催眠の利用方法について(14〜19ページ)
何でも出来る訳ではありません(14ページ)
誤解する人が多いので、先に催眠の利用方法などについての解説を行いましょう。
催眠の利用方法については様々なものがあります。
基本的には精神的なトラブルによって起こるイライラの解消やストレスの軽減を中心に用いられます。
その応用の範囲は広く、使い方さえ間違わなければ様々なものに利用できます。
ダイエットや禁煙(禁酒も行いますが、初心者には難しいです。当初は控えてください)自立神経の調整を行い、不眠症や不安感の解消に役立てることもありますし、子供の精神的なストレスを抑え勉強の効率を上げたり、仕事の効率をアップさせます。
アトピー性の皮膚炎の発症を抑えるために利用されたり、女性の不感症や男性の心理的な圧迫感からくるインポテンツ、原因のはっきりしない痛みの軽減にも役立つことがあります。
アメリカなどでは末期ガンの患者さんの痛みや不安を抑えるために用いられたり、私が医療関係者に指導したケースでは、挿管時に起こる反射(胃カメラなどを飲み込む際の吐き気)を起こさないために利用されたりもします。
数え上げればきりがありません。心理的なものであればかなりの範囲で応用や効が期待できます。
確かに催眠を上手に用いればそれだけ色々なケースに対応できるのです。
応用の範囲は広いですが、だからといって催眠を過信してはいけません。
催眠を学んだ人の中には「催眠ならどんなことだってできる!」と思い込んだり、周囲にそう吹聴する人がいますが、実際にはそうではありません。
考えてみればわかりますが・・・。催眠という現象が科学者や精神分析医に確認されてから百年以上が経過しています。
催眠が万能であるならば初期の頃の精神分析にフロイトが用いた時点で。それは全世界に広がって最新医療にとって代わっているでしょう。
実際には反対で、厳格で規律正しい性格だったと言われているフロイトは催眠「術」を使った時に女性に言い寄られたことを反省、嫌悪して催眠をカウンセリングから封印してしまったくらいです。
多少同情するのはフロイトが悪いのではなくて。自意識が弱まりますから欲望に忠実になる人もいます。
当時は異性と触れ合う機会が少なかったので金持ちの貴族階級であったフロイト氏に「好意を」寄せている女性が、最初から被験者として集まっていました。催眠が万能であるならばフロイト氏は大喜びでその後も分析に使っていたことでしょう。
トランスとか神がかりといわれる現象は「催眠」という分類や言葉がなかった時代から確認されています。
いわば宗教関係者のほうが専門でそういったものを専門に研究している人たちもいます。ですが、トランスや神がかり、広い意味では「催眠」を用いることで次々と奇跡を起こして医療や科学が必要のなくなった地域とか国は今のところ存在しません。
「何でも出来る」とか「難病でも治せる」は行き過ぎであり、発想として危険を伴っていると言えますね。
私は催眠で何でも実現できるとか何でも治せる、前世さえ覗けば悩み事は解決するなどと煽ったことは一度もありません。
催眠、特に他者催眠は受け付ける人と受け付けない人がいます。自己催眠もトレーニングを積めば誰にでもある程度の効果はありますが、人によってその現れ方はまちまちになります。
また他者催眠を行う場合でも、いくら被験者(相談者)が深く催眠にかかり、反応が良いからといっても「何でもやっていい」のではありません。
当然ですが、そこにルールは存在します。催眠誘導において「やってはならないこと」も存在するのです。