過去の経験からの感想
それを「いけないことだ」の一言括ってしまえば、心理学など成り立たない。強引に「正しい方向に向けよう!」「画一化しよう!」が心理学でも催眠でもないでしょう。
そっちはまあモラリストというか宗教家や法律家、警察や裁判所にでも任せますよ。
生活や仕事、人間関係での苦しみや哀しみを理解したり、ストレスを軽減したり心の闇の部分を周囲に迷惑をかけないように解消しようというのが本来の目的です。お互いがお互いの個性を理解、尊重した上で共に歩ける道筋を探すのがカウンセリングであり催眠であるべきではないでしょうか?
法律とかモラルも元々の意味は「それぞれの生活や環境を守ろう」「トラブルを防止してお互いが安心して生活できるようにしよう」が基本だと思います。
時代と共にモラルや常識なんて幾らでも変化します。たった数年で人々の常識や価値観がガラッと変わってしまうこともよくある。
ですから、何かに当てはめて簡単に括る(くくる)ことは無意味でしょうね。
漫画家になろう、っていうと鼻で笑われた時代もありました(笑)。今じゃ反対する親は激減してるでしょうね。ラノベ作家や漫画家が大金持ちになってる実例も結構ありますので。
多少話が逸れましたが、要するに相手に偏見を持てば持つほど本質からは遠ざかるんですよ。常識なんてものはそれぞれが勝手に決めてしまった物差しです。その物差しですら、時代とか年代、世代。個人の感覚によって次々に変化してしまう。
自分で何かを学ぼうと思うなら相手を理解しなければなりません。相手を最初から色眼鏡で見て「この人はこんな人に違いない!」と決めつけるような人は、最初から心理学や催眠、マーケティングの基礎を学ぶのに向かない人です。
催眠をかける場合も同じです。施術を行う前に「この人は無理だ」とか「かからない」反対に「頭が悪そうだからかかるだろう」と思い込むなら成功率は大きく下がるでしょう。
確認もしないのに最初から、自らがそう思い込んでいるのですから・・・。
私個人としては「頭が悪く」誰の言葉にも簡単に左右される人(自分の意思を持たず、ある意味単純な人)はむしろ、催眠誘導が難しいと思っています。催眠そのものがあまり深化しません。
これは私も意外でした。
ここからは私個人の推理、推論に過ぎませんが、色々な人の暗示とか言葉に片っ端ひっかかる人は「誰の言葉にでも」反応しますから、暗示が解けやすいのではないでしょうか?
初期反応はとても早い。ですので馬鹿とか単純な人は催眠にかかりやすいとの錯覚も生みやすい。ところが解けるのも早い上に言葉の意味を正確に理解できませんので。
思ったような効果が得られず、少なくともショー催眠には向かないでしょうね。
優柔不断で意思の弱い人が催眠にはかかるんだ!
と思い込んでいる人は多いのですけどね。現実には違うように思います。
そういった方々の発想そのものが、過去の報道とか漫画とか小説の影響であり、自らがそういったものの「暗示」にかかっているだけではないですか?
どこかで現実をみたり、確認しましたか?
オウム事件やカルト犯罪、洗脳騒動で取り込まれた人は。学歴が低くて頭が悪くて、機転が利かない「馬鹿な人」「単純で優柔不断な人」ばかりだったでしょうか?
むしろ反対のタイプが多いと思いますよ?
心理学や催眠を学ぼうとするものがそういった感覚では、先が思いやられます。
残念ながら確かに単純で馬鹿な人は暗示を「受け付ける」のは早いですが、「解ける」のも早いんですよ(笑)。集中力が続かないのであまり意味がないように思います。
催眠は言葉で深化させます。ですから言葉に反応しない人や、言葉の意味が正確にわからない人は、催眠誘導は難しくなってしまうのです。
催眠が得意技能で接触テレパスや精神感応のようなものであるなら。外国人だってコロコロかかるでしょう? 言語圏が違う人にかけることに成功した実例が皆無です。どんなに素晴らしい天才だと言われた催眠術師でも最後は「言葉」で誘導を行っています。
ボキャブラリが豊かで確かな常識を持つ人の場合、回りくどいクドクドとした説明は入りません。いきなり、「たった一言の単語」で、物事の核心をつくことができます。
頭が良いというか、知識や情報が多く詰まっている人のほうが、誘導する側にとっては有利ですし都合がいいんですよ。
もちろん、施術者側もその語意に対応するだけの知識とかボキャブラリの幅は必要ですが・・・。
番組関係者や共演者の「自己矛盾」
催眠によくかかるのは、やたらと頭の回転の良くて機転のきくタイプの人であったり、男っぽい強そうな人であったりします。
だからこそ催眠の映像とか実演はインパクトがあるのでしょうね。
馬鹿っぽい人とか普段から簡単に騙されそうな人ががかかってもインパクトがありません。それでは誰も驚かないですし、番組になりません。
本来ならスタッフや共演者こそがよくわかっているはずですね。
そこが催眠で収録に参加しながら催眠術はない、と言い張る番組関係者や共演者の自己矛盾になります。馬鹿や単純な人がかかりやすかったり、反対に催眠術が架空の出来事で八百長とか嘘、全てが仕込みだったとしましょうか?
ではなぜ、同じような番組を作って放送しないのでしょうか?
私の出演した番組、そのコーナーは軒並み高視聴率でした。
素人とか一般人が参加するものが多かったので、制作費が安かったのも事実です。
本物の催眠術師ではなく偽物でかまわないでしょう? 役者を仕込めば簡単に同じものが出来上がるはずです。催眠なんて嘘で存在しないとしたら。安上がりで仕込みで済んで簡単に儲けられる素晴らしいコンテンツということになってしまう。
演技ではない何かがあって。その異質さとか怖さ、雰囲気を人間が敏感に感じ取るからああいった映像はインパクトがあって見るものの心を奪うのではないでしょうか?
私が子供の頃に見た初代引田天功の映像も、そういったものでした。それがきっかけでこういった職業をやっておりホームページの公開を選んだのですから・・・。
「催眠術なんて嘘や!」と言い張る共演者とかスタッフの多くは恐れているだけです。そういったものが本当に実在すると解ったら怖いんでしょうね。
このホームページでは利用方法と催眠誘導の仕組みについてそれこそくどいくらいに説明を繰り返してきています。理由は簡単で催眠誘導はすでに世の中に存在するからです。
講演会でも実演を繰り返しその証明を行っています。講演会の最後には必ず「こういった技術があることを知ってください」と話しかけます。
一度、流出した技術は止まりません。本来は誰かを助けるために作られたものでも、悪意を持って歪めたり誰かを騙そうとするものだって現れることになります。
だから存在を知る必要がある。嘘でインチキで八百長で「催眠術なんて存在しない」って言い張る人が増えれば増えるほど、被害者の言い分も社会から信用して貰えません。
本当は騙されたり操られているのに「お前は自分の意志でその商品を買ったんだろ?」「自分で男のところに出掛けて行って関係を持ったんだろ?」って家族や友人から罵られたらどうしますか?
巧妙な手口を使う占い師を信じて全財産や仕事を失ってもご本人だけの責任になるのでしょうか? 「そんな占い師を信じる奴が馬鹿なんだ」「馬鹿だから洗脳されたんだ」「自己責任だ」って話になって。ご本人もご家族も泣き寝入りすれば済みますか?
それでは結局、カルト宗教やいかがわしい占い師、スピリチュアルやカウンセラーを名乗る詐欺師が蔓延る(はびこる)温床となってしまうでしょう。
心理学のテクニック、催眠誘導の「暗示」探偵を使った情報収集としか思えない方法で奇跡とかよく当たる占い師、教祖を演出しようとする者もいます。
手品と同じでね。種があるとかやり方があるとわかれば崇めはしないんですよ。凄いとは思うかもしれない。ただしそういった技術とか職業とか「手法がある」ことを多くが知れば、超能力とか神の力だなどとは思わないでしょう?
少なくとも盲信して取り込まれるとか言いなりになる「洗脳状態」からは逃れることが出来ます。
催眠術は「凄いことも」確かにできますが、決して崇め称えるものではない。神秘の技術でもないですし何でも出来る素晴らしいツールでもないですよ。
選ばれた特殊な人だけが用いられるものでもない。
それを辛抱強く、二十年にも渡って説いてきたのがこのサイトです。
見分ける方法が・・・、実はある
パッと見だけで頭が悪い人とか、素直で単純な人が催眠にかかり易い、とするならば心理学なんて成り立ちませんよ。それは単なる偏見と呼ばれるもので、施術者なら真っ先に排除すべきものです。
私はタレントさんに催眠をかけに行く時、事前に幾つか質問をしてもらってそれに答える様子をVTRに撮影して送って貰っています。
それが全てです。これまでに難しい誘導に成功しているのは、過去の経験から考えたそれなりのノウハウ、手法を利用しているからです。
これも試行錯誤の末でしたね(笑)。
今になって考えれば一番最初に参加した番組(TBS系)のロケがもっとも過酷でした。番組の予算がない上に無理難題が多い。
他の先生方が断ったからこそ私に依頼が舞い込んだ訳で、当初の私には何の実績もない。ですから普通の手法で催眠をやっても話題にもなりゃしませんし、そんなことは誰も望んでいないのです。
結論として路上でいきなり、通り掛かりの人に催眠をかけようになった訳ですが、殆ど超能力の世界(笑)。よく成功したと思いますし、あれで催眠に対する新たな可能性が見えた気がします。
おそらくは、いかがわしい宗教団体やカルト系が必死に欲しがる知識でしょう。外を通ってる人が催眠にかかるかどうかを始めて番組で検証したことになります。
番組ネタにできるかどうかが、一瞬の反応でわからないといけませんから。
その当時の私は、誘導の成功率をあげようと必死に様々な手法を探しました。色々な誘導や暗示を行ったと思います。実際に放送されたのはごく一部ですが、私が現場で膨大な被験者に声をかけています。
その全ての人にナンバーをふり、持ち物から話しかけた時の反応、年齢、職業、服装や色、髪形まで詳細に記録しました。それを自身の頭に叩き込みます。
その後、それが習慣というか私の定型になりました。
他の番組でも講演会でも自分が受け持った相談者、友人、知人、過去のデータまでを詳細に分析し記録に残し、後から調べるようになりました。
失敗したなら失敗したでいいんです。成功例ばかり追いかけても仕方がない。すると、うっすらとでも、見えるものがあります。
本当は脳内ホルモン分泌とか脳波の検査とか催眠中の被験者の温度変化(サーモグラフ)とか、ドーパミン比率まで調べてみたい所ですね(笑)。
まあ、流石にそれは贅沢な話だとは思いますが。
結局は経験です。経験から得た知識を分析、その上でそれらを詳細に調べて自らの「能力」を高める。それが誘導の成功の比率、特殊な内容を行う秘訣だと思っています。
催眠を勉強される方は誤った先入観や固定観念を持たず、正しく勉強されて下さい。
► 催眠に「かかりやすい人はどんな人」か?(関連事項)
2000年04月15日 初稿
2018年12月11日 加筆、修正
谷口信行