正しい催眠誘導の方法 / 第十八章

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解けにくい場合は環境を変える

深化に用いたイメージを逆用する(94ページ)

アップ 矢印深化の際に階段や電車といった被験者にとってイメージしやすいものを利用しました。

覚醒の際にはそれを逆用します。方法は深化法とまったく同じになるのです。

深化法の解説(83ページ)で、「催眠が深くなる時には緊張と弛緩(緩和)を繰り返します」と書きましたが「深化させる」場合には弛緩させる言葉や指示が続きます。

逆に「覚醒させる」場合には、緊張や目を覚ますための指示が続くようになるのです。

深化法と同じく、被験者の頭の中にイメージを作り出し、それを利用しながら「目が覚めて行く」方向に誘導する、そこが両者で異なります。

わかりやすいように階段を例にとって具体的に行いましょう。深化の際は階段を下向きに降りて行くことで催眠を深くして行きました。今度は逆に階段を登ってもらえばいいのです。

上向きの石段「あなたの目の前に階段が見えます」

「今度の階段は上向きに登っています」

「あなたは私と一緒に階段を登って行きます」

「一番上まで登って行くと、あなたは催眠から気持ち良く目を覚まします」

「気持ち良く」とか「すっきりと」という言葉を入れておくことはとても大切です。

次からの催眠誘導を容易にするからです。被験者が「気持ち良く眠った」とか「すっきりと目が覚めた」感覚を持てば不快感が残りません。

催眠を深化させる際には最後に「底につきます」とか「階段を降り終ると、深い催眠に入ります」といった言葉を用いました。

その部分を「階段を上がり終わると、あなたはすっきりと目を覚ます」に入れ替えるようにしましょう。

あとは、深化とは逆向きに十からゼロに向かって数えましょう。

「階段を一段づつ上がって行きます」

「十、九、八、七、六、五、あと半分です」

「四、三、ほら、意識が段々はっきりしてきました」

「身体の力が元に戻ります」

「二、ホラ、瞬きが増えます。目がパチパチしますよ」

「一、あと一つで目を覚まします。ゼロ!」

最後の「ゼロ!」の時に手を大きく叩いたり、指をパチンッと鳴らしたりするとより意識が明確になります。