対症治療法ならあります
実はカルトとか詐偽に特効薬はないですが、対症治療法というかかなり有効な予防策があります。
知ってみれば簡単なことで、実際にはそう難しいことではありません。
それはね「家族の繋がりを強化すること」「友人や知人、職場のネットワークを強化すること」なのです。
意外に気が付かないものなのですよ。特に「専門家」とかマスコミの一部は「もし、取り込まれてしまった場合にはどうしよう・・・」とばかり考え、そういった場合の特効薬だけを探してしまいますから。
するとかえって問題の解決には遠回りになります。
「相手(洗脳者)の話をよく聞け」なんて典型ですよ。下手な鉄砲も数打ちゃ当たります。どんないい加減な理論を振り回し、目茶苦茶な教義やお笑いに近い内容を掲げていても複数の人にずっと話を聞かせていれば入信者は現れます。
近年、起こった事例や事件を眺めてみることです。
白い布で電波を止めれるとの考え方や、高額な壺(原価は千円)で病が止まる、断食や絶食で糖尿病が治ると煽って死者まで出ています。
冷静に考えればそれで助かる筈が無い。ところが延々話し続けて聞かせ続けると信じるものが出る。
末期の癌患者や難病で悩む人々を食い物にしている連中もいます。そんなもので治るはずがないという手法でも苦しんでいる方は藁をも縋りたい。話を聞かされているうちに騙される人だって出てきますよ。
どうみても頭がおかしいと思うような手法、例えばまだ首も座ってない乳幼児に体操を行えば健康になるとか、頭が良くなるという迷信や妄想を信じ込んでしまって行う人もいます。残念なことにそちらも死者まで出ています。
それも一人ではなかったり。何の罪もない子供が複数亡くなっています。
指導と称してそういった手法を勧めている連中は自分自身も本気でそれが良いと信じ込んでいます。間違っていないと信じ込んでいる狂信者ほど迷惑なものはないですよ? 嘘がないのだから見抜けるわけもないですよ。本気でおかしいだけです。
それを防止するには、家族とか仲間とか友人の協力体制、綿密な連絡網などが効果を発揮します。友人と知人の関係でも構いません。恋人との間柄でも構わない。一人でも多くの友人、知人を作り、家族と密に連絡をとっておくことです。
本人の様子がおかしくなると周囲が感付きます。それまで訊ねてきていた人がパッタリこなくなったり、おかしなことを口走るようになると周囲が気が付きます。
幾ら強引なカルトでありどんな強引な方法を用いていようと、前兆くらいはあるものなのです。幾らなんでもいきなり人を浚う所は少ない。
取り込もうとする瞬間と、取り込んだ後の「お支払い」とか「お金儲け」「誰かの勧誘に」その人を用いようとする時にも隙があります。
そこで周囲が気付けば警告するなり家族に連絡するなりできます。大勢でその人が相手(洗脳者やカルト)に近付かせないような協力、努力をするなら、かなりの範囲で予防と脱出ができるのです。
わかりますか? おかしな人間に「騙される」所までは良心や弱さを持つ人間として仕方ないとします。そこの部分はどんなに注意しても仕方がないのです。
誰とも「接触するな、話すな」とか「家から出るな」だと引きこもりですし、カルトに騙されなくても社会生活が営めない人になってしまいます。
ですから、そこの部分は諦め積極策に出ます。もし自分が誰かに騙されたり、何かに取り込まれた時には。周囲がいち早く気がついて「サイレンが鳴るような」人間関係を作り上げましょう。
証拠を残し、近隣住人や家族と連携する
私が何が言いたいかといえば「初期の段階で」周囲の友人や家族、職場の仲間や知人に「気がついてもらえるように」生活習慣や環境を整え、人間関係を作りあげておくことです。
それが強固になればなるほど、他人とかカルトが入り込んでくるすき間が減ります。
またそういった連中の多くは「金銭や財産」を目的としています。
彼らが金銭や財産を持たない若い世代を取り込んだなら父親や母親の財産を目当てにするでしょう。女性なら風俗店で働くことを強要されるかもしれないですね。
普段から言動を把握していれば予兆は捉えられます。おかしな集会の宿泊費用だったり、合宿費用だったりパーティ目的での出費が増えた時には注意しましょう。
それらを領収書や振込み詳細として残し、万が一の時は警察に提出する証拠にします。
日記などをつけている場合はそれも、後々自分を守る楯となるケースがあります。
証拠が残ってないと家族も警察も探しようがありません。おかしな団体に徐々に取り込まれて行く様子や、お金や財産を奪い取られる様子があれば動きやすい。
また日記や領収書、コンビニなどのレシートは被害者がどこに出入りしてて友人が誰で、手引きした連中がどこに住んでいるのか? どこに主要関連施設があるかの判断材料にもなります。
コンビニのレシート一枚でも多くの情報があり、行動パターンや相手の推測が可能です。
もちろん自分のみの安全策だけではなく、ご家族や友人の様子も時に注目してあげる心遣いが必要ですよ。相互に監視というか、お互いに「相手の様子に関心を持ち、何かおかしい場合には心配して話しかける関係性を作ります。そうすればそう簡単には取り込まれないのです。
「多数の繋がりを」というのはね、数人にしか繋がりが持てない人の場合、その人やその小コミュニティ丸ごとが「そっくりそのまま」カルトにもっていかれるケースがあるからです。
様々な価値観の人達と繋がりを持っておくことです。
昔は「向う三件、両隣り」っていったでしょ?
これはカルトに限りませんが、何かに騙されたり取り込まれそうになっても異なる価値観を持つ大人とか監視者が複数いれば「それはおかしいんじゃないか?」と警告もできる筈なのです。
昔はね、おばあちゃんやおじいちゃんがいて、家族にまとまりがありましたからそんなにこういった問題は起こらなかったのですよ。近所の人とも繋がりがありました。
家族同士の繋がりや話し合い、隣近所との付き合いや人情があるうちは、そうそうおかしな集団がはびこることはできないのです。
現代生活、特に都会における生活において「おせっかい」は死語に近いですが、カルトに対抗するには、その「おせっかい」にも思える相手への注意や思いやりが、大切だったりもします。
日本における現状を見ていると、確かに物質的な生活は豊かになりましたが、代わりに大切な何かを置き忘れてきたようにも思います。
洗脳の第一歩で兆候を捉えること
洗脳をね「行おう」と考える人間は、まず、家族や親族、友人との「繋がりを断つこと」を行います。「あなたの悩みや苦しみは、あなたを悪く扱った家族に原因がある!」などと言い出す所もあります。
家族や恋人、友人と強い繋がりがあるうちは洗脳には成功しません。
なぜならば、ご家族や友人の言葉のほうが説得力があるから。いかがわしい連中の言葉が説得力を持つのは内側に入り込まれてからなんですよ。
人間はある一定のラインからは、常識というかまともな感覚がなくなります。一度、常識とか良識、人間としての個性を失うとどんな歪んだ価値観も「正しい」と完全に思い込んでしまいます。
よくあるパターンは、最初、サークルかボランティア活動のように言われて気軽に何かに参加しているのに、そこで行う2、3日の「合宿」(親睦会とか、修行、キャンプなどの名目もあります)か何かに参加した途端、本人が普段に話す内容がガラッと変わってしまうことです。
まず、そこまで引き込むのが彼等のやり口なのです。家族や友人から引き離し、自分の信者とか仲間しか居ない場所に連れ込むことが目的なのです。
その際に集中して家族や友人の悪口を言われたり、何かの価値観を植え付けられた人は、結果、「こちらこそが正しい人達なんだ」と思い込んでしまうのです。
そこまでが終わると、今度はもっともらしい目的意識を作ります。例えば「宇宙愛」だとか「人類愛」「戦争をなくすためにあなたの犠牲が必要だ!」などといった、一見すると立派にも思える言葉がズラズラっと並ぶことになります。
そういった方向づけを行うと、家族のことや自分自身の悩みごと、恋人や仕事のことで悩んでいた自分が矮小化(小さく感じることです)して見えます。
で、その後はノルマを科して「世界平和のためにがんばろう!」「おー!」などと煽ることで自称戦士だか布教部隊だかの一丁あがり。結局はそれで集めた資金は一部の幹部の私腹を肥やすためであったり、次の獲物を捕まえるための準備に使われてしまいます。
実際には日常は些細なことの積み重ねで成り立っています。
一日、一日は大変で苦痛も多いですが、その繰り返しの中で自分の居場所を探し、生活を支えなければならないのです。
彼等のような連中は、そこの部分には一切、触れようとはしません。現実間を失わせ世界平和とか人類愛のような大風呂敷ばかりを並べて本来の目的には目を瞑って、参加者の目を逸らすのです。
最初こそ「あなたの悩みごとを解消してあげよう」と猫なで声で言って来ますが、すぐに化けの皮は剥げますよ。いかがわしい魂胆がありそれを隠して近付いてきますが、我慢が続かないのです。
彼等の言う「宇宙愛」や「人類愛」「社会正義」や「平和」とはほど遠い。
歪みといやらしさを持っています。
取り込まれた「瞬間」が大事
そういった連中は相手にある程度のコントロールが進むと「金を持ってこい!」しか言わなくなりますよ。洗脳が解けない限り思惑を隠す必要はないからですね。そのままトラブルを拡大してゆきます。
私はカルトに取り込まれたり何かに騙されないためには、人と人との「心の繋がり」こそが大切になると考えています。このコーナーのタイトルですね。
人であれば凹む瞬間も何かで失敗してしまうこともあります。誰かに騙されることだってある。その全てを完全に予防しようとか避けようってのはどだい無理なお話。
ですから、家族や友人、恋人やパートナーとの繋がりをしっかり作っておくことです。日記やレシートなどの証拠を残したり外出先を家族に告げる習慣を持つこと。そうしておけば誰かに気がついてもらえますし、自分も誰かを助けられるかも知れません。
催眠などをやっているとね、人間の持つ価値観や記憶、意志とか考え、思想などがいかに脆くて危ういものかわかるようになります。
深く催眠にかかると記憶がなくなります。一種の健忘を起こしますが、本人は「全て完全に覚えている」「私は催眠になどかかっていない!」等の主張を繰り返すのです。
まあ、催眠の場合、本人が望まない暗示は、殆ど時間の経過と共に解けてしまいますが・・・。いつまでもその効果が持続する訳ではないですが、ある程度、それらはカルトなどに取り込まれた人達と、擬似的な体験ではありますね。
「私はかからない!」と言い張っている人に限って、かかってしまうととても深くなります。
催眠には「かかってない」といい張っていた人に催眠中の自分が映っているビデオをみせると面白いですよ。何しろ記憶がないのですから。その時の驚いた反応を見ると、そういった可能性は(自分も含め)全ての人にあるのだ、と自覚せざるを得ません。
コントロールを受けたり、歪んだ何かの価値観を植え付けられてしまった場合、それに自分で気付くのは不可能です。催眠にはかかってないですし「洗脳などされてない」と終始言い張るのですから。
ですから周囲の手助けが必要です。
宗教や何か(催眠術)にすがるのではなく、相互の関係をどこかに作りましょう。自分も危険を感じ取る努力をして、おせっかいだと言われても周囲に人達を気にかける習慣を育てます。そうすれば取り込まれた瞬間がわかりますから、後から対応も可能になるでしょう。
「もし、何でもなかったら」などと考えて、対応が遅れては何にもなりません。勘違いなら謝ればいいのです。隣人や家族、友人や恋人、自分の家族が死んだり精神的におかしくなって戻って来れなくなったら悲しいですよ? 下手をすればその一発で何年も人生を失う人もいますから。
少しの恥くらいはたいしたことはないですが、大切な家族や仲間を失うのは辛いでしょ?
人によっては迷惑でおせっかいに当たるかも知れません。それでも家族や友人、自分の携わる人々を心配し、話し掛ける習慣や気持ちが大切です。
「カルトや詐欺に大しては」取り越し苦労はありません。これは長年関わってきた私の実感です。
心配してあげた所で笑い話にこそなれ、殆ど問題にはならないのですよ。それくらい、相手が悪質だったり巨大だったりする場合もある。
その後のトラブルの大きさを考えたら、早め早めにそこで手を打つのがポイントです。遅れれば大変なことになりまから。
東京ではあまり立ち止まりたくない?
最初の話に戻りますが、東京の人が無闇に立ち止まらない、早足で道を歩く、誰かがただ単に道を聞くだけでも神経質になるのは、ある種の自衛作業なのかも知れませんね。
「東京モンは冷たい」のではなく、「東京の人は臆病だ」が正しい解釈かも知れません。
それくらいで丁度いいのでしょう。変に人懐っこくて誰にでも馴れ馴れしくしていたら、東京のような大きな街では相手を喰い潰そうと待ち構えている人達もいます。
あっという間に群がってきて骨も残らない。徹底して利用されてボロボロになってゆく例もありますし、安易な感覚ではどこかに取り込まれてしまいます。
しかし、驚きますね。東京におけるそういったいかがわしい商売に携わる人数の半端じゃないこと。迂闊に立ち止まるといーっぱい寄ってきます。
寒い中、外でビラを配ったりキャッチセールスに励む人間を見ると「この人達にも家族や恋人があって、それぞれに悩みや生活はあるんだろうな」と考えて、不思議な感じもします。
外じゃ寒いだろうし労働時間長いだろうし、結構な美人とか男前もいますね。地方から出て来た多少イケメン君が田舎者を騙してのし上がろうとする図、のようで不謹慎ながら笑ってしましました。
路上で話していて面白い奴もいますよ。
「お兄さん、おっぱい4つ。今4個ついてるよ〜。今ならモミ放題。4つまでなら一時間5千円」
おーい、女の子をおっぱいでの数で数えるな(笑)。下品ですが笑ってしまった。
スカウトとかキャッチやってる奴には話の巧い奴もいますね。私から言わせるとそういった才能があるんだから、もうちょっと別の仕事したほうがいいような気もしますが?
反対にこっちから「スカウトしたい」と思うような面白い奴もいましたね。
「騙されるかも知れない」「取り込まれるかも知れない」と考える人は、無闇に危険に近付きません。だから立ち止まらないのです。
東京の人々は自分が取り込まれてしまう可能性を知っているので、絶対に立ち止まらないよう、危ない地域や早足で歩くように自然に身に付いているのかもしれないですね。
わたしゃ、どうも東京人にはなれそうもありませんな。道聞かれたら取りあえず止まって答えるもの。答えるだけ答えて、相手が何か勝手なこと言い初めたらすぐに逃げますけどね。
しつこければ怒鳴るかも。関西人にはその程度は堂々とやる人が多いと思いますよ。
ホームページではあまり触れていませんが、実は私、元は四国で育ってます。東京にも長く住んでた。地理ならたいていはわかる。仕事で全国津々浦々までまわってましたから。
ですから関西人、といわれても今一つピンッとこない。各地に数ヶ月づつ住んだり出張が多かったせいで、私自身が各地の妙な訛りもありますしね。
人間っていうのは結局、その土地の気候風土というよりも、その地域で出会った人に影響を受けます。博多の女性や福井の女性にはいい人が多かった。
職場の仲間とか上司にも情が厚く優しい人がいたように思います。
私は「自分が東京人でない」ことだけはなんとなくわかる。
ウーン、宇宙人? 地球人? 時々、指を鳴らすから、パッチン星人ってトコでしょうか?
よくわかりませんな。
失礼しました。
2000年01月26日 初稿
2017年12月11日 加筆、修正
谷口信行