよ(笑)。

現場でご自身で試行錯誤を繰り返すうちに自然に身に付いたものでしょう。

勉強しようとか意図的にやろうとしたのではなく、顧客に「どうやったら商品説明を聞いてもらえるのか?」「商品が売れるのか?」を考え、自分で各地をまわって実演するうちに徐々に独自のスタイルとして確立されたものだと思います。

その経験こそがその人(販売員)の全てであり、高い価値なんですよ。

心理学とかマーケティングや統計学はどちらかと言えば後付けです。まず何らかの現象とか実際の数値の動き、販売実績がある。

その「現象」を説明したり、誰かが後で利用する為にそういった学問や知識も必要となるのです。

ですので、そういった勉強をまったくしていない人でも天才肌の職人とか、凄い販売員も巷にはたくさんいますよ? 学者や専門家を名乗る人達より実践、現場にいる連中のほうが手強いので。

生活かかってますからね。どこかで聞き齧った付け焼き刃の知識とか安易な物まね、マニュアル本とは違います。その人は実地で身に付けた技術を自在に使いこなしている訳ですから・・・。

「ボソボソおじさん」おそるべし!ですね。

もう一つ、販売に際して重要なファクター(要因)があって、それは「声」の大きさとトーンです。

催眠中でもそうなのですが、人間の意識が集中しはじめると「聴覚」は異様に高まります。

ほんの些細な音とか遠方で囁く観客の声も大きくなります。場合によっては閉鎖された空間(部屋)から遠く離れた場所で聞き取り実験を行っても受け取れる場合があります。

超感覚実験ともいいますが視覚や触覚よりも聴覚が高まる例は多いのです。長くなりますからここでの詳しい解説は避けますが、これは人間の脳内の構造が影響しているのではないか?と思います。

一度意識を集中させることに成功すれば本人の注意がそれるまで、あとはずーっと小声でも構わないのです。

人間の耳だけが一定に「音」を拾わない

補聴器などを作る際に一番苦労するのが、拾い上げる音が一律に大きくなってしまうことです。人間の耳、すなわち脳の構造は素晴しい機能を持っています。

それは音を取捨選択(しゅしゃせんたく)する能力なのです。

人間の脳、「耳」の処理能力は抜群で、電車の中やパチンコ店の騒音、人ごみの雑踏の中などで友人などと話す場合、必要のない音を「自動的にカット」します。

実際には「必要のない音が聞こえなくなる」のではありません。物理的には振動として届いていますが、精神的に「特定の音、騒音を」人間は選別して無視出来るのです(笑)。

道端に転がってる石ころと同じですね。見えていても無意味だし価値がない。あっても何も無いのと同じになる。透明人間は透けて見えますが、石ころは視角とか意識の中で背景と同化してしまいますから見えないのと同じ扱いになります。

人間は必要のない雑音や、自分とは関係のない話し声を「意識しない事で」カットすることができるのです。周囲の音と自分の聞き分けたい音を見分け、分類して必要な情報だけ拾い出します。

つまり、周囲の音がかなりうるさくてもフィルタリングし、その人の声やトーンに合わせる(意識を集中する、波長を合わせる)ことで、自動的に聞き分ける機能を持っているのです。

これを機械的に再現することは究めて難しいとされています。

補聴器の難しい所は均一に音を大きくしてしまうことですね。確かにイコライザーとかミキサーの機能をつければ不快な音とかデシベルによって取捨選択は可能です。

ところが、そういった機能を持たせると装置が巨大になってしまう。小型の耳穴収納タイプとか耳かけ式だとなかなか実現が難しかったようですね。

必要のない音は「記録しない」(意識せずに聞こえていないようにする)ことで、総合的なデータ量が減らせます。精神的な疲弊を減らし、必要なデータだけ抜き書きできるのです。

情報を減らした後で、必要な部分だけを記憶して行きます。