ZONE(ゾーン)集中力の世界

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タキサイキア現象

当時の科学、運動生理学の常識

この映画のモデルとなった人物は実在しており、ジャック・マイヨール氏です。

※残念ですが、「実在した」と言い換えるべきでしょう。2001年12月23日、イタリア・エルバ島カローネの自宅で自殺しているのが見つかっています。親日家としても知られ、度々来日。日本には友人も多数いました。享年74歳。

彼は「イルカから潜る方法、呼吸を学んだ」といっています。

彼の著書には

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などがあります。すでに殆どが絶版扱いとなっていますので、入手するのは難しいかも知れないですね。

興味深いのは彼の講演の話、著書の文節にこういった言葉があることですね。

潜った時、私は自分の身体が水に溶けたように感じた

無限に広がる宇宙のように、水中に自分の感覚が広がってゆくことを自覚できた

先にも触れましたが素潜りで100メートルを超えるためには、超人的ともいうべき集中力、超感覚を要します。酸素の消費量を押さえるには意識の改革が求められるのです。

1970年当時には生理学的に「人間の潜ることのできる限界は40メートル程度」と考えられていていました。

それ以上の深度では肺は膨らむことができず、人間が潜ることなど到底できないとかんがえられていたからです。

ジャック・マイヨールという異才、天才が現れることで、その限界、当時の科学者や生理学の常識は次々に覆ってゆくことになります。

彼が次々と叩き出す潜水記録を、当時の科学者はまったく説明できませんでした。いわば現象としての「記録」が先で、科学や生理学は彼の後をついていった、と考えるのが正しいでしょう。

ちなみに深海100メートルに潜ると肺は地上の十分の一に縮み、呼吸数は一分間に7回程度にまで落ち込むそうです。

心拍数を極限まで下げて生理反応を押さえ、無駄なエネルギーのロスを避けて血流は肺や心臓、脳の一部などに集約され重要な部分を守ることのみに使われます。

そんなこと、予測不可能ですよ(笑)。

当時の生理学ではそのようなことはわかりませんでした。人間の心肺の機能や脳や身体への影響もわかってはおらず、水圧に適応するために人間の身体がそういった反応を示すとは思われていなかったのです。

水圧でであっさり死ぬと思われていました。

そういった事実も彼のような優れたダイバーが現れて何度も潜水を行い、それをデータとして提供、科学者に協力することでやっと事実として認知され、解明されていったことになりますね。

極限の世界においては「脳内の酸素、糖質すら」消費する

100M走とか水泳の選手とか、オリンピックレベルの競技者の発言や指導者の話はためになりますよ。

大脳生理学とか呼吸法、意識の集約が「なぜ起こるか?」「なぜ必要か?」のヒントになります。

極限まで身体能力を使うと、人間は酸欠になります。

動物が活動する時、筋グリコーゲン、肝グリコーゲンと呼ばれる糖質を燃やして燃料にします。たんぱく質や消化器から吸収される栄養分は「瞬間的」には使えません。

脂質として蓄えられた燃料が燃えるのは時間がかかりますから、即物的に燃える燃料として使えるのは基本的には体内に蓄えられた糖質(筋グリコーゲン、肝グリコーゲン)になるのです。

ところが、その糖質を「爆発的」に燃やすと今度は酸素が足りません。

燃料を効率的に燃やす為には酸素が必要ですが、酸素を運ぶのは血中にあるヘモグロビンです。

トレーニングを繰り返して備えることで、筋肉や肝臓にあるグリーコーゲン量やヘモグロビンを「事前に」ある程度まで増やすことはできますが、やはり限界がある。

血液ドーピングや薬物使用をしない限り一定量よりも増やすのが難しいのです。徐々に消費したり失われてゆくものですから・・・。

特に世界のトップレベルのアスリートになるとどうしても限界がみえてきます。皆が極限までトレーニングを積んでその位置にあるのですから。

で、どうなるかというと意識改革です。

お前は魚だ! 素早く泳げる!

地上最速のチーターだ!

と本気で教えるそうです(笑)。

笑い話のようですが嘘ではありません。研究者にもそのやり方を支持する人達がいます。

世界各国のトップレベルアスリートに精神論をぶつ指導者が結構いるのですが、古臭い根性論ではなくてですね。それにもきちんとした理由があります。

人間は緊張すると酸素を消費するんですよ。筋肉に余分な力が入ります。

後ろ足で蹴る動作に前の筋肉群は必要ありません。力むと前と後ろの「両方の筋肉」に力が入ります。精神的な動揺があるとどうしても余計な筋肉にも力が入ってしまい、酸素の消費量が増えます。

ボクシングで世界戦になった途端に、これまで何戦も見事な試合を行ってきたプロが、ヘロヘロになってしまったりするのはそこに「力み」とか緊張が生じるからです。

テレビカメラに囲まれるとか数千人、数万人の観衆がいたり「これで世界チャンピオンになれるんだ!」と意識してしまうと、戦い慣れたプロであっても強いプレッシャーを受けます。

オリンピックなどでも同じですね。トリノ冬季五輪、フィギュアスケート女子で日本初の金メダリストになった荒川静香さんなどは、遠征先でも普段と同じスタイルや生活習慣を貫こうとしてしましたが、あれがもっとも正しい方法です。

ところが一般的にはそうはいかない。様々なものを背負ってしまいますから・・・。

力むなと言われて力が抜けるなら苦労なんてしない(笑)。

寝られなくなったり無意識に「力が入るから」力みであり緊張なんです。

そこから力を抜かせるためには「無意識の領域に」踏み込むことが必要になります。

すると、コーチや監督、専門スタッフは精神論? をぶつしかなくなる。最終的には

水と同化しろ!

お前は魚になるんだ!

などと言うことがありますが、これが結構な効果があるそうです。

現実にはジャック・マイヨール氏の説いた「水や世界と同化する」方法がもっとも酸素の消費量が少なく、力みや緊張がなくて、合理的で理にかなっている方法ということになります。

余分なことを考えれば考えるほど、酸素の消費量が増えて記録を延ばせないことになります。

ご本人の努力の上積みと考えてください

先にも述べましたが、私の元には時折、「特殊な才能、感覚が身に付けたい」といった依頼が寄せられます。

催眠で悟りが開きたい。

とか、

超能力(霊能力も同じ)を身に付けたい。

母親

子供に催眠で勉強できるようにしたい。

などと、さまざまな申し込みがありますけどね(笑)。

超感覚ともいえる一種の集中力、意識の集約は確かにあるのでしょう。ジャック・マイヨール氏が今から40年以上も前から取り組んできた手法はその現れだと思います。

ですが、では「催眠」とか「トランス状態」で全てが解決するか?」といえば「NO」です。

その考え方は危険であり、ナンセンスでしょう。

催眠で眠っている潜在能力を引きだしたい、などといってくる人は後を絶ちませんが、その殆どの人は自らで努力することを行わない人です。

自分で熱心に勉強したり努力することを嫌がり、経験を積んで苦労しながら練習することを嫌がります。近道することばかりを望んで安易な方法ばかり探そうとします。

そういった人にとって催眠はうってつけの方法にみえるのでしょうね。

残念ですがそれで手に入るものは少ないでしょう。

スポーツの能力や技術、知識の勉強であれご本人の自覚と努力、練習は不可欠なんですよ。短絡的に時間や手間を惜しむこと、強引な方法では誰も信用してくれたり、評価してくれることなどないのです。

今回の番組収録への参加はそういった意図とは異なります。

催眠を用い、現在も努力を重ね、研鑽を積んだ選手の方の精神力と集中力を催眠でカバーします。番組の企画、意図も私の望む感覚とはズレておらず助力を行う形となっています。

ご本人の努力の上積みを目指すものです。

いくら「潜在能力」といってもね、当然、そこには個人差もありますしこれまでの積み重ね、その人の個性(パーソナリティ)や特性もあります。私は何の努力も練習、研鑽も行わない人が催眠で簡単に天才になったり、素晴らしい能力を開花させるとは思っていません。

催眠という技術が開発されて医療現場や一般社会に浸透して、かなりの時間が経過しています。

この技術で次々に天才が生み出せるとするならば。すでに数多くの成功例がなければなりません。

催眠さえかければ売れっ子の漫才師や素晴らしい歌手になれますか? 世界的な評価を得られるデザイナーになれる? 誰でもオリンピックやワールドカップに出場する選手になれる?

流石にそれは不可能だと思います。

もしそんなことがまかり通ってしまえば異常ですよ(笑)。

一時期、アメリカなどでもそういった過ち、催眠に対する過大な期待や錯覚がありましたが、今ではそういった感覚は収まってきています。

もちろん催眠やヨガ、心理学の知識や催眠の技術やテクニックの応用を取り入れながら世界各国で、メンタルトレーニングに取り組む選手は大勢います。

それで全てが変わるのではない

私は著書やテキストに何度も書いていますが、他者催眠は自己催眠の延長線上にあるのです。

今回、ここで紹介するZONE(ゾーン)などはその典型でしょう。

もし前記したような煽り文句「催眠にさえかかれば全てが解決する」「ZONEやトランスに入れさえすれば幸せになれる」のが事実だとしたら、私の周囲は天才だらけになりますよ(笑)。

相当数の誘導をやっていますから。数千人を優に超えるでしょう。

残念ですが、そうではないのです。

催眠そのものが深くかからない人もいますし、たとえ深層催眠にかかったとしても思ったような効果が現れない場合もあります。常に結果が一定で、依頼者側が望む効果があっという間に現れるか? といえば、そうとばかりは言えないのです。

ZONEやトランス(催眠)で全てが片づくのなら、私自身がウンウンいいながら新しい何かを勉強したり、苦労して努力する必要もなくなるでしょうね。

難しい収録も試験も楽チンですし、新しいソフトとかプログラムを使いこなすことも軽々とできるのでしょう。どんな資格も簡単にとれることになります。

そういった煽りを行って依頼者や練習者を集めようとしたり。催眠の権威ある団体だとか理事だ役員だと誇っている変な連中もいるようですが・・・。私はこのホームページを開設した当初から、一度もそのようなことを宣伝したり、煽ったことはありません。

私自身も意識の集約は起こせますし、ZONE(ゾーン)には入れますよ? 私自身が時には断食などの手法を用いて、それを発現させ応用しています。

では、ZONE(ゾーン)にさえ入れれば、すべてはバラ色で幸せになるのでしょうか?

私はそれは勘違いだと思っています。

いわゆるカルト宗教や一部の営利集団(自己改革とか地球愛を説く連中)に取り込まれたり、逃げ込んでしまうのは、そこの部分を錯覚して過大な期待を寄せてしまうからですね。

実際には洗脳行為をなのですが・・・。それが、

 

本当だったら素晴らしい!

と勝手に思い込んで受け入れてしまう人もいます。

現実から目をそらし、努力することを辞めればそりゃ楽でしょう。

ただし、自分では物事を考えなくなりますよ? まともな社会生活はおくれなくなって家族や友人に迷惑をかけることになるでしょう。

幸せになれるからあなたも参加したほうがいい!

と言い出すでしょうが、気がつけば家も財産も仕事も、家族や友人すらいなくなっているでしょうね。

芸能人や著名人、アスリートなどにもその手に引っかかる人はたまに出ます。

ディレクター

悟りを開きさえすれば、悩み事はなくなる!

などと考える人もいるようですが、それもあり得ないでしょう。

坊主やカウンセラー、医者や催眠術師(笑)に悩み事や煩悩はありませんか? 私は飲食店の経営にも携わったことがありますが。

お客さんには京都の坊さんも大学病院の先生も弁護士や政治家もいましたよ?

悩み事がないというより愚痴をこぼしたり、色々なことで苦労してる人の方が多かった記憶があります。

悟りとは家族や友人、知人をないがしろにしたり捨てたり、仕事や社会生活を無視して何かに逃げ込むことで得られるようなものではないでしょう。

催眠もZONE(ゾーン)も、座禅や宗教によって得られる悟りや心の平安も、その人の全てではなく一部です。また、その一部に過ぎないものを過信して「これで全てが変わる」「今後の人生をバラ色に変えることができる」などと思い込むのはとても危険ですよ。

一般人がブッダやマホメット、キリストを目指す必要はない。そう思っています。

厳しい戒律の中に身を置いて修行三昧の日々をおくるならば。妻帯もできなくなるし家族を見捨てることになりませんか? 全員が悟りを開いて聖人化してしまったら社会が崩壊しますよ(笑)。

あくまでもメンタルトレーニングはスポーツや仕事において利用するもの、生活にプラスになる自己トレーニングの延長線上に考えるべきでしょう。

自分で集中力を高めるのに時間がかかったり、試合前にどうしても緊張してしまったり、あがり症で実力が発揮できないなどを解消するためには高い効果があります。

競技や試験において「実力はあるが、精神的に動揺してしまって発揮できないケース」があります。ですからトレーニングを用い実戦、本番と同じ状態に調整しておく。

きっかけさえつかめれば、後は自分で維持管理することも可能になると思います。