正しい催眠誘導の方法 / 第十四章

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強引に深化させることに私は反対

否定に走るのは「異質」なものに対する恐怖(74ページ)

宇宙人型UFOだからといって他の団体や先生が言っているように催眠を深化させ、相手に「腕や足が動かない」こととか「意識や記憶を失っている」ことを何度も体験させ強引にでも納得させなさい、という考えに私は反対です。

気持ちはわかるんですけどね。一緒にロケで苦労したはずのタレントさんとかスタッフが、平然と悪口言ってるのを知ると私でも腹は立ちますから。

それでも実力の証明のために一般視聴者に恥を掻かせるのは違う。

プロでもない一般人に、ギャラも払わずに無理をさせたり恥を掻かせたり暴露話をさせるのはルール違反ですよ。それでトラブルになったら誰が責任を取るんですか?

どんなに美味しい条件を並べられても、自分がやられたら嫌だったり腹の立つ行為はやらない。最初からそう決めています。コンプライアンスが叫ばれるようになった現在なら、私の言うことも多少はわかるのではないですか?

そもそもね。催眠を否定する人には「否定したい理由」が存在するんですよ。

そういった人に強引に催眠を用いて深化させても、結局、双方に良い思いにはなりません。成功した所で恐がったり、偏見が増すだけになります。

「そんなものはあってはならない!」と思っている人にはそれなりに理由があるんですよ。

これも経験済みですが・・・。それを強引に乗り越える形で深化を行っても崇めるどころか、恐怖心から徹底的に悪口をいわれるようになります。

強引な手法を用いたり深化させて恥を掻かせる行為をやると、確かに実力の証明にはなりますが・・・。それは仕事には繋がりません。

結局は求められるのは恐怖ではなく「信頼」だからです。

腕っぷしが強いだけの空手家とかボクサーに我が子を預けますか? 

実力の証明にストリートファイトを繰り返す? 戦国時代の武者修行とか宮本武蔵のような兵法者ならそれでいいでしょうが・・・。それでは単なる無法者だと思いますが。

私としては時間はかかっても「催眠とは何か?」「どういった現象なのか?」「なぜ、そういった現象が起こり、どんな利用がなされているか?」を丁寧に話すしかないと思っています。

時には催眠を深化させて効果ををはっきりわかる形にもしますが、あまりに深くすれば記憶の健忘が起きますからね。起きた時に被験者が何も覚えていないこともあります(笑)。

詐欺とか洗脳騒動に引っかかる人とパターンは似ています。別の暗示とか教祖様の影響が強くなると、実際の映像とか録画を見てもまったく認めませんよ。

眼の前で誰かが被害に遭ってるのを見せても理解できなくなりますよ。すでに強い暗示にかかった状態なのでそれが先入観となって、新たな情報は受け入れられなくなります。

兼ね合いが難しいですね。これは番組出演やイベントや講演も含めてですが、催眠について丁寧に説明を加えて理解の得られない人には、わざわざ参加したり用いる必要はないでしょう。

私のような施術側も疲れるだけになります。

新しい技術が現れた時に否定する人は社会に大勢いますが、時間が経てば解決することも多いでのしょう。スマホがない時代には「世界中の動画や写真、ウエブ・サイトが見れる」と言っても誰も信用しなかったと思います。

世界中の言語が検索できるとか自国語に変換できる、ストリートがビューで見られる、地図だって確認できると言った所で私が開業した1997年なら誰も信じなかったと思いますよ?

まだGoogleも存在していませんから。翻訳のためのCDが書店で売られてました。

広まれば、否定していた人達も当たり前のように利用するようになります。

人間が未知の技術や知識に恐れを抱き、距離を置くのはある意味では当然なのかもしれません。それは社会に存在する安全弁のようなものでしょう。

新しい技術や知識があっという間に社会に受け入れられ、吸収されるのはかえって危険でありおかしいのかも知れません。ですから、一旦、その時代、時代や社会環境にあった常識とか慣習、理性によってフィルターにかけられ、社会において認知されるまでに時間がかかるのは必然とも言えますね。

もちろん直接関わる身としては実害もありますし、腹が立つ事も多々ありますが(笑)。

どんなに便利な知識、技術であっても強引な形での証明はかえって浸透を遅らせると思います。多少時間がかかってもじっくりと丁寧に取り組むしかありません。

西洋医学の発達で一時は徹底的に否定されたカイロプラティックやヨガ、鍼灸や漢方薬にも、良い部分や利用できる部分があることを知って、様々に取り入れられるようになっています。

催眠もいずれ理解されるようになるでしょう。

学ぶ人や携わる人の逸る気持ちや腹腹立ちもわかりますが・・・。無理矢理に実力や現象を理解させようと焦り、強引に深化させてはいけません。

それは結局、自分の評価を落とすことになるからです。

未知のものに怯え、恐いからこそ否定しています。強引にそれを証明しても結局は恐さを増幅させたり、施術者に対する不信感や拒絶感を増すことにしかならないと思います。

それよりは周囲に理解されるような人格や人柄、優しさや思いやりを育む努力をしましょう。

技術の向上やその人の評価は、その後からついてきます。それが結局、その人の権利やプライドを守り、催眠に対する理解や協力に繋がって行きます。

このテキストをご覧になっている皆さんは強引に深化させて自分の実力を証明しようだとか、大きなトラブルにならないように注意してください。

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