通りがかりの人に催眠はかかるのか?

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渋谷の街頭や雪山でロケを繰り返す

誰しもが半信半疑でスタート

皆、半信半疑だったんでしょうね。担当ディレクターなどは

ディレクター
ディレクター

谷口さんが失敗したらそのまま放送しちゃっていいですか?

と聞いてきました。

谷口
谷口

えぇ。別に構いませんよ。

と返事をしています。

望む所でした(笑)。当時は失うものなんてありませんから。

この仕事を始めて独立開業時には交際していた彼女とも揉めて別れた後です。付き合っていた女性ですら信用してはくれず、こんな仕事で食ってくのは絶対に無理だと言い放ってました。

生活が安定しないと判断したようであっさり別の男に鞍替えしました。これは結構辛かった。まあこの女性は番組に出るようになった途端に、他人のフリしてメールを送りつけてくるのですが・・・。

独特の言い回しや物言いというのは変わらないものなんですね。すでに別の男性と結婚した人が何人かそういった行為をやってきます。ネットで仕事してるとこういうこともあるのかとガッカリしました。

当時は事務所を持っていてもお客さんが来ない。パソコンの使い方を解説書を読みながらやっと覚えた程度の頃です。ホームページですら薄っぺらい内容で、頼るものとか、縋るものもまったくなかったんですよ。

あったのは根拠のない自惚れと自信だけです。

どこかで思い切った勝負とか賭けはやってみるしかない。

練習だけは誰よりもやったとの自負があった。苦しいし辛いし怖い思いもしましたが、それでも自分が習い覚え、賭けてみようと思った技術や経験に嘘や偽りや誤りなど無いとの強烈な自負だけが私を支えていました。

他の先生は実演のテストや環境設定の難しさ、プレッシャーに負けて逃げ出してしましたが、当時の私がその程度で引き下がる訳がないですね。

担当ディレクターとか番組側は失敗したら、おちゃらけの企画に摺り替えるつもりだったんでしょう(笑)。

ルパン三世みたいな「真っ赤なシャツを着て来てくれ」などと言われて、現場でもめたくらいですから・・・。流石にそれは勘弁してもらいました。

まあ、最初は仕方ないでしょう。お互いがお互いをまったく知らない状態なんですから。手探りでどこか接点とか折り合いをつけるしかありません。

なんせ、お互いがまだ知り合ったばかりで一度も収録を行っていませんので。海のものか山のモノかもわからないのです。

取りあえずその場は「大丈夫です。私にはできます」とだけ言い切って帰りました。

事前催眠や予備催眠は必要なのか?

この記述も懐かしいですね(笑)。今の若い世代には事前催眠(先生によっては予備催眠とも言います)という言葉すら忘れ去られつつあるでしょう。

特にテレビ局の現場などでは知らない人も増えたと思います。

現場でディレクターになっている世代は、すでに私よりもかなりの歳下でしょう。

ですから知らなくても無理はない。

今から十数年も前にはそういった「催眠術を使った番組」も結構あったんです。

話を戻しますが、事前催眠や予備催眠が「絶対に必要か?」と言うとそうともいえません。

ショー催眠を行おう、イベントに参加しよう、収録で催眠を行おうと考える者にとって「事前催眠がいる」と思い込んでいる人は多数に上ります。

過去には「事前催眠がないならばインチキだ!」と自らの著書でいい切る人も有名な先生には存在していたくらいです。

実際にはね、事前催眠がなくてもかかる場合は多いですよ? ただし施術とか手順がちょっと難しくなるだけです(笑)。複雑な内容や入り組んだ指示は確かに難しくなるでしょう。

ですが、簡単な指示や暗示に関しては、延々と事前に時間を割く必要はないと思います。

反対に事前に催眠の時間をとり過ぎて失敗したこともある(笑)。

この後に出演した別の番組などでは被験者に長々と説明したり反応を読むテストを繰り返したため、かえってかかりが悪くなったり、怖がられてディレクターに注意されたことまでありますよ。

ディレクター
ディレクター

先生、説明すればするほど怖くなってる!

これには参りました。

催眠の指導書とか知識としては説明とか事前催眠に時間を割くことが当たり前なので。

相手が「コギャル」若い世代だと逆効果になることもありました。

► 学校へ行こう!

学校へ行こう!
Nobee谷口の撮影日記 TBS系に出演撮影日記というタイトルはTBS系の深夜番組で最初にコーナーを持った時につけました。当時はリアルタイムで撮影についての感想や失敗談、苦労話を載せており「催眠術師のひとりごと」と同じく高いヒット数がありま...

そういった経験をしてから、私は撮影や収録においても延々と時間を割きません。

被験性は事前に割く時間の多さで極端にかわる物ではない、と思っているからです。

初心者によくある勘違いですが。被験者と長く話せば納得するとか相手が安心したり信頼(ラポール)が形成する、と考えるのは誤りだと思います。

言葉とタイミングを選べば短時間でもかかる人はかかるんですよ。

ただし、誘導を行う時間は少ないよりもあった方がいいに決まっています。事前に多くの時間が準備として割けるならばそれにこしたことはありません。

より複雑な反応や複雑な指示、何かをきっかけ(音、映像、タイミング)に動くようなやり方は、事前の埋め込み作業である程度まで結果が決まってしまいますから・・・。

残念ですが、一般の方が考える程テレビ番組ってそんなに時間も予算もないんです。

深夜番組は特にそうですね。失敗して、撮り直しとかお蔵入りもできる限りは避けたいところです。

催眠を取り上げた番組において被験者を集団で集め、スタジオで決まった相手に催眠をかけるのは、それがもっとも失敗の少ない方法で効率がいいからです。

通常であれば現地で通り掛かりの人、しかもまったくの初対面で素人に催眠をかけ面白い映像を撮ろうなど、正気の沙汰ではありませんから。どの先生も断ってくるのが当たり前です(笑)。

でもね、私はやってみたかったんですよね。

自分の実力や技術がどの程度の物なのか、どうしても知りたかったから・・・。

なぜ、できたのか、成功したのか?

んなものは、考えたってわかる訳がない(笑)。

とりあえず、度胸だけは座っていた。当時なら刃物を向けられてもへっちゃらだったでしょう。

成功するとの自信、技術や知識への自惚れだけがあった。他のものなんてありゃしませんよ。お金もなく前職で貯めた資金を使いながら食いつないでいました。

当時、出演が決まって慌ててスーツを新調したくらいですから。

靴すら新しいものは持ってなかった。生活もギリギリだったんですよ。当初のギャラでは完全に赤字でした。

先にも少し触れましたが、開業当初、飲みに行った店で実演を行っていたらたまたま、隣に座っていたいわゆる「危なそうな職業の人」にからまれた経験は何度かありました。

その頃は大阪に住んでいましたからね(笑)。

私自身にはお金はないのですがスポンサーになってくれた人が面白がって連れ歩いたのです。すると「兄ちゃん、インチキくさい事やっとるのー。ワシにかけて見んかい!」とやられることがあって。

もちろん赤の他人ですが、店内での実演を見て向こうから絡んできます。

そりゃ、凄いプレッシャーですよ(笑)。

「できません!」は通りません。「気分が乗らないから」も「今日は体調が悪い」も通りません。選択肢に存在しないのです。「今、ここで、すぐ、ワシに!」かけなければタダではおかんぞ、って雰囲気がヒシヒシと伝わってきます。

恐いですよね?

それでも逃げた事なんてなかった。逃げなかったからこそ技術も上がったんでしょう。

お酒も驕ってもらったし名前も売れました。「何かトラブルがあったら頼ってこい!」と名刺も貰ったことがあります。もちろん、そういった人達に頼ったことは一度もないですけどね(笑)。

生活とか仕事でどんなに困難だったり苦しいことがあっても、そういった人達に近寄らなかったことは、私の密かな誇りでもあります。

ああいった世界の人が出す名刺というのは一般社会とは意味が異なるので。よほど気に入られないと出してこないそうです。下手な奴に渡すとトラブルの元になりますから。

相手が誰でも同じです。催眠術師(カウンセラー)が、相手によって態度を変えてはいけない。背景や肩書き、地位や金に頼ってはならない。これは私あ開業時に決めた絶対的なルールです。

何かに頼ったり気にした瞬間に技術者として下手になったり、精神的に弱くなりますから・・・。

誘導に成功した途端、相手が手の平を返すように態度が軟化して「この兄ーちゃんは本物やー! ビール奢ったれ!」といわれ、冷や汗をかきながら一緒に飲んだこともあります。

言っておきますが、今はもうそういった強引な実演はやりませんよ(笑)。実演中に周囲から絡まれても関わらないようにしています。

他の仕事とか生活でも失敗が許されない状況での挑戦は結構あったんです。別に催眠だけじゃなくてセールスや営業でも失敗が許されない場面が多々あった。

顔が顔面神経痛で痙攣したり、頭が円形脱毛症にかかったこともあります。

家族や仕事仲間、恋人にもこれまで一度も告げたことはなかったですが・・・。常に平然としているように見えたと思いますよ? それがプライドってものでしょう?

売り上げが足りない、前年度実績に届かない、得意先が金持って逃げた、家族や親族の借金背負った、ココには書けないほどの驚くような大きなトラブルがあった等々、数え上げれば切りがない(笑)。

事故や怪我、親族の子供がいじめにあっただの、バブル期に飲食店の経営に携わっていた頃には私自身が脅迫にあったり、宗教関係者からの奪回に関わった時は、身柄攫われて殺されかかったなんてのもありました。

だーれも助けてくれなかったし、自分で切り抜けるしかなかった。

それに比べれば楽勝ですよ。