正しい催眠誘導の方法 / 第九章

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深呼吸をさせて指先を凝視させる

バリエーション(46ページ)



ここで応用方法を一つお教えしておきます。

前の指示までで被験者の指がくっつくようになった後、被験者に両手を平行に出させて同じように、視線を中央に誘導して意識を集中させます。

そして「両手が中央に向かってくっついてくる」といった指示を行います。写真を参考にしてください。

常においては手を平行に出した所で、両手がくっつくような反応は得られませんが、施術者が「さっきと同じようにあなたの手がくっつきますよ」と指示(言葉による暗示)を行うことにより、同じような反応が得られるのです。

これは先程までの肉体的な反応の一つである「筋反射」などではなく、本格的な暗示、誘導の部類に入ります。

まったく反応を表さない人も中にはいますが、施術者側がここまでの誘導にスムーズに成功していれば、先程の指先と同じように、手が中央にゆっくりと合わさってきてピッタリとくっくような反応が得られます。

バリエーションには様々な形態があり、指導書によっては「手や足が動かなくなる」とか「あなたが組み合わせた自分の指が、ピッタリとくっついて離れなくなる」などを行うように、と指導している物もあります。

そのどれもが間違っている訳ではなく、表現や形態が多少違っても目指しているその意味はや方向性は同じです。

筋反射では被験者の意識を集中させてリアクションを起こします。当初は筋反射などの「どんな人にもに当然、起こる肉体的な反応」を利用しますがその反応をきっかけ、呼び水として人間の持つ先入観を利用、施術者に対する信頼関係を強化、相手が「まさか」と思う通常では起こらない反応へと被験者を誘おうというものです。

筋反射などはこの人の言葉で実際にそういった反応が起こるんだ、といった心構えや感情を被験者の潜在意識に刷り込むために利用されます。

自分から積極的に催眠に参加したいと言い出し、テストや筋反射でも大げさなくらいに身体を動かしたり指がくっついたと騒ぐ人もいますよ?

意外なことにそういった人はなかなか潜在意識への働きかけが行われません。初心者はそのような人は避けたほうが無難でしょう。どんなに見た目に著しい反応を示そうとも、かえって深層催眠への移行が起こらなくなります

それは潜在意識には関係なく顕在意識、つまり表層意識にしか働きかけが行われておらず「自分で」身体を動かしているからですよ。

反対にあちこちで聞き齧って催眠について詳しくなっているつもりの人には、観念動作では反応がなかなか現れません。

ご本人は騙されないように詳しく勉強したつもりかも知れないですが、実際には「別の手法」を用いられるとコロッと引っかかってしまいます。心理障壁を乗り越える方法は様々に存在しているんですよ。

催眠のロケなどでかかりが浅く、筋反射や可倒テストの反応も弱かったタレントさんがその後、洗脳騒動に巻き込まれて帰ってこなくなった実例もありますので・・・。ですから、そこだけ覚えて「自分は大丈夫だ」と思い込んでも意味はなかったりします。

求められるのは潜在意識の説得であって表層意識、つまり見せかけの同意ではないのです。

ですから、相手や状況に合わせて選ぶ必要があります。

観念動作や筋反射がどういった相手においても有効で高い効果をあげるか、といえばそうではないことは理解してください。

初心者が無理をして失敗を繰り返すと自分が自信を失ってしまい、途中で投げ出す原因にもなり兼ねませんから最初は難しいケースは避けるようにしてください。

ショー催眠で「かかりにくそうだったり、反応が大げさな人」が外されるのにはきちんと理由があります。

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