正しい催眠誘導の方法 / 第三章

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ステージ催眠との混同を避ける 正しい催眠誘導の方法

ステージヒュプノシス(ショー催眠)との混同

ハンバーガー、飲食禁止ステージヒュプノシスとかショー催眠などにおいて行われる方法は、確かにインパクトもあり、面白いです。

ただし、その効力は一時的なものに留まるでしょう。

一般的には「一眠り」すると解けますよ(笑)。その当たり前のことを理解していない人が多い。

私もテレビ番組や講演などの依頼を受けて、時々ショーやステージヒュプノシスを行うことがあります。ですから、それが全て悪いとか間違っているとは思っていません。

日本においては未だに催眠現象を理解せず、「ある」とか「ない」とかの底の浅い論議に終始している人も大勢います。

正しい利用方法とか使い方や用い方を教えようとしても、存在そのものを理解しない。危険性の指摘や注意どころか、お話にならないくらい頭の固い人もいます。タイヤがパンクしそうだから危ないよ、と注意しようとしてもそういった人は「そこに車がある」ことまで否定していますからどうやっても話が噛み合いません。

そういった人達に現実を理解させるためには、実際に誰かを誘導し「催眠現象がある」ことを眼の前で見せて理解させるしか術を持たない部分もあります。全員がそれで理解できるわけではないですが、見れば多少はマシになるんですよ。

ですが治療とか、継続的な心理効果を求める場合には話が別です。

全てをそれらと混同してしまって「催眠とはこういうものなんだ!」と思い込んでしまい、ショー催眠と同じように「こう動け!」「食うな!」と術者が指示すればいいんだなどと考えてはいけません。

よくある間違いはショー催眠と同じ手法を用いているので効果がありません。一回の催眠暗示では効果がでなかったので「短時間に何度も重複して」同じ催眠をかけよう、などと考える人がいます。

これは非常に危険です。思わぬトラブルや副作用を生む可能性があります。

初心者にはありがちですが、ダイエットなどでは特にそういった勘違いを起こし易いでしょう。被験者が食べてしまうから「食べ物を食べないように暗示を強化しよう!」とか「後催眠を用いて食べ物の味を不味くして食べないようにすればいい!」などと考える人が結構な比率で存在します。

現実的には異なります。ショー催眠においては味覚を変化させて食べ物の味を不味くしたり、水の味やタバコの味を変化させて被験者の驚く表情を確認することがありますが、それらは一時的なもので決して長く持続はしないのです。

ショー催眠で一時的にかけたものが永遠に続くなら命の危険がありますよ? しょっぱい塩を「甘いお砂糖だ」などと言って食べさせる連中もいましたが・・・。それが継続したら味覚障害です。

一時的なもので「すぐに解くこと」をお約束としてショーは成り立つのであって。不自然な内容や危険なもの、身体に悪影響があったり普段の生活習慣と異なるものは続けてはいけないのです。

ショーのような面白さを求めて短時間で得られる効果を狙ったものと、持続してその後も継続する催眠とは、内容が違って当たり前になります。ショーで用いられるテクニックや暗示、方法をそのまま治療とか、心理効果を持続させることに持ち込んでしまうのに私は反対です。

全てを平坦に捉え、同じように考えることは危険が伴う場合もありますから、両者を混同しないように注意してください。

長く催眠に関わり、その両方(治療とショー催眠)に携わればよくわかってきますが、それらは似て異なる物です。

どちらが間違い、ということはありませんし私はそのどちらも否定はしません。確かに催眠の持つ特性の一つですし、方向性を示すものです。その両方は似通っていますし、一部はまったく同じ知識から生まれた技法だといってもいいくらいです。

それでもケースや状況によって、その使い方は異なってくるのです。

施術者が状況を把握して自在に使い分けることが大切だと思います。

ショー催眠において、「一時的に痛みを消す」ことに成功したからといって、それをそのまま歯痛や骨折の痛みに用いて「痛みを消した」ことを自慢しても話になりません。その疾病(病気や怪我)が治ったことには決してならないからです。

そのまま無理に運動をさせたり、痛みの原因を放置すれば、かえって症状を悪化させてしまうことにもなりかねないでしょう。麻酔がないとか緊急避難的措置として催眠を利用することがあったとしても、それを過信して診療や治療をさぼっては駄目でしょう。

ですから、施術者が催眠現象全てをショー催眠の延長のように捉え、安易に「こうすればいい」と考えてはいけません。