自分で行える準備(137〜140ページ)
自律神経を静め、トランスに入るための準備をする(137ページ)
自己催眠を行う前に、自分で行える準備をしましょう。
このような事前の準備に関する記述が、日本における専門書には殆どといっていいくらい書かれていません。
他者催眠などを行っているとわかるのですが、催眠誘導を行う際には環境を整えることも、自らをトランスに導くためには大切な要素の一つになります。
ですからまず、自分の気持ちを静め、落ち着いた形でリラックスできる環境を整えるようにして行きます。
1.服装は身体を締め付けない物を用意する
他者催眠でも同じですが、最初の誘導の際にはゆったりとした服装をお薦めします。
特に女性の場合はストッキングなどで身体(下半身)を締め付けている場合があります。これは血行を悪くしますし、その結果、自律神経系の緊張を伴います。
自分の身体を締め付けている物は緩め、ゆったりした服に着替えるようにしてください。
難しく考える必要はありません。寝間着やパジャマなどで問題ありません。
ベルトやネクタイ、ストッキングやピシッとしたスーツなどは、それを着ているだけで仕事のイメージを増幅させ、深化が深まらないことがあります。
練習が進み、ある程度の段階を超えると気にする必要はなくなります。
どんな格好をしていようと短時間でトランスまで導かれるようになりますが、初期の段階ではリラックスしやすい格好や服装を心がけてください。
2.自己催眠のための環境設定
他者催眠と同じく、自己催眠においても環境を整えます。
慣れればどこでも精神の統一は可能ですが、最初は周囲の音がうるさいとか、他人の目を気にしたり、日射しや明かりがあまりに眩しいと難しくなります。
自己催眠のほうが環境設定はしっかりやったほうがいいですね。
興味深いのは他者催眠においても施術者と二人っきりで静かな環境が「催眠にかかりやすいか?」というとそうではなく、衆人環視で雑踏の中であったり友人が見守っているほうが早くかかるケースがあります。
他者催眠は施術者、または「周囲で見ている誰か?」が面倒を見ることができますが、自己催眠だとそうはいきません。その分、万が一を考えた準備を整えておく必要があります。
部屋の温度は一定に保つようにしてください。
初心者の頃は寒かったり暑かったりするとやはり難しくなります。エアコンの風が直接あたるような場所は、意識がはっきりしやすいので避けます。
3.部屋の照明は落とすが真っ暗にはしない
部屋の明るさは薄暗いくらいでいいでしょう。
ただし「暗い所が苦手」な方は、明るいままでも結構です。
他者催眠などで多数の誘導を行っていると様々なことがわかりますが、トランスが深くなると、被験者は「明るさ」には意外なくらいに反応しません。街頭ロケとか講演会で実演を繰り返すうちに気が付きました。
目が開いていても、まったく何も見えていないことはよくあります。近くでカメラマンが写真を撮ってフラッシュが光っても被験者はまったく気が付きませんでした。
ですから、室温ほど神経質になる必要はないですね。
宗教関係者が修行を行っている環境を調べると、真っ暗にしていることは少ないようです。初心者とか修行を始めて日数が浅い人の場合には必ず灯火や明かりがありますね。
これはどうしても闇が不安感を増幅するからでしょうね。真っ暗な中に人間を放置すると数時間で幻覚を見ることは知られています。
集光効果のコーナーでも紹介していますが、人間は不安の中で闇夜を進むと幻覚や幻聴を起こしてしまうことがあり、修行の妨げになるんだそうです。
ですのでLEDの小さな電球くらいは付けておきましょう。宗教儀式とかヨガなどでは薄暗い所にろうそくとかランプを灯して祈りを捧げたり勤行を唱えることがあります。
あれなども一種のトランス、忘我の状態に意識を集中してトランスに入るための手法です。
一人でやってる時はろうそくはお勧めしませんよ? 倒すと危ないですから。
護摩行(細く割いた木を燃やす)などでも、修行しているご本人が意識を失って倒れてしまわないように周囲がその人を支えたり見守るシステムになっています。