可倒テストの実施(48〜56ページ)
身体が「後ろに」倒れる?(48〜49ページ)
指のくっつき反応テストとは別に可倒テストと呼ばれるもので、被験性を確かめたり、深化(催眠を深くかける)前に行う方法があります。
まず被験者に目を瞑らせておいてから、施術者が言葉で指示を送り一定のイメージを抱かせます。被験者の頭の中に作りあげたイメージに言葉で反応させて、被験者に身体に動き(傾き)などの反応を起こそうといった方法です。
先に可倒テストを行うにあたっての注意点などの説明をしておきます。文章と写真だけではかえって身体の動きや傾きがわかりにくいので、ここではあえて使いません。
テキストをご覧になっている皆さんはセットとして送付されたビデオを参考にしながら、このテキストを読んでください。
※2018年よりテキストの一部を無料化してネット公開しております。希望者が多いようなら動画も公開を行います。ただし肖像権の問題がありますので、ネット公開に同意して戴ける新たな被験者を募ってからです。
施術者の言葉の暗示により、被験者の身体が実際に後ろに傾くかどうかを調べることが可倒テストの主な目的です。
誤解する人が多いので先に注意を促しますが、実際には、被験者の身体が「動くかどうか?」ではなく、被験者の頭の中に「(施術者の言葉で描く映像などの)イメージが、しっかり出来上がっているかどうか?」のほうが重要なポイントになります。
先の観念動作でも一部触れましたが「動くからかかる」「後ろに動けばなんでもいい」のではないのです。働きかけるのは自意識、つまり顕在意識や表層意識ではなく「意識下にある」潜在意識の反応が見たいのです。
顕在意識といわれる表の反応、つまり本人が「動こう」と考えて身体が反応しても、それは催眠誘導とはまったく関係がありません。
一般の方には私が何を言っているのか理解が難しいと思いますが、催眠にかかるとは自意識、人間が持つ表層意識とか顕在意識と呼ばれるものから遠ざかることを意味します。
潜在意識に働きかけたり、反応を引き出すために先入観や筋反射を利用はしますが、自分の意志(顕在意識)で「こう言われているからこのように動いておこう」と考えられると、それはかえって深化や反応を読むには妨げとなってしまいます。
ペンジュラムの観念動作などにおいても、そういった人は時々現れます。
自分から「自宅で試すとペンジュラムがよく動く」「目を瞑って可倒テストをやってみたが反応があった」だから催眠にはよくかかる筈だ、などといって施術を求めてきます。
このような人に限って催眠にはかかりにくくかったり、なかなか深化しません。
まあそういった申し出をしてくる人の何人かはテレビに出たいタレント志望だったり、以前に私が出ていた番組のタレントさんのファンだったりもしたのですが・・・。
その申し出や自己申告がもし本当だったとしても、それは私、つまり催眠の施術者による働きかけではありません。
それで催眠がかかるのであれば、私は自分の声が入った音声データでもネットで送ります。何時間も手間をかけて面談やカウンセリングをすることはないでしょう。
番組収録等もそうですが、施術者(催眠術師)がわざわざ足を運ばなけれなならないのは、それが「誰かを介在することで」始めて効果を発揮する技術だからです。
後のコーナーで自己暗示の方法やダイエットのための知識についても触れますが、誰かが指示してナビゲートなりサポートして効果を求めるのと、全てを自分で賄う時は用意するものや手順が異なります。
観念動作も可倒テストも、自分で強引に動かす為に必要なのではなくて「自分でも気が付かない(それが潜在意識です)筋肉や身体の微妙な反応」を施術側が知るために必要なのです。
ビデオで確認していただけばわかりますが、可倒テストを行うと、私の指示(暗示)で被験者の身体は後ろにグッと強く動きます。よく観察すればわかるのですが「指示を出されてからゆっくりと動く」のではなく、指示を出された瞬間にグッと動くのです。
これは被験者の頭の中にしっかりと出来上がったイメージがあり、施術者の言葉に「無意識に反応して」引っ張られるからになります。
最初はわかりにくいと思います。施術者の語りかけ方やイメージの作り方によっても被験者の反応は変わってきます。ですが練習を重ねて行けば自分で「意識してから動く」人と、「無意識に」とか、こちらの植え付けたイメージに引っ張られて動く人とは、明らかに動きが違うことがわかってきます。
「大きく後ろに動く人は、必ず催眠にかかる筈だ!」といった先入観を持って練習に取り組むと誤解が生まれます。
「谷口の行っている通りにやってるのに上手くいかない」と文句を言ってくる人はたまに現れます。確認してみると私の指示したとおりには行っていません。
よくあるのはご家族、特に旦那さんとかお父さんが奥さんや娘に催眠をかけようとして失敗することですね。
心理障壁(しんりしょうへき)というのは男女間や家族間でも発生します。私のように専業になっていて慣れている人間が行うものと、いくら親しいとはいえ初心者がぎこちなく行うのは違いますよ?
まして親しいなら、それをご本人には言えませんよ。
「私はあなたを信用していない」と言っているに等しいですから・・・。それが潜在的なブレーキとなります。