ぜひドラマ化希望 八雲立つ

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何故かドラマ化とか映画化が多かったので

八雲立つ 扉絵私のホームページに掲載した書籍とか漫画とかが次々に再版されたり、ドラマ化や映画化されたことがあるので、ぜひドラマ化して欲しいと思っている漫画を最初に紹介します。

少女漫画というか本来は女性向けのものなんですが(笑)。

白泉社、花と夢コミックスの「八雲立つ」を紹介します。

最近は「歴女」と言われる歴史や昔の武将などに興味を持つ女性も増えているようですが、そういった方にもお勧めかも。

もっとも時代背景はもうちょっと前です。(西暦で712年)古事記などの時代ですから日本では神話の時代ですね。戦国武将とかはまだ出てきません。

調べてみるとこの作品は1997年と1999年にドラマCDにはなったことがあるようですね。

ドラマCDですから声優さんが役に扮して吹き込んだだけに留まっていると思います。DVDも一巻だけ。もったいないというか、何と言うか・・・。素晴らしい作品だと思うのですが。ぜひどこかで映像化して欲しいものだと思います。

私がこの漫画を気に入っているのは主人公のキャラクターと複雑な背景、対人関係や孤独感に悩みながらそれでも成長してゆく姿ですね。時代考証もしっかりしており、読み物として面白い。

歴史のある一族の跡継ぎとして生まれ、父殺し(養父です)としての宿命を背負いながら自らの運命に抗う(あらがう)少年。

それが主人公である布椎闇己(ふづち・くらき)です。

この物語は背景には古事記などを下敷きにしています。

架空の設定として古(いにしえ)より日の本という国を闇から守り、神事によって結界を張り巨大な悪意の塊(かたまり)である「念」から守ってきた布椎という一族があります。

その布椎(ふづち)本家、十五代目当主であり跡継ぎとして育てられた彼は、その高い能力と血筋が故に過酷な運命を背負います。

ストーリー展開

その彼と頼りないながらも共に歩こうとする友人に七地健生(ななち・たけお)がいます。彼は当初、布椎闇己(ふづち・くらき)の過酷な運命、自分との過去世での繋がりを知らぬまま彼と接点を持ち、その後、親友になります。

物語はこの二人を中心に展開して行きます。

念と呼ばれる巨大な悪意の固まりは時に人々に憑依して災厄を招く目に見えない存在です。一般人には見えず理解もできないこの大きなマイナスの力と向き合い、巫覡(シャーマン、みこ、よりまし)として神に身体を貸し出すことでこの国を守ってきたのが布椎一族でした。

主人公、布椎闇己 は、自分自身と自分たちの一族の背負う「業」を自らの代で終わらせようと願い、各地に散った七本の神剣を集めようとします。

一方、人間の持つ怨念、巨大化した「念」を開放して社会の破壊を目論む人達もいます。しかも、その主要人物は主人公、闇己の実の父親です。

父の名は邑見眞前(おうみ・まさき)。闇己とは幼い頃に別れています。

彼は闇己と同じくいわゆる天才に近いがために、現実社会において深い拒絶感と孤独感を持ちます。一般人とは異なる価値観や社会観、鋭い観察力や洞察力、高い霊能力を持つが故に馴染めないし生活していても面白くもないのです。

父親からみての闇己は、負(マイナス)の巫覡(よりまし)であり「巨大な器」です。

人類の歴史、何千年にも渡る巨大な悪意の固まり。それが「念」です。

闇己には巫覡としてその全てを飲み込んでしまうだけの大きさがあります。それだけの力を「我が子が持っている」と知った彼は、念を解放してみたいとの願望に取り憑かれます。

念に破壊され何もかもが無くなった世界で、ただ一人、我が子のみが全てを吸収して立っている姿を夢想するようになるのです。

邑見眞前を知る親族、野城上脩(のきがみ・おさむ)の言葉です。

「あの人は常に何かに飢(う)え、飢(かつ)えていた」

その飢えを満たすために邑見眞前はこう考えます。

「こんなつまらない世界は一度、無くなってしまえばいい」

邑見眞前(おうみ・まさき)は、自分自身の中にある破壊衝動を押さえきれなくなります。「入らずの森」にある数千年分の念を開放し、我が子に吸収、全てを憑依させてみたいとの意思を強めてゆくことになります。

天才であり異質であるが故の孤独

邑見眞前(おうみ・まさき)には人々が当たり前のように行っているささやかな生活、喜びとか楽しみが理解できません。幼少時からずっと自分が「この世にとって」異分子である、異質な存在で理解されないとの感覚がずっと付き纏っているからです。

世界の全てを破壊したいと考え、持ち自らの持つ霊能力、巫覡(みこ、よりまし)としての力や血筋、時には麻薬や宗教団体を利用して適えようとします。

闇己の友人である七地健生(ななち・たけお)は鍛冶氏(かねちし)としての血統を継ぎます。古代においては神職とされた鉄剣を鍛える能力を持つ子孫です。

異質な才能を持ちその高い霊能力と血筋が故に邑見眞前(おうみ・まさき、実父)と同じような孤独に嘖まれそうになる闇己を、健生はその持ち前の能天気?と血統が持つ不思議な力に導かれて助けるようになります。

闇己父子が共に異質であり天才肌であることは同じなのですが、それをサポートする友人(鍛冶氏)に恵まれたかどうかで展開は異なってきます。

そこに闇己の異父姉である布椎寧子(ふづち・やすこ)の恋愛感情や、闇己の従兄弟で関東布椎家(分家)の布椎蒿(ふづち・こう)、布椎本家に取って代わろうと狙う忌部家(いんべけ)などの思惑が複雑に絡んで物語は二転三転してゆきます。

闇己の異父姉である布椎寧子(ふづち・やすこ)は美しく異性には人気がありますが、孤高の天才児、自らと血筋の繋がった弟(闇己)を深く愛してしまいます。

その報われぬ思い、禁断の愛をも利用して邑見眞前(おうみ・まさき)は、世界を滅ぼす念の開放のために闇己を誘い込む道具と成すのです。

神剣を集め、世界の全てがまさに闇に包まれ念に取り込まれようとする瞬間、闇己は自分が大切に思う全てを守るために結界の中に我が身を投じるのです。

なかなかに面白い

全巻を読んだ印象としては、最初は作者(樹なつみさん)が軽い感じで始めた読み切りではなかったのかな? と思います。

『八雲立つ』で1997年度第21回講談社漫画賞を受賞。

鬼切丸って漫画とも似てますね。少年サンデー読みきり号に載っていたものでこちらも時々読んでいました。もっとも、鬼切丸のほうがもっと後になってからのものですが・・・。

最初は若干、軽いキャラクターとして扱われていた義理の父親(闇己の手によって死亡)も、途中からは物語に大切な人として描かれています。

それが最初はこの本が読み切りか短い連載だったのではないか? と私が推測した理由ですね。

途中からは素晴らしいストーリー展開と読みごたえがあります。特に中盤から後半にかけてには息もつかせぬ迫力がありますね。

骨子がはっきりしていて、中心に置かれた神話や古事記の記述がアクセントを利かせていますね。神話とか古事記を交えて書かれた現代劇でこれほど面白かったのは珍しいです。

全てを綿密に書いてしまうとこれから読む方が面白くなくなるでしょうから、ここに載せているストーリー展開や人物紹介は軽めに書いておきます。

この漫画は人物キャラクターと背景が際立っています。

布椎世裡(ふづち・せり、闇己と寧子の母)が、夫の弟と道ならぬ恋に堕ち子供を宿します。邑見眞前(おうみ・まさき)との間に生まれたのが主人公の闇己です。

布椎寧子(ふづち・やすこ)は闇己の実の姉ですが、血の繋がった弟を愛してしまいます。

好きになってはいけない男を好きになってしまう母と娘を布椎世裡(ふづち・せり)と布椎寧子(ふづち・やすこ)を通して作者は描こうとしています。

催眠シーンがあります(笑)

複雑な人間模様が、神話やオカルトぽい話も交えながら描かれています。

かといって全てをおどろおどろしい話に仕上げるのではなく、そこに携わる様々な人の思いを歴史を順番に手繰りながら通じる形に仕上げています。

血統や血筋、霊能力や家というもの、その軋轢や古いしきたりに苦しみながらも仲間、家族との絆を描いたストーリーになっていますね。

そこには嫉妬とか愛情とか孤独もあります。特異な才能と環境、古い家と血筋に生まれたがために孤高に悩みながらも人を愛そうとする、迷いながら成長する少年の姿があります。

同じ孤高でもおのれの欲望、願望のままに世界を破滅に導いてやろうとする邑見眞前(おうみ・まさき)と実子である闇己との対比も物語の見どころの一つです。

謎解きとして古代に戻っての闇己と健生との出会い、鍛冶氏(かねちし)と巫覡(みこ、よりまし)の関係を描いたシーンもありますよ。

全部で19巻です。私は旧タイプを全巻持ってます。最近は文庫本(全十巻、上にAmazonへのリンク貼っておきました)で出ていますので興味がある方はそちらをどうぞ。

この漫画、途中に何ヶ所か催眠らしきシーンがあったりなんかして。

それがまあ、私の提唱している瞬間催眠とか急速催眠にかなり近いのでびっくりしたんですよ。

まあよく考えてみたら当たり前なんですけどね。古流といわれる柔術とか武術、剣道や杖術(夢想流杖術)などには同様の所作とか形があり、それは神道などにも受け継がれています。お札を道場の神棚に祭っている所も多いと思いますよ。

一種の気合い術と言われて昔に修験者や武芸者が修業した「形」も、そういった所からの写しです。

立ち位置や目の配り、手の動作や所作、儀式の中には同種のものがありますので、そういった部分から抜粋すれば両者はどうしても似通う部分が出てきてしまいます。

最初に書くならこの本についてと決めていました

積み重ねた本 アイコン練習会に出たことがある方はこの漫画も参考にしてみると面白いですよ。

本当はすこーし「間」が違います。肝心な部分が漫画では欠けています。

呼吸を合わせるタイミングが・・・。ね。

以前に私からヒントをもらっている方ならば、それは解けると思います。

新コーナーを立ち上げて何かの書籍とか漫画などの書評を載せるなら催眠のシーンがあって読みごたえのあるこの本のことを最初に書こうと決めていました。

多少、難解な概念とか難しい部分もあると思いますが読んでみると面白いですよ。

これだけ面白い話がアニメ化とかドラマ化されていないのは不思議でしょうがないですね(笑)。作者は兵庫県の方らしいですが、絵も巧いですし時代考証もしっかりしています。

最近は半端なドラマとか映画が多くなったのでつまんないです。こういったしっかり描かれたものを原作にして半年か1年くらいのドラマにしてもらえませんかね? 多少、古い時代のものですが今でも十分、使える内容だと思いますよ。

ドラマ化するなら邑見眞前(おうみ・まさき)の役が難しいですね・・・ヒネた中年で男前、やせ形で迫力はあって武術の達人風という・・・。色気があって影が必要です。

木村拓哉なんてどうでしょう?

結婚してて高校生くらいの子供を持ってる設定ですから、若干、年齢は足りませんが(笑)。椎名桔平さんなんてのもいいかも。

催眠をかけるシーンなら私がマンツーマンで教えてみたいものですね。

ドラマ化かせめて、アニメ化でもされないですかねぇ・・・。このまま埋もれてゆくにはあまりにも惜しい作品なので。

最近はドラマや映画のために、必死であちこちのブログとか掲示板、雑誌を漁って原作を探している関係者もいるようですから試しに解説を載せてみようと思いました。

ドラマ化とかアニメ化とか、私自身のささやかな願望も兼ねてコーナー最初の更新とします。

2010年01月21日

谷口信行

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