ラマーズ法は催眠の応用

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ラマーズ法もトランスの一種

ラマーズメソッドも変化してきている

ゆりかご

この方法の初期の方法、つまり「パートナーに手を握って貰う」ようにする、とか「呼吸を一緒にする」ことで、痛みをパートナー(男性)と「分かち合う」などを考え付いた人は、天才ですね。

一説にはアメリカのインディオから教わった人が始めたと言われています。

最近になって解説や理解が進み、催眠と重なる部分がわかってきたんですよ。

初期のラマーズ法ではパートナーの男性に手を握ってもらうことが絶対条件でしたが、現在は違ってきています。シングルマザーなども増えましたし、女性の社会進出も著しい物があります。

今は必ずしも男性の手(夫の手伝い)を必要としない方法も模索されるようになりました。

意識の変革に他人の手の「温もり」を用いるのは、催眠においても有効な手法です。専門用語で言えばパス(接触法)と言われるもので私はよく用います。

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ですが、それが必ず夫でなければならないとは限りません。もちろん、信頼する家族や夫であればそれはそれに越したことはないでしょうが、看護婦さんや医者、友人や兄弟であっても基本的には構わないはずなのです。

もっと突き詰めれば、自分自身でも練習次第では行えることになりますね。

これはテキストに書かれた「他社催眠と自己催眠」(自己暗示)にも繋がります。

指導する私からすれば、少々やっかいなのが「私は男」なんですよ。

残念ながら「ちょっとラマーズ法を調べてみたいから妊娠する」訳にはいきません(笑)。実践主義の私は、色々なものを自分で試すことが多いのですが、第三者とか妊婦を使って実験する訳にもいかないので。

もっとも自己催眠で痛みが消えるのかどうかを確かめてみたくて、親指の爪を自分でめくった、腕に針を刺してみたくらいのことはありますよ(笑)。

人間の極限、精神の限界を知ってみたくてスクワットを2時間(3千回ほど)続けてやって倒れたこともありました。

初期の頃でしたので知識と経験が足りませんでした。体力と精神力はもったのですが、途中で脱水症状を起こしてしまいまして・・・。水分が抜けるので体重が2kgほど落ちました。

まあ、これは笑い話ですが。

おそらく、出産の「痛みとか苦しみ」はそんなものとは比較にならないでしょう。

指導する側の私としては、どんなに努力したとしても出産の痛みや苦しみを知りません。

そこが指導する際のウィークポイントとなっています。

ラマーズ法に関しては男性ではなく女性の指導員、カウンセラーのほうが向いています。

自己改革の難しさ

ラマーズ法の中に「催眠の技法、応用があること」は間違いないと思います。ラマーズ法はですね、自己催眠と他者催眠のちょうど、中間くらいにある、と考えれば理解し易いでしょう。

自己催眠からは微妙にズレます。そこに他人が介在するのですから・・・。

自己催眠として取り組むのであれば、他人の手を握るとか呼吸を合わせるは必要なくなります。

ヨーガの導師と同じような方法で自分一人で腸を蠕動(ぜんどう)させたり、痛みを消すトレーニングに推移していると思います。

厳しい戒律の中で長年に修業を積んだお坊さんでさえも、護摩焚きの炎で火傷をする方がいます。

反対にどう考えても火傷しそうな位置で平気で修業や勤行を行って長時間、念仏を唱える方もいます。それで怪我も火傷もしない方もいるのです。

意識改革とかホルモンの分泌、自己催眠は個人差があってそれなりに難しいのです。

だから「他人の手」や「ぬくもりを借りる」のです。呼吸を整え「一緒に苦しんでもらう」ことになります。新たな命が生まれる、その素晴らしさとかその意義を両者が共有することで夫婦の絆を強め、幸福ホルモンの分泌量の増加を促し、痛みを消して子供の誕生の喜びを分かち合うのでしょう。

この方法を考えた人は天才だ、と私が思うのは「痛みが消える」ことにではなく、これを夫婦(パートナー)との関係に置き、痛みを相互に分かち合う手法にしたことですね。

これなら誰にだって成功する可能性が残されます。

特殊な人間、例えばお坊さんやヨガの導師のような長期間、厳しい修業を積んだ人間ばかりではなく、一般の主婦や普通の妊婦にできる方法に拡大したことが素晴らしいことだと思っています。

繰り返しますが、自己改革において「自己催眠」や自己暗示「だけ」の利用はかなり難しいのです。

私は爪を剥がそうと平気ですし、指をペンチで切るくらいはできるかもしれません。奥歯をペンチで抜く、足の骨折くらいでは痛いと言わないかもしれません。

まあ、色々実際にやったことがあるんですよ(笑)。

要するにその程度ならなんとかなる。格闘技や自己暗示を強烈にやったので、痛みや苦しみを我慢できる傾向が強く、腕立て伏せを数百回連続でやったり、長時間、片足で立ち続けたり断食を数日行う程度はできます。

足の指が折れて膨れ上がっている時も仕事には行きましたし・・・。それくらいなら「我慢」できますし、痛みを打ち消すことも可能です。

が、麻酔も効かないほどの痛み、例えば尿路結石で救急車で運ばれるような事例もありましたから、自己催眠だけで全てを片づけるのは不可能でしょうね。

練習は誰かと一緒に

自己催眠は自分自身で自己の改革を目指す物です。よく勘違いしている人がいますが、だからと言って自己催眠は「全部、一人で」行えばいい、と言う物ではありません。

導入部分は、誰かと一緒に練習しても構わないんですよ。

ラマーズ法の優れている部分は、出産を控えて不安な気持ちも抱えている妊産婦に、同じような環境にある女性の姿を見せ、また、一緒の呼吸法や観念動作を練習するようにして不安感や痛みを「同じ環境にある人と共有する」部分にあります。

特に初産(ういざん)を迎えるお母さんにはかなり良い方法だと思います。皆、始めての体験は不安になります。まして、出産は人生においても一大イベントです。

昔は出産時の死亡例は極めて高かったんですよ。今も発展途上国では亡くなる方がたくさんいらっしゃいます。医療制度やシステムが発達した日本では忘れられがちになっていますが、そんなに簡単でも安全でもありません。大きなリスクも伴います。

最初の現象ありき、です。理屈や解説は現象の後にくっつくんですよ。痛みが軽減し、少しでも楽になる人が増えるならばそれでいい、と私は思っています。

誰かの手助けを得てそこから痛みを軽減し、自分の生活や出産に活かせるならばこんなに素晴らしい話はないと思います。ラマーズ法においては副作用などの報告は殆どありません。

どうしても駄目な場合は通常の麻酔や痛み止めを用いることができます。

私は医者ではないので自力でやるしかないですが(笑)。入院中の病院なら対処する方法はいくらでもありますよ。

ラマーズ法を用いても痛みが軽減しない、出産になった場合に難産である、逆子や痛みがあまりにも激しい場合には帝王出産に切り替えてくれる病院もありますよ。

ラマーズ法について練習会を行っている施設や病院は各地にあります。興味がある方や今後、出産を控えている方はぜひ、問い合わせて下さい。

このコーナーを読んでいる世のお父さんも、嫌がったり面倒くさがったりせず、一緒に練習に励んでくださいね。

ラマーズ法の本質は「一緒に出産を手伝い、喜び、痛みを分かち合おうとするパートナーがいるかどうか?」にかかっているのですから・・・。だから一緒の取り組みとなっています。

自己暗示や潜在意識に働きかける部分がありますから。練習をサボって本番にだけ立ち会えばいいってものではないですよ? 先にレクチャーを聞いて一緒に呼吸法を練習する所からが大事。

何も私のように自己催眠を極めて爪を剥がせとか、腕に針を刺せとか倒れるまで3千回ほどスクワットをしろとは言いません(笑)。

自分の奥さんと子供を愛おしいと思い、一緒に痛みを分かち合おうと願い、くわしいことは何もわからないままでもいいですから時間を割いて一緒にいること。

そのあなたの優しさが奥さんを励まします。将来の家族を支える力、子供さんが無事に生まれてくる勇気や思い出に繋がってゆくと思います。

狭い範囲で考えないで

ラマーズ法で痛みが消えた主婦の方はその後、私の催眠誘導に気持ち良くかかりましたよ?

おかしいなー?

と頻りに頭を捻っていたのが、印象的でした(笑)。

私にすれば催眠にかかるための基礎トレーニングが終わっているのですから、催眠にかかった経験のない人を誘導するよりは遥かに簡単だったのですが、御本人からするとやはり不思議だったのでしょうね。

その方にも、後でそういった事情(その方の出産した病院が私との繋がり)を説明すると、彼女にも朧げながら理解できたようです。

後で説明する、というのがとても大事なポイント。

先に詳しく説明してしまうと身構えてしまったり偏見が拡大するおそれもあります。

院長とは私がこの仕事を初めた初期の頃からの友人関係で。かなり親しかったのですが(笑)。

私が嘘を言っているとか悪い人だと考えている時では、下手に繋がりや関係性を晒したほうが信頼性を損なったり誤解や錯覚が広がるでしょう。そうなると医療施設にもご迷惑となります。

「催眠だ!」と変に身構えてその部分にだけ変に執着したり反応するから勘違いするのです。

当然ですが怖く感じたり拒否反応も起こる。

触れ合ったことのない技術や知識に偏見があったり、拒絶反応が起こるのは当たり前ですよ。それをうまく乗り越え、相手に上手に理解してもらうことも「催眠や心理学に関わる者」にとっては仕事の一部でしょう。私はそう捉えています。

これは催眠術で「女性を脱がせる」「感じさせる」などといった番組が頻発した時代や、おかしな漫画、事実関係を調べもしないで書いてある小説、ずさんな取材内容のまま報道してしまった番組の影響なども根強いのかもしれませんね。

催眠とは本来、そういったものではありません。社会に心理学や催眠の応用の技術はたくさんありますよ。一般の方が「催眠や心理学の応用だ」と知らないだけです。

これはほんの一例に過ぎません。

催眠を学ぼう、心理学を齧ろうという方は、狭い範囲で考えず広く物事を見ればわかりますよ。自分の視野や広く広く持ちましょう。知識の幅を狭めるのは偏見です。

心理学を学ぶものが最初から様々なものを色眼鏡で見ていたのでは面白くないですよ。

広い範囲で物事は考え、観測しましょう。

知識を広げるのは好奇心です。好奇心は「不思議だな」「面白いな」と思う心が育てるのです。自らの好奇心を満たすため、偏見を持たずできる限り幅広いものに目を通し興味を持ちましょう。

その興味、好奇心こそが、技術や意識を高めると思います。

このコーナーの初稿は2000年、私が開業当初に書いた内容です。年数が経過しましたのでサーバー移転の際に読みやすいようにレイアウトと一部に加筆修正を加えてあります。

2000年04月15日 初稿

2018年12月11日 加筆、修正

谷口信行

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