暗示、目的と方向性(174〜179ページ)
具体的ではっきりした内容が望ましい(174ページ)
他者催眠における常識の一つですが、曖昧な指示では解答が得られないケースがあります。
例えばですが私が二十歳前後の女性に催眠をかけ、その人が深くかかったとします。
その催眠「術」がしっかりかかった女性にこういった指示(暗示)を行って目を覚まさせます。
「あなたは織田信長である!」
すると目覚めた女性は後催眠現象を起こして武将らしく振る舞おうとします。
一時的ではありますが擬似的な別人格を作ったことになるので、自分の名前を織田信長だと思っていますし自分が女性であることも関係がありません。
ともかく武将らしく堂々とした振る舞いをしようとしたり、男性的な立ち居振る舞い、言葉遣いをするようになります。
では、これを「自己催眠」に使ったとしたら成功するでしょうか?
解答は否です。うまくいきません。
一般の方というか催眠や暗示に対する知識や経験がない人、暗示の本質をまったく理解していない「催眠術師」ならそれが正しいと思い込むでしょうが・・・。このテキストの名称は「正しい催眠術の方法」なので訂正しておきます。
暗示の内容は具体的ではっきりとしたものでなければなりません。
その観点から考えるとこういった働きかけや指示はとても曖昧で、高い効力は発揮出来なくなります。
その女性をもう一度、深化させ、今度は
「あなたは徳川家康である!」
とかけたとします。
だいたいにおいて先程の「織田信長」(仮)と殆ど変わらない言動になりますよ?
歴史上の人物で戦国大名だったということは知っています。ただし歴史上の偉人に過ぎないので詳しい部分まではわかりません。現代人なら誰も会ったことないですし・・・。
そうなると教科書とか小説とか漫画で知り得た情報しか頭の中には存在しないわけで。
歴女とか戦国武将や日本の歴史に異様に詳しい人なら細かく再現できます。そういった特殊な人以外では通り一遍の知識しか持っていません。
ですら、織田信長だろうと徳川家康だろうと豊臣秀吉だろうと。お侍で偉い人だったくらいの認識しかできないでしょうね。
そうなると再現は不可能です。これはその女性とか被験者が悪いのではなく施術者の指示とか「暗示の方向性」が間違っているからです。