正しい催眠誘導の方法 / 第十五章

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階段や電車を利用して深化法を行う

テンポを上げ、駅を加速して通過する(84ページ)

数字 ゼロ私はこの後、数字を数えます。ただし単純に数字を数えるのではなく、イメージを利用して通過して行く駅の数を数えるのです。

基本的には階段の時と同じです。

電車とかバス、船などを利用する場合は窓から見える風景とか駅名、風とか空気の流れ、花の香りとか打ち寄せる波の音などを使うといいですね。

人が乗り込んでくる音とか雑踏の雰囲気、靴音などを使ったこともあります。

「眠ってはいけないと考えているのに、身体が揺れるたびに眠くなって行きます」

「電車はどんどん先に進んで行き、次の駅へと到着します」

「駅に到着するたびに、人が大勢乗り降りしています」

「起きて降りようと思っているのに段々、眠気が我慢できなくなってきました」

その後、眠ってはダメだと思っているのに、眠気が我慢できない、といった部分を暗示として強調します。

「二つ目の駅から、あなたの頭はどうしても上に持ち上がらなくなってきます」

「もう眠くて我慢できません」

「起きていなきゃ。と思っているのですが、どんどん眠くなって行きます」

ここまで緊張と緩和を交互に繰り返してきましたが、この辺りから急速に緩和に傾く指示を出します。全身を弛緩させて副交感神経優位に働かせて眠りを深くさせるのです。

「もうすぐ三つ目の駅につきますが、意識が遠くなります」

「もう人が乗り降りしていることさえわからなくなってきました」

ここからテンポを早くして「駅」を通過させます。

前半の倍くらいのスピードであると考えればいいでしょう。

「四つ目の駅につきます。五つ目の駅を通過しました」

「六つ、七つ、八つ、電車の速度が上がってきました」

「もうすぐ十個目の駅を通過します」

「最後の駅を通過する時、あなたは深い催眠へと入って行きます」

「もう、私の声しか聞こえなくなってきます。九つ、さあ最後の駅を通過します」

「十・・・、深い催眠に気持ちよく入って行きます」

最後に「これは催眠である」との宣言を入れることを忘れないようにしてください。

言葉遊びのように感じるかも知れないですが、実際の誘導においてはこの一言があるかどうかで大きな変化があります。

眠ることのみを強調すると指示を受け付けないことがあります。こちらの声を聞いてもらうためには単なる睡眠ではなく「催眠である」ことを強調する必要があるのです。

声のトーン(印象)や話し掛ける距離なども誘導の際、重要なポイントになります。テキストと一緒に送られたビデオをなど参考に繰り返し練習してください。

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