正しい催眠誘導の方法 / 第十五章

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階段や電車を利用して深化法を行う

深化法の手順(76〜85ページ)

身体を揺らしながら力を抜いてゆく(76ページ)

基本的に深化法は可倒テスト(可倒テストの手順、57ぺージ参照)か、

正しい催眠誘導の方法 / 第十一章
可倒テストの手順(57〜59ページ)可倒テストのまとめ(57〜58ページ)可倒テストの注意点(59ページ)

凝視法(凝視法の手順、64ページ参照)の後に行うと考えてください。

正しい催眠誘導の方法 / 第十三章
凝視法の手順(64〜67ページ)凝視法を行う時の語りかけ方と参考例(64ページ)集中力を高め、施術者の言葉に反応させる(65ページ)視線誘導の参考例(66ページ)目の綴じ方、額への触れ方の参考例(67ページ)

事前催眠の一種である筋反射などを用い、身体に反応を起こします。催眠の実際例や利用例などを引用して働きかけを行い、被験者との信頼感を増した後で、ここから紹介するような方法を用いて深化(催眠を深く)させて行きます。

ビデオでは凝視法の後に、そのまま深化法に移行しています。テキストと合わせて参考にしてください。

被験者に対しこういった指示を与えます。

「私が三つ数えると、あなたの身体が左右に大きく揺れます」

「一つ揺れるたびに身体の力が気持ち良く抜けてきます」

すると被験者の身体は左右に揺れ始めます。被験者によってスピードの早い遅いや振幅の大きさの違いこそありますが、身体は左右に揺れます。

ある程度、身体の揺れを確認したら、今度は次のような指示を与えます。

「今度はあなたの身体が前後に動き始めます」

「息を吸うと後ろに吐くと前に身体が大きく揺れる」

「身体の力が気持ち良く抜けて行きます」

「そのうち身体が支えられないくらいに力が抜けます」

人間の身体はその構造上、息を吸うと後ろに動くような構造になっています。

人間は細い首だけで重心をささえています。ですから、ちょっと緊張が緩むと簡単に重心は崩れて頭の重さを支えきれなくなります。格闘技者が首を重点的に鍛えるのはそれだけ重心が不安定で首が弱点となるからです。

電車などで居眠りをする人の身体の動きを観察するとよくわかりますが、息を吸った時点では頭が後ろに動きますが、次に息を吐くと頭が前にガクッと下がります。

「息を吐くたびにあなたの頭が前に動く」といった指示(暗示)はかなり有効に働きます。

催眠のテキストや教本で呼吸に注目するように解説している本は少ないようですが、催眠誘導を行うにあたって被験者の呼吸を読むことは一般の方が考えるよりも遥かに重要になります。

私は合気道や空手、剣道等もやっていましたが呼吸を読むというのは格闘技でも常識です。

セールスとか営業でも相手との会話に挟む間は大事になってきます。「ミラーリング」つまり相手の動作や仕草を真似したり合わせることで、同意や賛同を得られるケースもあります。

その道の達人と言われる人は、知らず知らずにやってるだけなんですよ。

「大丈夫、身体の力が抜けたら私が支えます」

「側にいますよ」

力が抜けると後ろか前に身体が倒れます。その方向はどちらでも構いませんが、被験者に必ず施術者が側にいて、いつでも支えてあげられる体勢が整っていることを教えてあげてください。

後にそれが信頼感となって働きます。被験者が安心できるようになれば催眠は更に深化して行きます。被験者の身体の力がある程度抜けて、弛緩(筋肉が弛んだ状態)を作り出せたらそこまでは成功です。

参考例1

深化法 椅子で身体を支える

参考までに、ここに被験者の身体の力が抜けた所の写真を掲載しておきます。

被験者が倒れないようにこちらが支えた上で、次の暗示(深化法)に移行する所です。

私が被験者の身体を無理に揺らしているのではないことを理解してください。

被験者本人が「催眠にかかりたい」といった心の準備や意志を持たないと身体は揺れません。施術者の指示する通りに意識を任せられる信頼関係をここでしっかりと作っておきます。