代償行為の「代償」を別口で用意する
実生活において、そのようなことはよくあることなのではないでしょうか?
言い方は悪いかもしれないですが、いわば必要悪であってその全てが罪だとか取り上げるべきだとは私は思わないのですが。
聖人君子じゃないんですから(笑)。性欲も食欲も睡眠欲もあります。この忙しい現代社会でその全てを我慢しようとか自分の意志だけで押さえつけちゃったら過労死します。
太ることは罪だから「食べてはならない!」という暗示は危険です。カウンセリングもなく何の下準備もせず、他のストレス発散方法も見つけないままにいきなり食欲だけを我慢させたり取り上げたら、別の病気になっちゃいますよ。
それは結局、仕事上のトラブルや対人関係から生じるストレス、圧迫感を食べることで発散させ解消させようとしていることになります。
いわば「食べること」(飲酒も含む)は、現代人にとっていちばん手軽で、もっとも効果の高いストレスの軽減方法なんですね。
ですから、度を越さない限りは許される範囲だと思います。
制御するのは太り過ぎで体調が悪くなったり、成人病や糖尿病の可能性が出てきたり、仕事や恋愛に差し障りがある、ご本人が異性と付き合えないとか「自信を失う」などを解消するためです。
私が催眠でダイエットする場合には、その食べると言う行為、ストレス発散の一部にほんの少し修正を加えるだけです。
催眠によるダイエット(私が行う方法)には大きな特徴があります。
大きな苦痛を伴わないことです。
もちろん、誘導方法や暗示の内容を間違えれば苦痛はあるでしょうが、ダイエットの基本を理解して個性に合わせた方法を用いれば苦痛は少なくなりますよ。
何かに夢中になっていたら食べることを忘れることはないですか? 今、太ってしまっていて四六時中何かを口にしているとしても。子供の頃からそうでしたか?
友達と一緒になって遊んでいたり、ゲームに夢中になったり。恋人と過ごしている時には時間を忘れてしまうことはないですか? ネットで動画を見ていたり何かに集中している時には時間の経過や食事を忘れるなんてよくあることですよ?
私の場合は文章を書いている間に7、8時間経過したとか食事をしていなかったなんてザラにあります。若い頃は倒れるまで自分の不調に気づかず、限界までやってしまうことがありました。
好きなものとか、遊びを助長すればいいんですよ(笑)。
代償行為はストレスの軽減のために行われます。自分が嫌なことがあった部分を他の行為で補うわけですから・・・。代償行為の「代償」他の好きなことを入れたり、反対にそのストレスを軽減させてやれば自然と食べる量も減ってゆくわけで。
もっと柔軟に考えて発想の転換を
「食べたから肥った」と考える人がいるのは当然ですが、もう一歩進めて考えて下さい。必要以上の量を食べる、つまりその人が「過食になる」にも原因とか理由はあるのです。
先に掲げたように「代償行為」つまり何らかの不満とか嫌な出来事とか心理的なプレッシャーに対して、何かを食べたり咀嚼することで気を晴らしている可能性だってありますよ?
知らない方がまだ時折いらっしゃいますが、拒食症は過食症からはじまるのです。食べることは人間に備わった欲求で生きるためには仕方がありません。
ところがやはり心のどこかに嫌悪感や後悔がある。悪いことをしているとの意識が強くなると吐くようになります。食べてストレスを発散してもすぐ吐けば太らずに済む。そういった感覚が強くなると何を食べても戻すようになりますし、自分で指を喉に突っ込んで吐くようになります。
私はダイエットのカウンセリング時にはかならず依頼者の指を確認しています。
吐きダコがあるんですよ。拒食状態に陥って吐くようになった方は指の関節にタコができます。胃酸で荒れるので指に痕跡が残ります。
一日に吐くのは一度や二度じゃありません。30回とか30回とか吐いてますよ。だから跡になるんです。家族や友人、所属事務所に見せないだけで回数はそうとう多い。そういったモデルさんやタレントさんにも何度か遭ってます。
危機的状況に陥って、本当に死んでしまう人もいますので・・・。安易に引き受けて簡単に行うのではなく事前の聞き取りと確認は不可欠です。
私は、食べることを「我慢」すれば痩せられるんだ、と考えるよりも「食べる」ことになった原因(ストレスやきっかけ)をなくし、そのストレスをどこか他にぶつけることを中心に考えることがダイエットにおいては重要なポイントだと考えています。
若い世代にもわかりやすくゲームに例えるなら「食べること以外」にステータスやパラメーターを設定すれば当然体重は自然に減少し始めますよ?
ステータス異常が起こって初期設定に食欲が追加されていますから。全振り状態なんです。
おまけにそのステータス異常に「吐き戻し」ってオプションがついてると、死ぬまで食べて吐いてを繰り返すようになるのです。
ですからまず異常状態を解く。その上で別のオプション、食べること以外の代償行為をつけてあげることです。
わかりましたか?
芸能人のダイエット本に説得力はありますか?
我慢させればいいって手法は短期間なら確かに効果があるのですが・・・。
根本的な解決にはなっていません。
芸能人の方が時折、自身の経験をモデルにダイエットの本を出していますが、しばらくすると当のご本人が元の体型に戻っていることが多いですよね? リバウンドして元の体重よりも重くなっているケースがないですか?
その人の本を信用して買った方々がその後、どうしているのでしょう?
それは短期間に効果を得ようと思うあまり、強引な手法を用いた後の反作用が原因だと思います。
心理的な「リバウンド」我慢した影響があるのではないか? と思うのです。短期間に無理やり我慢したりさせたものですから、その拘束が解けるとと食べることに走ってしまう。
そのままの体型を維持しようと思うなら常に監視状態に置くか、どこかに監禁するしかなくなってしまうでしょう。
ああいったダイエット本が説得力に乏しいのは、短期間で痩せる方法論に終始するためにその後の維持管理、根本的な環境の整備に留意しないからです。
たいへん申し上げにくいのですが・・・。貧乏で生活苦の学生に、太っている人ってのはいないと思うのですが。私もどちらかというと裕福な家庭に育ったわけではありませんので。高校時代はガリガリでしたね(笑)。社会人になって自分の給料で食べれるようになって10kg一気に増えました。
食べられる環境にあって、何かを「買うだけの余裕」ができたら我慢するのは至難の業ですよ。
実は「肥ってしまう」とか「食べてしまう」というのは意思の弱さや身体の病気というより、その人を取り巻く環境やストレス、「心」の問題である場合のほうが圧倒的に多いでしょう。
その環境や根本を整備しないのに、いきなり痩せてもそれを維持できる筈がありません。
親がてんこ盛りのご飯やおかずを食べているのに子供たちが小食なんてことはないと思いますよ? 毎日、誰かがお菓子を買い与えているのに子供が「ジャンクフード」を嫌いになるわけもない。
そういった環境で育った子供が、「食べることを禁止」した程度でいきなり健康的な食生活に入れる筈もないでしょう?
当然、社会生活でストレスを感じたら食生活も荒れてしまいます。
痩せた後の管理も重要です。そのためにはストレスを感じている環境とか、これまでの生活環境の整備、育った環境の調査、息抜きや発散方法についても整える必要が生じてくるのです。
となればご本人(依頼者)や周囲からの聞き取りや環境の調査が重要になってきます。
画一的な「何々を食べてはいけない!」って暗示が効かないのは当たり前なんですよ。それでは全部に対応しきれませんから。
基本的な発想を転換する必要がでてきます。