正しい催眠誘導の方法 / 第五章

スポンサーリンク
ラポールの形成に必要な資質

催眠をかけるための才能

Yシャツ アイコンですので「私にふさわしい服装」と「あなたが着るべき服装」も違うでしょう。

年齢、性別、身長、体重、過去の職種も違う。

あなたの経験を活かすなら「私と同じカラーシャツ」では違和感が生じます。「ラポール」とはそういうものですよ?

催眠術師に制服はありません。手品師やエンターティナーが同じ服装をしていますか? テレビドラマや映画ならどこか似たような格好をして出てきて簡単に殺されてしまいますけどね。

それは端役であって主役ではない。実演においてはあなたがメインなのです。

「相手に伝わる印象」をイメージして各自で工夫を凝らしてください。

相手に対する優しいイメージを抱いたり、自分が相手の立場に成り変わって考えることのできない人は、はっきりいって催眠誘導を行う側としては向いていません。

心によこしまな感覚があるか、催眠を勘違いしておりそれが敏感に相手に伝わるからです。

そういった感覚を持つ人が「催眠をかけてあげよう」などと、ニヤニヤ笑いながら近付いてきても、その人を簡単に信頼する人はいないでしょう。浅はかな魂胆や悪い印象が先に被験者には伝わってしまい、なかなか信頼されないからです。

私が出演した番組に先にやってきた来た先生にも、そういった感覚の人がいらっしゃったようで。私が催眠をかけると反応も悪くなくてよくかかった人が、その先生の時には「絶対に嫌だ」と思ったと教えてくれました。

20人以上にテストを行い催眠をかけようとしましたが、数人も成功していませんでした。

結局、それで私が呼ばれたわけです。ディレクターが「もう一度、テストを受けて」というとバラエティ番組に出ていた女の子たちが一斉に嫌不服そうな顔をします。要するに場所を荒らしてしまっています。

先に横柄な王様がやってきて「催眠にかかれ!」と女の子たちに命令しています。その上で「かからない奴は馬鹿なんだ!」と決めつけた発言をしてしまった後だったので、拒絶反応が凄かった。

それでも、こちらから敵意や悪意がないことを示して相手に近づくなら、あっさりと成功を収めることがあります。

これはテクニックというより心構えとか姿勢の問題で、それが催眠の成否を分けるのではないか? と考えています。

相手に肩書きとか権威をちらつかせ、ともかく高圧的に迫ればかかる、と思い込むタイプの人にはホトホト手を焼きます。先に催眠を教わった先生がそういった行為を繰り返していたら、その癖が感染っているんですよ。

こちらがそういった部分に気がついて注意しても従おうとしないか、言っている意味が理解できない。

そのようなタイプの人は早々に諦めるか逆に心の専門家への相談を進めます。心が相当に荒んでいるはずです。相手の心を理解せず高圧的に迫ったり、小手先のテクニックだけで催眠が上達することはありません。

催眠をかけるといったことに才能があるとしたら「相手の立場や状況、感情を理解する」この一点だけです。

相手を理解しようとする思いやりの気持ち、この一言に尽きます。後は自分の心の中の歪みを正してまっすぐに向き合うだけで催眠の成功率は飛躍的に上がると思いますよ? 被験者や相談者を「どう恫喝するか?」を考えてる人は心が歪んでます。

ですから、人から相談をよく受ける方や友達の多い方、会社で大勢の上司に信頼されたり、部下に慕われているとしたら、元々(他者催眠などに対する)才能を持っていると考えて良いでしょう。

そういった人はある種の才能が備わっています。「ラポール」を獲得することに最初から成功している方でしょう。現実にそれを活かした形で普段から生活や仕事を行っており、それはその人の持つ特性、優れた才能といってもいいでしょう。

催眠もやはり人の行う技術ですから、優しさがあり魅力に溢れる人物が催眠を学べばその理解や吸収は早く応用も可能です。

はっきりいってしまうと、まわりの人からまったく相手にされず恋人も友達もいない、といった人が催眠を学んでも全く意味がないと思いますよ? 

残念ですが、ご本人が「催眠を覚えた!」と自慢しても変なことをしようとしているといわれ、周囲から人は余計に遠ざかります。

そのうち何かトラブルを起こして事件沙汰とかセクハラで訴えられかねません。

自分が相手に何かを押し付けようとばかりすれば、かえって被験者(催眠をかける相手)の信頼を得られなくなります。あまりにコンプレックスが強い人がそれを誤魔化すために何かを覚えても、周囲には怖がられるだけなのです。

(これはホームページにも載せた言葉ですが)高学歴で一流会社に勤め、お金持ちであれば誰でも幸せでモテるか? といえば、決してそうでははないんですよ。

お気の毒ですが誰もが羨むような地位とか肩書きとかお金を持っているはずなのに、不思議なことに周囲に嫌われ続けているタイプいます。男女とも、これまでに何人も見てきています。

同じ意味合いで、どんな便利な道具や技術、素晴らしい知識やテクニックであろうとそれを実際に用いるのは人間に過ぎません。

心理の働きとして、信頼できない人に自分の心を触らせる人はいません。まず、信頼してもらえるような雰囲気や対応が求められるのです。その上で催眠に対する深い知識や造詣があれば周囲は納得するでしょう。

ラポールとは相手(被験者)と自分(施術者)とを繋ぐ掛け橋です。ただし、その意味は浅い演技とか肩書きを押し付けることではありません。誰かと真摯に向き合おうとする気持ち、相手を理解し包み込もうと考える思いやりや優しさである、と考えてください。

ラポールはある意味、施術者の本人の姿勢や「心の持ちよう」に繋がります。

不思議なことなんですが、私も体調が悪かったり嫌な出来事が相次いで「催眠が嫌」になると途端に成功率が下がります(笑)。

催眠を用いて誰かの役に立ったり困っている人の手助けが出来たり、難しいケースを乗り越えた後だと充実感があってショー催眠や番組収録でもうまくいきます。

私がお金にもならない一般人の依頼や相談を受け続けた意味がそこにあります。

私は「私のモノマネとか後出しジャンケン」であっても否定はしないんですよ。私と同じ道筋を通っているなら同じ結論や推論にたどり着きますから。

催眠を使ったマルチ商法や紹介販売、安易なお金儲けを企み肩書きを自慢して催眠団体の役員を気取る連中を嫌っているだけです。被験者や依頼者と向き合う姿勢や感覚が正しいなら、卑怯な行為や悪いことばかりするようにはならないと思っています。

初期の段階でここの部分を「たいして重要ではない」と思い込み、きちんと勉強しない人もいるようですが・・・。

実際にはこのラポールこそがもっとも重要になります。

複雑なテクニックや暗示(具体的な方向性)にこだわるよりもまず、自分の姿勢を正し、相手とまっすぐに向き合うことが被験者との繋がりを強化し、催眠が上達するためのポイントになります。

正しい催眠誘導の方法のindexへ