技術、知識、研究成果は「独占してこそ価値が」ある
心理学とか特殊な技術の難しさはですね。実際にはっきりと見える効果を上げないと「誰も信じない」ってことです。
次に困るのは、その知識とか技術が絶大な効果を上げるとわかると「誰にも教えないようにしよう」とする例が多い。
精肉の色を鮮やかに保とうとするガスとかビタミン塗布とかですね。精肉用のライトとか鮮魚用のライトなんてものもあります。
最近の実例でわかりやすいものは。モスキート音があります。
「コンビニは心理学の宝庫です」というコーナーに詳しい解説は載せてあります。
「モスキート」は、深夜に店の前などにたむろする若者たちに不快音を聞かせて退散させるために、2005年にイギリス・ウェールズのハワード・ステープルトンによって開発された。
さすがに今の若い世代でこの話を否定する人は少ないでしょう(笑)。理由は簡単で誰でも実験ができるから。ハワード・ステープルトンがこの手法を思いついた時は伏せられていたようですが・・・。今では番組で紹介されてしまったため、世界中の人が知っています。
YouTubeなどにもモスキート音が幾つも載せられていますよ?
考えてみてください。音が人間の生理とか感情に直接作用する。ただしかすかな音であって、はっきりと聞き取れるわけではないんですよ。ある年齢の若い世代にだけこの音が届くわけですが、基本的には大音量でこれを毎晩鳴らしていたわけではないんですよ。
その場所にたむろしていた若者たちが何となく居心地が悪くなって集まる場所をどこかに変える。遊びに出かけてたむろするのを辞めたわけではないのですが・・・。何となく「その音が流れている」店の前だけを避けるようになってます。
これはやっぱりね。潜在意識の領域だと思うのです。ちなみにですが可視光線、人の目で捉えることのできる波長にも個人差とか年齢差があって。若い世代と高齢者では見え方が違ったりします。
こういった実例も、導入しているお店ならおそらくは伏せたがるかもしれないですね(笑)。お客さんを犯罪者扱いしたとか若者を追い払おうとしたと抗議が来るかもしれないですし。それにモスキート音に関しても音域はある程度まで公開されていますが、全部じゃないんですよ。
スピーカーの数とか音のボリュームとか角度とか、流した時間帯や期間などその全てが公(おおやけ)になっているわけではないですよ?
そういった技術を知らない人からすれば。これはオカルトとかお呪いの世界でしょうね(笑)。
「サブリミナルなど無い!」と明言した元催眠術師も。おそらくですが真実は知っていますよ(笑)。私と同じく、ね。専門家とはそいういものです。ただし、それがあると明言しないほうが自分にメリットがあったり、今後の仕事に影響するなら当然、私でも伏せます。
「そんなものはない!」
催眠術師? を志(こころざ)したり。一度はどこかの番組でレギュラーコーナーを持つようになる男は。やはりどこか擦れていたり手強いもんですよ。これは私だけの話ではありません。
何でもベラベラと世間に打ち明けるほどお人好しではないでしょう。
これももう「そういった猛抗議」から十数年が経過したのでここで種明かししておきます。
心理学、科学や基礎研究の発展
朝日新聞の「心のプリズム」などの記述を読んでみると。人間の感情を左右させる化学物質が戦争に利用されるのではないか? と恐れた人達もいた訳ですね。
いかがわしい宗教団体が行っている洗脳まがいの方法についても、心配していた人達もいます。
初版が1972年ですから45年前ですよ? そういった記述はすでにその頃の書籍の中に存在します。
当時の日本は高度経済成長のまっただ中で終身雇用制度が日本に定着しつつあった時代ですね。戦後の動乱期から立ち直り、徐々に国力を高めつつあったとはいえ、日本はまだ経済大国といえるような立場ではなくその基盤は脆弱なものでした。
この内容が新聞に掲載された1971〜1942年といえば、米ソが激しい宇宙開発競争をやってた時期にも当たります。冷戦構造の対立を招いていた時期で科学技術とか宇宙開発、薬品技術の基礎開発に両者が鎬(シノギ)を削っていた時期でもありますね。
ご多分に漏れず日本もその波についていこうと必死の頃です。
心理学の実験も多数行われています。今では禁止されたものも数多くあります。
倫理上、経験上、「危険」とされたものがあって禁止されてゆきます。
「スタンフォード大学」「監獄実験」などで検索してみるといいでしょう。人間の精神とか反応を知るための基礎研究は、この頃がもっとも盛んです。
皮肉なことに米ソ(アメリカと旧ソヴィエト)の対立が、急速な科学技術の進歩に繋がっています。心理学の研究や脳内ホルモンについての研究が盛んだったのは、やはりお互いがプロパガンダに利用できないかと考えたり、戦争や兵器に利用できないかと考えたからでしょう。
その当時に書かれた本には興味深い内容が様々にあります。
当時行われた実験で「アイヒマン実験」(これについても各種の本が出ています)と呼ばれる物の検証なども実に興味深い内容です。
第二次世界大戦当時、強制収容所に何万人もユダヤ人を送り込んで死刑にしてしまった「アイヒマン」という人物が「私はただハンコをつき上役の命令に従っただけだ」と裁判で主張したために、多くの人達に衝撃を与えた事件です。
それを聞いて「それが本当かどうか?」「人間として、それが平気でできる物なのかどうか?」に疑問をもった心理学者が、同じような状況を擬似的に作り出し、何人の人が自分の良心に従って実験を中止するか? を調べようとした時期があるのです。
再実験、追実験も何度も行われており書籍も多岐に渡ります。
検証中にアイヒマンと同じように被験者を「殺してしまった」(現実には死んでいませんが)人の「言い訳」職種、年齢や性別などの分類は大変興味深いものです。
子供に対して行われた実験
そういった過去の実験の中で面白い、というか興味深い記述があります。5才から12、3才までの子供を集め、あるフィルム(映像)を見せます。
誰か(力の強い側)が、もう一方(力の弱い側)をいじめたり、虐待しているビデオやフィルムを子供達に見せるのです。
すると、その映像を見せられた子供達は、後で「映像で見せられた行動と」同じ状況をそっくりそのまま再現してしまいます。
身体の小さな子供達や、自分の意志に添わない相手を集団でいじめたり、力の強い方が虐待するような行動をとることになります。
その時、大人達(実験者)は子供達に対し、グループ分けをして何種類かの方向づけを行います。様々な実験がありますが、このケースでは全部で三つに分けて方向づけを行います。
一つのグループには、「何やっているの?」と子供達に問い掛けた後、放置します。
次のグループには理由の正否を問わず「虐めた相手」側に「偉いわね」といってアメなどのご褒美を与えます。誰かをいじめている所は大人が目撃しているのですが、それについて一切口を挟まないようにします。
最後のグループには「どうしてそういう事をやっているの?」と理由を問うた後に「そんなことはやってはダメでしょう」と言い聞かせます。
その後、いじめた側、いじめられた側、両方の子供達から事情を聞き両者で話し合いを持つようにします。大人が一方的に命令してお終いにするのではなく、両者が一緒に仲良く遊べる所まで納得させ関係の改善を計ります。
「どこが間違っているのか?」を丁寧に話して説得し、お互いが話し合うように勧めるのです。
当然ですが、各グループには顕著な違いが出て来ます。
今はもう無理ですね(笑)
現在ではこういった実験は倫理上の問題で行うことが難しいでしょう。いくら実験とはいえ、子供達にわざわざ誤った感覚を植え付けることにもなりかねませんから。
将来に禍根(かこん)を残す可能性が残されるからです。
当時(今から50年以上も前)の実験だからこそできたと思います。
正直に言えば、当時の実験では「目茶苦茶だな」と驚くような内容もあります。監獄実験なんて典型ですよ。トラブルの詳細については未だに公開されていない所もあります。
そこの部分を誇張してes「エス」(2003年3月公開終了)というタイトルで後に映画化されています。
昔の書籍とか資料が面白いのは、それが現在では書けなかったり出来ない部分があるからです。
「行ってはならないこと」つまり、児童心理学や成長の過程で周囲から受ける精神的影響などは、こういった実験や追跡調査によって、少しずつ実証されてわかるようになってきたのです。
大人に「ほめてもらった」と勘違いしたグループや、そのまま大人が「何も言わずに」放置したグループは、いつまでもその行動パターン(いじめや虐待)を止めません。
何度も何度も執拗に繰り返すようになるのです。
子供達にとってその行動が「いけない」とは思っていないからです。放置することは「認めてもらった」事と同じになってしまいます。当然の事ながら、お菓子などのご褒美をもらったグループほどそういった行動は顕著(けんちょ、いちじるしく)に現れます。
逆に理由を考えるように諭し説得を加えたグループの子供達の中には、時折リーダーが現れます。
「そんなことをやってはいけない」「止めようよ」といじめを行おうとするグループに立ち向かおうとする子供がグループ内部から現れることが報告されているのです。
これを聞いて、あなた達はどう考えますか?