2017/12/11改訂
1998/03/31初稿
このコーナーがこの場所に書かれた背景
このコーナーが最初に書かれたのは1998年03月31日です。私がまだ開業して間もない頃ですね。ホームページを公開して1年ほどですが、すでにTBSの深夜番組等に出演しています。
関西ではネットの関係で放送されていなかったのですが、そういった番組のおかげなのかメールでの問い合わせが一気に増えました。
ただし、ありがたいものばかりではなくてですね。送られてくるメールには催眠を勘違いしているというか、あからさまな犯罪依頼があったり。そのうちの幾つかはあまりに内容がおかしいのでサイト上で注意事項を載せたり警告して釘を刺すことにしました。
「応用と実践」のコーナーに面白くもないというか、ちょっと硬い内容が増えたのはそのせいです。
申し訳ないですが、ネットやスマホが発達した2017年でも状況は変わっていません。むしろ一部は悪質化しています。催眠の公共団体だだの霊視が出来る前世が見えるだの、あなたのお子さんを催眠で操って勉強ができるようにしてあげるだのと言い張っている連中がいます。
ネットには相談者を騙そうとか悩みに乗じて女性を口説こう、子供を攫おうとしている連中がいます。
SNSやTwitterで自殺志願者を誘い出して殺してしまうような悪質な事件も相次いでいるため、このコーナーも加筆修正してそのまま残すことにしました。
ここからは「私の子供に催眠をかけて親の言う通りになるようにしてくれ」などと安易に言ってくる親に憤りを感じて書かれた文章です。
今後、どこかに依頼しようとか子供の教育問題をお考えの方はこのコーナーを参考にしてください。
子供を「操る」のは催眠でも教育でもない
初級テキストの基礎講座にも書きましたが、催眠とは何でもできる簡単で便利な道具ではありません。
基礎講座の巻末の「禁止暗示について」のコーナーでも書かれていますが、安易に自分の子供や友人、彼女に催眠をかければトラブルが何でも簡単に解決すると考えることは間違いです。
催眠で主に行えるのは原因の特定です。なぜ、そのようなトラブルにあなた(被験者)が囚われることになったのか、その原因や要因を探ることにあります。
その上でカウンセリングや方向修正、行動抑制を行いストレスを軽減し、本人が苦しい状況を抜け出す手助けをする必要があります。そこを曲解して強制的な暗示や催眠、相手の意思や環境、原因を無視した勝手な方向づけなど行うべきではありません。
私の場合、親御さんが勝手に「この子を催眠を使って、私の言う通りにして欲しい」などと言われても絶対に行いません。あまりに失礼ですし、子供の人格を無視していると思います。
「私の言う通りにすればいい」
「私の言ったとおりにすれば人生はバラ色だ」
「親の言うとおりにしたら幸せになれる」
「こうしておけば、絶対に失敗しない」
など、いったい誰が決めたのでしょう? 社会常識や通念は刻一刻と変化します。
幸せの意味とか安定なども一律ではないでしょう。たった数年前まで安定企業、安心出来る職種と言われていたものがあっという間に斜陽に傾くこともあります。
いい大学や学校を出ても社会情勢の変化で就職すらままならないこともある。歳をとってからいきなりリストラに遭うこともある。生き残りをかけて会社側も大幅な再建策に取り掛かりますから人員削減や統廃合、買収も相次いでいます。
東京三菱UFJ銀行(2018年に東京の文字が屋号から外れました)が既存店舗を大幅縮小して9500人も人員削減すると言い出しています。
2017年の時点で、東芝やSHARP、日本航空なども倒産の憂き目にあっていますよ? 大手企業でそういったトラブルとは無縁の筈でした。神戸製鋼や三菱マテリアルですら不祥事に揺れています。
この頃に私にメールを送ってきた親御さん達は覚えていますか? あなたがたが1998年に当時憧れ、子供たちが幸せに暮らせて安定した職場だと言った企業がそういった状態になっています。
誰か予想できた方がいらっしゃいますか? 日本が高度経済社会に入って、右肩上がりの成長を続けてきた時代に東芝やSHARP、まして日本航空や三菱を眺めてきた世代には到底予想不可能だったと思うのですが・・・。その予想ができた方なら今頃、大金持ちですね(笑)。
これはこのホームページや私のテキストに何度も書かれていることですが。ただ誰かに従う事を強制されて育った子供は自主性や独創性を失い、突発事故やアクシデントに弱くなるんですよ。
厳しい社会情勢、急速に変化する現代社会に対応しきれません。
それは「指示者」「命令者」が親御さんであっても同じことです。
個性と自立が、その子供の将来を守る
「私にまかせとけばいい」といった指導や教育は本人の自立を妨げます。
「私はこの子の親だからいい」のではないんですよ。親だからこそ危うくなるのですが、それを理解していない方が多いようですね。
親が嫌いな子供というのは珍しいですよ。少なくとも幼い頃、親が愛情を注いで育てたなら母親や父親を大嫌いになる子供なんていません。それは裏を返せば「親だからこそ」子供に慕われますし、親に愛されたいとか嫌われたくないという強い感情を含んでいます。
要するに、親の影響力は学校の教師程度のものじゃありません。圧倒的なんです。
自立心が芽生え自分で何かを判断し、反抗期を過ぎた子供なら大人に近づいています。
精神が成長して自分の「防隔」が完成するまでは、注意が必要なんですよ。親の何気ない一言が強烈にショックを与えたり、反対に励みになったりします。
嫌いな人の影響はそれほど受けませんよ。幼子が親を愛するのは自分の庇護者であり、誰かからの愛情がなければ簡単に死んでしまう弱い存在だからですね。これについては「前世は本当にあるのか?」のコーナーでも解説を加えています。
「子供は親のいう通りにしておけばいい!」とヒステリックに怒鳴る親を見るたびに私は「そうではないんだ」と考えます。
親は間違いなく子供よりは先に死にます。事件や不慮の事故、何らかの病気で死なない限り普通は親のほうが先に逝くんですよ。勘違いしがちですが子供は親の所有物ではありません。所有物のように扱って先にその所有者、親が死んでしまったら? 子供たちは宙に浮きますよ。
確かに間違った方向に子供が進もうと考える時「そちらは危ない!」と教えるのは親の大切な勤めです。ですから私としても社会経験の少ない子供を心配したり、親が何らかの道筋を見つけようとすることの全てが間違いだとは思っていません。
ですが、それでも子供本人が「自分で考える能力や判断力」はどうしても必要です。
危険を回避する能力と言っても良いでしょう。親や大人は「やってはならない」ことを教えると同時に「なぜ、それをやってはならないか?」を一緒に考え、子供たちに悩ませる義務を負うのです。
寿命や順番を考えれば通常は親が先に死にます。親があまりに過保護で子供を甘やかして面倒をみてしまったら? その子は自立出来ますか?
子供は親の所有物ではないと書いたのは。結果として所有物のように扱われた子供は所有者がいなくなった時にうろたえ、別の所有者を求めることになるからです。
親なら善意もあります。子供の幸せを願っての真摯なアドバイスもある。ですが、それが第三者とかまったく無関係の人達なら? 親身(しんみ、親の立場で身内)になってくれますか?
多くの悪意やトラブル、突発的なトラブルが待ち受ける社会において、誰かに妄信的に従うことを先に教えてしまうと危険ですよ。取り返しがつかなくなります。
ただの社畜や奴隷と同じ。レールからはみ出す事もできません。そういった人が贈収賄とかデータ改ざんなどに巻き込まれ、上役から責任を押し付けられます。
社会には多くの悪意がある。運良く悪意に当たらなくても派閥争いや出世競争はある。自分の家族とか立場を優先することになりますから、自立心や自主性、自らが考えて何かを行うことが出来ない人に手加減なんてしてくれませんよ? 社会は厳しいのです。
そのような仕事や生き方しかできない人は徹底的に利用され、使い捨てにされます。
独自の判断力とか独創性、広い意味では個性とか独自性は子供の頃に育まれることになります。私に黙って従えと叱りつけることは簡単ですし楽ですよ? 手間もかかりませんし。
それは親の手抜きです。本来なら「それをなぜ今、行わなければならないか?」を粘り強く子供に語りかける必要があるのです。
子供の自主性や自立性を無視して「親の言いなりになれ!」は結果として弱い人間しか作りません。