覚醒の練習(152ページ)
タイムレコーダーを作り、割り振りと深化のための階段のイメージ作りが終わり、深化した際に潜在意識に働きかけるための内容を整理しました。
ここまでで一通りの準備は終わりになります。
後は念のために最後の準備として、気持ち良く覚醒をするための練習と準備を行っておきましょう。
深化が深くなれば、意識はなかなかはっきりとしませんが、そのまま放置しておいても時間がたてば睡眠に移行するか、自然に覚醒に導かれます。
よほど特殊な例を除き、自己催眠は安全性も高いので、それほど怖がる必要はないのです。
ですから、極端に神経質になる必要はありませんが、普段から覚醒のための準備と練習を行っていると意外な効果というかメリットがあります。
覚醒をしっかり練習しておくと、深化(トランス)が起こるまでの時間が短くなるのです。
すると、必然的に全体の誘導にかかる時間が短縮できるようになります。また、催眠(自己暗示)の効果もはっきりと現れ易くなります。
「催眠の解き方について」(88ページ)のコーナーで「催眠は一旦解除しないと深くならない」といった解説を行いました。
他者催眠において、被験者に生じ易い勘違いや思い込みの一つに「このまま催眠が解けなくなって、ずっと目が覚めなくなったらどうしよう」などがあります。
実は、同じ反応は自己催眠でも起こってきます。
自己催眠においても不安は生じます。「本当に解ける」ことを自分で確認しないと安心しないからですね。
ですから事前に覚醒の練習として、反射(目覚ましやベルの音などに自動的に反応する)が起こるようなトレーニングを行っておくとその副産物、潜在意識の安心感の表れとして深化が早まる傾向があります。
まず、事前に目覚ましを用意し、その目覚ましを10分程度(最後の覚醒時に)経過したら鳴るようにセットしておきます。そのまま安静にしておき、深呼吸法などを練習しながら時間が経過するのを待ちます。
そして、目覚ましが鳴ったら、深化法の練習で行ったイメージを思いだし、「私の階段」が目の前にあることを思い出すようにします。
「私は階段の前に立っている」
「今度は上向きに伸びている」
「これからこの階段を上ると意識がはっきりする」
深化とは逆向きに階段を上に向かって登って行く所をイメージします。
すると深化とは逆の方向にイメージが働きますから、意識ははっきりとしてきます。
「階段を十段上がると、すっきりと気持ちよく目が覚める」
といった練習を行います。
大切なことは「気持ちよく」目が覚める、という爽快なイメージと、目覚ましのベルが鳴った場合には「必ず目が覚めるんだ」といった意識を強く描くことです。
それをきっかけにして、自分の頭を切り替えるようにします。
何度か外からの刺激や働きかけ(目覚ましやスマホのアラームなど)で、切り替えのタイミングが掴めるようになれば、そのうち何も使わなくても自然に行えるようになります。
初期の頃は二段階に分けたほうがいいですね。
一回目に目覚ましやアラームが鳴ると「階段」が現れ、二回目に鳴った時「完全に目を覚ます」練習を行っておくといいでしょう。
数分間ズラしてそれぞれの目覚ましやアラームをセットしておけば上手く行きます。