将来的には問題となってしまう
偏食が一種類とか二種類であるならば、前に書いたような過去の数回の体験やショックに根差す、と考えていいでしょう。
催眠による改善は可能です。マイナスのイメージを消せば何とかなりますから・・・。ですが、あまりに偏食が多く、ありとあらゆる物に好き嫌いを持ち込んでしまう場合には難しくなりますよ。
その子供が育つ過程において本人が望む物だけを与えてしまっているケースが往々にしてあるからです。
例えば両親が共働きで不在だったり。おばあちゃん子であったり、子供に親が手間がかけられないからと勝手にどこかに預けてしまっていたり。
機嫌を取るために延々と特定の食べ物だけを与え続ける(例えばジャンクフードやチョコレートなど)環境で育つと、大人になるにつれて困ったことになってゆきます。
子供の丈夫な成長を願い「食べなくてはならない物は食べなさい」ときちんと教えたのは過去の話です。毎日の食事をファーストフードで与え続ける愚かな親もいます。
先に味蕾の話を書きましたが、幼児期から思春期までの間に固定された味覚ばかりに慣れると味蕾そのものの数も減りますし、嗅覚や味覚は明らかに鈍感になります。
様々な食品を与え、味蕾や嗅覚、様々な触感を教えることはいわば親の愛情になります。ところが、何らかの事情で子供に手をかけられない、とか仕事や生活のためにどこかに預けたり、お金を与えて好きな物を買わせるような環境で育ててしまうと、なかなか偏食は治すことができません。
感じ取れるはずの器官が、最初から備わっていないか極めて弱いわけですから・・・。困るのはそこに個人のパーソナリティ、つまり好みとか感情が持ち込まれるようになります。
好きなものしか食べないのが当たり前の環境で育っていますから。周囲に合わせるとか誰かと同じものを食べる習慣がないんですよ。
これを食べなさいって言われても「なんで?」「そんなの食べたくないし」としか思わないでしょう。
大人(この場合、親)やその周囲(祖父や祖母)が「可哀想に、可哀想に」などと言って、本人の欲しがる物ばかり与えて甘やかしてしまったりすると、食事は極端に偏ります。
わざわざ自分が好きでもない物を我慢して食べなければならない理由がないからです。そううなれば子供は甘いものばかり欲しがりますよ。
子供の頃に多くの食品に馴染んでいないと、新たな味覚は育ちません。大人になってから自分で食品を選択できるようになっても、自分では欲しいと思わない場合が多いですね。
同じ弁当を毎日食べたり、ずっとハンバーガーとコーラであってもご本人にはまったく苦痛ではないのです。誰かに合わせるという習慣もない。注意を受けたり同じものを食べて食卓を囲むという感覚が備わっていませんので。
楽しくもないんですよ。
当然ですが、暗示や催眠も受け入れられなくなります。本人も偏食を真剣に治そうとは思いませんから・・・。別に困る事はないですし、受け入れる必要がないんですよ。
味覚が育っていないので様々な食べ物をおいしいともあまり思わない。「私の生活に支障はない」と考えますから。
結婚生活とか子育てだと苦労するようになりますよ
学校給食とか保育園というのがなぜ存在しているかというとですね。実際には一人で子育てするのが大変で物理的に難しいからです。
ライオンとか大型の肉食獣もコミュニティを作って集団で生活してます。狩りに行った場合は留守になりますから我が子を守る方法がないんです。
同じ食べ物を食べる、子守役を置くことで生活が豊かになったり時間的な余裕ができます。人間の場合なら一時、子供を預かってくれる場所が出来ることで仕事にも買い物にも出かけられるのです。
個々の個性を大事にすることはもちろん必要なんですが。それぞれがてんでバラバラに行動するようになって自己主張ばかりが強くなったら社会やコミュニティが崩壊します。ですから多少は我慢することを覚えたり集団生活のルールや「マナー」という方式で子どもたちに教えておくわけです。
特に女性の場合、偏食があまりに強くなると出産や子育ての時に食事を作ったりバランスのよい食生活を共にすることができません。チョコレートやジャンクフードばかり食べていると栄養失調になりますしお医者さんや親から怒られますよ。
恋愛しても恋人と同じレストランに行くことができないとか、自分が好きなものばかりを隠れて食べるようになってしまいます。
あまりに偏食が多いと同僚と居酒屋に行くとか、同級生と誕生日会をするとか、仕事の打ち合わせで得意先と会食する時などに苦労する場合もあります。
非常に残念ですがそういった人の場合、改善には大幅な時間がかかります。催眠のみでは難しくなるでしょう。一種類ずつ、順番に消していってもなかなかうまく行きません。
それ以前に催眠を受け入れてもらう(カウンセリングを本人が受ける気になる)には、長い時間と何らかのきっかけが必要になるでしょうね。
そういった人は愛情に餓えたまま、大人になっているケースも多いので。死なない程度に食品は与えられていたり、甘やかされていますが、ご本人が本当に求めていた物(両親の温もりや愛情など)が欠けている場合が往々にしてあります。
感情の起伏が激しく、付き合っている男性や女性の裏切り、ほんの少しの行き違いや約束破りに激しく反応するタイプもいます。
偏食が極端に多い人は恋愛も自己中心的になりがちだったりします。
暴れたり駄々っ子のような振るまいをしたり、無理を言って相手が応えてくれるかどうかで愛情や優しさを計ろうとします。おそらくはご本人も辛いでしょうね。
本人には悪気などはなく、子供の頃注いでもらえなかった愛情を現在、付き合っていたり側にいる誰かに無心に求めているだけに過ぎないんですけどね。
催眠にかかるなら直るのでは?
催眠も一種の手助けには違いないのですが、そういった人の心の中にはなかなか踏み込めなくなるんですよ。
扉を開くのが普通の人よりも難しいと同時に、一旦扉が開いてもそのまま閉じないという保証はありません。
ちょっとしたキッカケで心を閉ざしたり、激しい感情を爆発させますから、相手(この場合なら施術者)に不信感を持ち全体があっさり元に戻ります。
対応は極めて難しくなるでしょう。最近はニートなどと呼ばれる若者も増えていますが、そのうちの何割かはこういったパターンにも当て嵌ると思いますよ。
忙しいからといって育児や離乳食、子供の面倒を後回しにすると、後々になって取り返しのつかないトラブルになってしまい、結局は親と子の双方が頭を抱える結果を招きます。
私は催眠を用いて偏食を治そうと考える場合、催眠にかかると言うか、暗示を受け入れる素養があるならば必ず治ると考えています。
食生活の豊かになった現代、何が何でも偏食を治さねばならないかといえばそれはそれで疑問ですが・・・。
私が子供の頃、給食でクジラの肉が出ていました。唐揚げとか竜田揚げだったですね(笑)。
その肉がまた固いのなんのって。揚げてから時間が経っている上に固いし不味いし、子供たちが大喜びするメニューではなかったような気がします。
貧しい時代はなんだって喰ったんですよ。偏食もする子は少なかった。例えばですが食糧事情が悪い地域、アフガニスタンやアフリカ、北朝鮮に偏食をする子供や大人がたくさんいるでしょうか?
私はいないと思います。絶食でもすれば何でも喰うんですよ。死んじゃうから。
我慢する必要がなくなったから偏食も増えていますし、親たちや本人が治そうともしなくなっているのです。好みのものだけ食べていても餓え死にしないですし、場合によってはジャンクフードだけでブクブク太っている例もあります。
私は催眠に「かかるならば」偏食の修正は可能だと思っています。
催眠をまったく受け付けないとか、かからない場合は最初から問題外ですからね(笑)。わかり易いと言えばわかり易いでしょう。テスト催眠を行ってかかるようならば、改善をお約束します。
女性の場合、結婚して自分の子供に偏食をさせたくない、次の世代に悪い習慣を引き継いだり職場で恥をかかせたくないと思う方なら、事前に改善しておいてもいいように思います。
東幹久さんの場合、ご本人の集中力の高さも手伝って、催眠の深化のスピードは早かったんですよ。事前に行ったテスト催眠の時点で、殆ど、トラブルは解消してしまいました。
私は彼のトマト嫌いについてはあまり知らなかったので、そんなに驚きはしなかったのですが、彼の周辺や番組のスタッフビックリしたようですね。
東幹久さんもその後の番組で大勢から「本当に食えるようになったの?」と何度も確認されたと話していました。
ところが、2005年の年末に関西ローカルで放送されてる番組でゲスト出演した東幹久氏がトマト嫌いにまた戻っていることを確認。
ちょっとショックでしたね。オセロのやってる番組で昔話のついでにトマトを出したらまた、すっごく嫌いになっていました。おまけに偏食が治っていたことも忘れていそうな勢いで。
ウ~ン、彼にいったい何があったんだろう???
彼と親しいスタッフや知人に訊いて確認してみたい気もします。