Nobee谷口の撮影日記 / 第四章

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最後にスタッフにかけられた言葉

おまけ(247ページ)

トマト初回の収録でインパクトがあったせいか、本来、予定にはなかったスタジオにも呼んでいただきました。

私の希望通り、原千晶さんにも会いました。

もっとも私が彼女のファンで、以前の仕事で面識があったり会いたがっていたことは誰にも最後まで内緒にしていましたけどね。いえば警戒されるかなー? と思ったので。

考え過ぎかもしれませんけどね。前職でなにしてたんだとか色々聞かれるのも面倒でしょう?

東幹久さんのトマト嫌いを本番で治して欲しい、っていわれて伺ったんです。放送を見た人たちはアレが「生出演だ」って気がついていない人も多いようです。

あのシーンは収録じやなくって生なんです。私、はからずも生出演を果たしました。

ドキドキしましたしかなり緊張しましたよ。出演中、ちょっと目眩がしてました(笑)。

録画ではなく生放送ですからね。ここで倒れたら放送事故かな? ってぼんやり考えながら、クラクラする頭を懸命に支えていました。

考えて下さいよ。いきなり生放送でピンスポットですからね。そんなド素人も珍しいでしょう? 普通、どんなタレントさんも少しずつあちこちの番組に出演して慣れるモンじゃないですか?

私、いきなりの話でしたからね。収録、ロケが面白かったから「明日、スタジオに来てください」っていわれて行ったら生放送でピンスポット。

その生放送の時には流石に事前催眠の時間は下さったものの、生放送で放送中に催眠を用いて偏食を治す、なんてやった先生の話はあまり聞きませんし、緊張するなっていうほうが無理な話ですよね?

それが簡単な話なら「私より前に」出演してた催眠の大先生に依頼してるでしょう(笑)。

私は後釜っていうかピンチヒッターに過ぎず、その先生が断ったり失敗したあとを引き継いだに過ぎません。思ったより面白かったりうまくいったので、スタッフが欲張ったんですよ。

東さんも初対面の時はおっかなそうに見えたんですが、結構優しかったです。出演回数が増えるほど、慣れていない私に話しかけ気を遣ってもらったのはわかっています。

ありがとうございました。こんなことを言ってはなんですが、人は見かけではわかりませんね?

面白いっていうか、可笑しいのは収録に参加しているスタッフが「催眠術師は緊張しない!」と、一人残らず思っていたところですかね? 普通はもっと段階踏むものでしょうに・・・。

私にいわせれば催眠術師も人の子にはちがいありませんよ? 放送事故でも起きたらどうしたんでしょう? 私が緊張から口ごもったり噛んだり倒れる、とは思わなかったんでしょうか?

不思議ですね?

残念ながら緊張していたので、周囲を見回す余裕はありませんでした。催眠をかけていた東幹久さんの顔しか覚えてませんね。被験者の瞬きの回数とか一瞬の表情の動きは職業上はっきり覚えている。

後ろにいたワンギャル? を眺めるだけの精神的な余裕はありませんでしたね。それがちょっと残念なような気もします。関西では放送枠がないので知りませんでしたが、結構な人気のようです。

生放送では東さんのトマト嫌いが無事に治りましたので、ホッとしました。

実はね、リハーサルの時点で治して確認出来ていたんですが、担当ディレクターの指示で「元の状態に」戻してから生本番になったんですよ。

画像の対比が欲しいからですね。視聴者からすると「トマト嫌い」の東さんご本人がトマトを嫌がっているシーンを撮ってからでないと、その意味がわからないからです。

ちょっと可哀想な感じもしましたけどね・・・。私にすればわざわざ治ったものを元に戻す訳ですから。少々、自分の主義には反します。

面白いのは周囲は皆、リハーサルの時点で彼の偏食が治ったことを知っていたんですけどね。東さんだけがそれを知りませんでした。

箝口令(かんこうれい、口止め)をしいて誰にもリハーサル中のことは一切、触れないようにお願いしました。後は「治った記憶を消しておいてくれ」とディレクターにいわれて私が記憶の一部を操作したんです。

ごめんなさいね、私の考えではありませんから。ディレクターの指示です。東さんのファンの方は、これを読んで文句を言ってこないように。

ですから、ご本人にはリハーサルでも自分の嫌いなトマトをむしゃむしゃ平気で食べていましたが、その記憶が丸ごと頭の中からありません。彼にとってリハーサル中の出来事は「全てなかった」ことになっています。

コマーシャル中、周囲に「東さん、リハでもトマト食ってましたよ?」といわれても「またまた〜」と悪い冗談だとと思ってまったく取り合っていませんでした。

「リハの証拠VTRありますよ?」と言われて「嘘、嘘だろそれ」と慌てていたくらいで。

食ったんですよ。確かに(笑)。記憶が消去されているだけの話です。

一般の方にはわからないと思いますが番組放送中にコマーシャルとかVTRを流すと、オンエア中でも時間が空いたりするんですよ。私も知りませんでしたが時間はかなりあります。出演者はその間に話をしたり、台本を見直したりして次の出演の準備をします。

東さんと周囲の会話もその間に行われたものです。その会話が結構、面白かったりする。そういった部分は出演しなければしなければわかりませんよね? 放送では流れませんから。

その合間にオセロの松嶋さんと原千晶さんの二人が「フェロモン、フェロモン」って私の前で踊ってました。

意味不明でしょう? どうも「催眠をかけて、私たち二人に色っぽくなるようなフェロモンが出るようにして欲しい」って意味だったらしいんですけどね。二人があまりに気軽に話しかけて、おまけに踊ってまで下さったのので、私は顔が真っ赤になってしまいました。

いやー、緊張した。赤くもなりますよ。ファンだといっても原千晶さんがあんなにノリノリで人当たりが良い、とは思ってなかったんですよ。

若かった頃に一度お会いしたことがあっただけに、話しかけられるだけでもドキドキはします。

一般人の芸能人への印象ってそうじゃないでしょう? もっとお高いというか芸能人風っていうか・・・。別の仕事でお会いしたことのある芸能人も何人かはいるのですが。皆、他人を寄せつけない雰囲気があるのではないか? と漠然と思っていました。

原さんやオセロの松嶋さんが芸能人らしくない、と言っているのではありませんよ? 私からすればそれは嬉しい誤算で決して嫌な感覚ではありませんでした。

普通の女の子でしたし、一般の女性と変わらない雰囲気や気づかい、優しさがありました。その後も収録でオセロとはご一緒しましたが感謝しております。

ただ、心の準備ができていませんでしたからね。催眠術師も人間です。時にはそんなこともあります。

催眠を教えている際に周囲には「誤った固定観念や先入観を持たないように」と何度も指導している私ですが・・・。その私が芸能人に対して先入観を持っていたのでは話になりませんね。

反省します。

その時、私は自分の表情を隠すために慌てて奥に引っ込みました。顔が赤くなったことを自覚したので恥ずかくって。おそらく私の反応に気がついたスタッフはいなかったと思いますです。ハイ。

東幹久さんにも原千晶さんにも、また収録で毎回ご一緒したオセロのお二人、ワンギャル? の皆さんにもお世話になりました。この場を借りましてお礼申し上げます。

ワンダフルはアットーホームな雰囲気なので、参加して楽しかったです。また、何らかの機会がありましたら、ご一緒できますと嬉しいですね。

皆さん、身体を壊さない程度に頑張って下さい。

(終わり)

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