催眠って、なんなの?

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簡単に言うならトランス

催眠の歴史と現実

daVinci 人体図

催眠は生活の中にあったのですが、「催眠」という言葉ではなかったのではないでしょうか?

例えば原始の時代、薬や医療といった概念のない頃は世界中で「お呪い」(おまじない)などに似た行為は広く行われていたと思われます。

シャーマンや巫女、神に仕える者は古代から世界各国に存在します。

占いや詔(みことのり)託宣(神からお告げを賜る者)は世界中に伝承として残されており、その時代時代を動かす原動力や道しるべともなっているのです。

現代における薬(投薬)や医療も、もともと人間の持つ抵抗力を高めることにしか役に立ちません。

細菌ならば抗生物質などが使えます。

残念なことにウィルスを直接的に攻撃して殺すことに成功した薬はなく、あくまで補助的な対症治療法に過ぎないのです。

※1997年の記述です。2011年にマサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所により提出された論文ではウィルスを直接攻撃して殺すことに成功したと書かれています。 ただし、このコーナーを改訂している2017年の時点では研究段階で製薬化には未だ成功していません。

皮肉なことに日本の催眠の技術が発展をとげたのは、戦後間もない頃といわれています。

物資や薬などがまったくなく、助けてあげられるはずの患者さん達に何も行うことができず、多くの怪我人や病人、患者が救う術もなく死んで行きました。

手を拱いている(こまねいている)しかなかった医師達がある発見をしました。普通、常識では考えられない重傷を負っている患者の中に痛みをまったく感じない人達とか、恍惚とした表情を浮かべた人達がいることを発見したのです。

痛みを感じない、ということは長時間にも及ぶ手術やそれに伴う痛みにも耐えられることを指します。心因性のショック症状を起こして命を失ったり、暴れて多くの出血をすることがなくなるからです。

これを治療に利用できないか?

と考えた人達がいます。

「なぜ痛みを感じず、恍惚とした表情をしているのか?」をそれぞれが調べ、考えるうちに周囲の話しかけ方や対応に、痛みを感じなくさせるヒントがあるのではないか?と 推測して治療に用いる人達が現れたのです。

手足を失うような大怪我、空爆や事故に遭ったにも関わらず恍惚とした状態で痛みを感じないが起こるのは「死なずに助かった」ことに対してホッとしてしまい、一種の現実感との隔離が起こるのではないか? と考えられています。

大きな事故に遭った直後、自分の命が助かったことに感謝している間には一種のショック症状のような状態になってしまい、現実感を失います。

何を話しかけても頷くだけしかせず、何時間も場合によっては何日間も記憶がない場合もあります。

傷を負って「痛い」という感覚よりも自分が死の直前に迫り、逃れられないと思った恐怖が遠のいたことに意識がマヒしてしまい、現実感を喪失して痛みから遠のくのです。

死なずに済んだという安心感と、そしてそれを周囲が助長する働きかけ。

つまり「痛くないぞ。すぐに助かる!」となどと話しかけることで、更に痛みを打ち消し、恍惚感を引き起こすことができるのではないか、と考えられたのです。

脳内物質

何かと話題にのぼり研究が進んでいる脳内麻薬とも、どうやら催眠は深い関係がありそうです。

「幸せだ」と感じたり、何かの危険にあって「助かった」と感じる場合、安心して「ホっとする」場合など、人間は緊張がほどける時、脳内には大量のエンドルフィンが分泌されます。

逆に危険を察知したり恐怖を強く感じた場合、人間の脳内には大量のドーパミンや、ナノアドレナリンといった強力な物質が分泌されます。

ドーパミンなどの分泌を抑え、エンドルフィン優位に脳内物質が傾けば、一種の麻酔と同じ働きをする筈なのです。すると、痛みや苦痛(精神的な痛み)は遠のきます。エンドルフィンは麻酔物質、幸せホルモンと表現されることもありあmすね。

実は同じ脳の中から感情の働きによって分泌されるとはいえ、ドーパミンは強力な毒性を持っています。

ドーパミンは急に身体を動かさなければならない状態、つまり自分に危険が迫った場合、例えば車が飛び出してきたり、上から危ない何かが落ちてきた際などに強烈な刺激を与えて身体を動かすために必要な措置になります。

「避けるんだ、逃げろ!」といった指示を強く打ち出す場合、快楽物質とか幸せホルモンと呼ばれるエンドルフィン系では役に立ちません(笑)。

痛みや現実感は遠のきますが、そのままニッコリ笑ったまま上から落ちてきた鉄骨に押しつぶされることになってしまいます。

ですから毒をもって毒を制す、じゃあありませんが、強力な刺激でもって全身に「動け!」との強烈な指令を与えるのです。

バットで後ろからぶん殴られるようなものですね。

これは「ZONE」いわゆるタキサイキア現象とも繋がっていきます。

► ZONE(タキサイキア現象)の正体

ZONE(タキサイキア現象)の正体
この解説は小説のネタにもなっていますがテキストにも一部、記述があります今回のテキスト(正しい催眠誘導の方法)の無料公開で「ZONE(タキサイキア現象)」についても追加記述しています。下記にリンクしていますので、よろしければ参考にしてください...

ただし、いくら危険から身を守るためとはいえ毒は毒でしょう。いつまでも出しっ放しという訳にはいきません。ですから異様な興奮、毒を中和するために大量のエンドルフィンを必要とするようになります。

先に強力な薬(毒性のあるドーパミン)を用いて危機から脱出させ、その後、その毒性のある薬を幸せホルモンであるエンドルフィンを後から投与することで中和させる。

すると恍惚感が得られて持続するわけですね。

これが催眠現象や「トランス」と呼ばれるものの正体に近い。

ドーパミンもエンドルフィンも状況に合わせて分泌が起こります。どちらか一方に傾くと弊害がありますから、その両者のバランスが重要になるのです。

催眠中も誘導の方向性によって脳内には大量のドーパミンやエンドルフィンが分泌されることが知られています。ドパーミン優位に働けば幻覚を見たり、感情の昂揚感が得られます。エンドルフィンが優位に働くと多幸感が得られ、痛みなどは遠のきます。

それを意図的に行うことで生還率を上げたり、痛みを打ち消し、ショック症状から患者を守るために過去から利用されてきた訳ですね。

言葉には力がある

一歩進めた考え方をした人たちが存在したわけです。戦時とか戦後の動乱期には検査機器どころか薬も包帯もありませんよ。

食糧難で物資もありゃしない。病院に担ぎ込んだところで治療する道具や薬がなく衛生状況も悪いですから人はドンドン死んでしまいます。

そんな中で「おまえは助かったんだ! もう大丈夫!必ず助かる」とか、「痛くない! すぐに家に帰れるぞ!大丈夫だ」と励ますことになります。

気休めにも思えるかもしれないですね。励ましで腹は一杯になりませんから。

それでも経験則として「その励ましや話しかけ」広い意味では暗示や催眠が効果を現して助かった人たちがいたわけです。

だから戦後の動乱期に日本の催眠技術は発達して、原型を留めることになったのでしょう。物資が豊かで研究施設や検査機器が無事だったら。

「言葉の力や暗示」に頼ったとは思えないのです。

言葉による話しかけでドーパミンやエンドルフィンを操ろう、感情を左右して助かる比率を上げようとした先達達が日本にはいた事になります。

誰でも一度は映画やテレビドラマの中で医者が患者に訴えかけるシーンをご覧になったこともあると思いますが、あれは冗談やフィクションの世界ではなく、今も現実に医療の現場で行われている励ましの言葉でもあります。

そういった言葉をかけることで気力を無くして死んでしまう人などを支え、出血性のショックを押さえます。精神的な励ましになり「暗示」としての効果を持つのです。

専門家である医師が「助かるぞ!」ということは、患者にとっては特別な意味を持ちますし、母親とか占い師の「おまじない」とか励ましの言葉とはまた違った効果がありますよね(笑)。

これは今も医療の現場で行われている、ある種の催眠(暗示)だと思われます。

「言葉」は、ただの言葉かも知れませんが、現実には相手を活かし助けるだけの力が内包しています。タイミングを捉え、効率的に用いるならパワーとして確実に効く場合もあります。

家族を亡くし恋人に振られたり、何かを失った時、何の気なしに第三者がかけた言葉が励ましとなる場合もあります。

要はどんな道具も使い方次第ということです。

我が子に「おまえはダメな奴だ」などと言い続ければ本当にダメな子供に育ってしまうかもしれません。私個人は高圧的な言葉やマイナスのイメージを誰かが言い続けることで、その子の個性とか未来の可能性を刈り取ってしまう「暗示」となる可能性もあると思っています。

「催眠」つまり広い意味で捉えれば「暗示」とか「言葉」は、人間それぞれに備わった能力であり、秘められた力強いパワーなのかもしれないですね。

言葉も音楽や文学、詩や芸術も一種の道具、暗示や励ましに使えるツールと考えていいでしょう。

催眠、という現象を考える時、言葉の意味や使い方、人間の心因反応を知る必要があります。

皆さんも言葉の持つ意味と力を考え、その意味を浅く考えずに正しく用いましょう。言葉は他人を貶めたり中傷したり、悪口を言うのにも使えますが、反対に多くを支えることもできるのです。

自分自身を励ましたり家族を支え、社会を導く道具としてより良い方向に用いて下さい。

※「痛いの痛いの飛んでけー」などの事例を催眠現象を理解する一部として、私がこのホームページに公開したのは1997年です。開業当時の文章で、このホームページでもっとも古い記述ですね。

このコーナーが書かれた時代と背景

1997年当時は今のように検索エンジンが発達しておらず、ネット検索してスマホで簡単に情報が得られる状況ではありませんでした。

膨大な資料や書籍を読んで本屋や図書館に通って様々な推論を立てて自身のホームページに載せました。

たかが1コーナーの作成に何週間、時には何ヶ月もかかったものもあります。

それを無許可で盗んだり、勝手に流用するものが結構いました。

後出しジャンケンで安易に丸パクリにし、さも自分が思いついたかのようにサイトとか雑誌、新聞紙上に載せる連中に当時とても腹が立ったものでした。

「手当ての意味」「母親が痛みを消しくれるおまじない」について解説したこのページと、パーソナルスペースのコーナーなどが多かったですね。

► パーソナルスペース 心と身体の距離

パーソナルスペース 心と身体の距離
2018/12/11改訂1997/06/00初稿心と身体の距離の不思議以前に住んでいた場所で戸惑ったことがありました。もうあれから何年経ったでしょうか? 私は大阪に住んでいたことがありまして西成区の近くといえばわかる方もいるでしょうか?当時...

自分で調べて書けばいいものをアレンジもせず、文章や文脈、誤字や脱字、「私の作った造語」すら直そうとしない。まあ、その程度しか能力がないから丸パクリやモノマネを繰り返すんでしょうが・・・。

私も一時期、嫌気が差して更新しなくなっていました。皮肉なことに高速ネットやブロードバンド、CPUの発達で「誰がスタートでどこが発祥の地」か? がわかるようになってきました。

書籍や漫画の新人投稿とか大学や研究機関の学術論文などでも、ネットからの盗用がないか専門ツールで先に調べるそうです。

結局はGoogleとかパソコンやネット接続の高速化、検索エンジンや翻訳、AIの台頭が盗用者、それも大手マスコミの捏造とか大学教授を名乗る連中の横暴や盗用を追い詰めることに繋がっています。

残念なことにイラストとか素材集を無償で提供しているサイトでも、私と同様の状態に苦しみ更新や掲載を取り止めてしまった人達がいます。

誰かが作ったアイコンやイラストを即座に盗んで「自分のほうがオリジナルだ」とずっと言い張るんですよ。それも無料で公開されていたものを転売して儲けようとする連中がいました。

そういった恥知らず、屑ってのは年代とか世代、職種に関係なく、いつの世にもいるものなんですよ。

検索システムが発達した今は違うのですが、一時はリンク数とか自作自演の小細工(出張で忙しいと書き込む)カウンター詐欺(自分たちでCGIカウンターを回して大ヒットしているサイトであるかのように偽る)をやってるパクリサイトほうが、検索上位に入るという有り様でした。

今は多少はマシになってますね(笑)。現代のようにGoogleやAIが発達していたらそういったトラブル、盗用やパクリも減ったのかも知れないですね。

私がこのサイトをスタートさせた当時は。良いサイトもたくさんあったのですが。残念なことに一部の不心得者のおかげで無くなってしまったホームページが幾つもあります。

初稿のおおまかな内容は変えていませんが、時代に合わせてリニューアル時にレイアウトを整え、加筆修正を加えてあります。

1997年06月 初稿

2018年12月11日 加筆、修正

谷口信行

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