催眠術師のひとりごと / 第四章

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カウンセリングと自立の意味を

相談者を見下ろす必要はない(110ページ)

天秤 アイコン自分も同じ人間で「いつトラブルに見舞われるかもしれない」と考えた上で勉強を重ね、 予防や経験を重ねることが私は重要なんだと思います。

自分には関係ないと考えたり「私は治す側でコイツらは皆、おかしいんだ」みたいな一段、高い所から見下ろそうと考える人間は間違っていると言えます。

カウンセリングや催眠を学ぶ人の中にはね。そういった歪んだ感覚の人も結構いるんですよ。 医療関係者の中にも残念ながらそういった人は実在します。

考えてみれば随分と傲慢な話ですが・・・。

自分はそういった精神的な悩みとは関係ないし無縁だが、そういった連中を「治す」 くらいはできるって? なぜなら私は「医者であり専門家だからだ」って? 

私はそのような感覚、また「先生」を認めることは絶対にできません。

恐いもの。私は実験動物ではないから。

少なくとも私はそのような先生に自分自身や家族、恋人の面倒を見て欲しいとは思いません。その人にどんなに知識があり、どんなに素晴らしい経歴や知名度があったとしても私はお断りです。

相手も「自分と同じ立場の人間である」と理解できる人が、他人の相談にはのるべきだ、 と私は考えています。

自分にもそういったトラブルがいつ降りかかるかもしれない、と思う人間は備えを怠りません。自分や自分の家族、恋人に対して行うのと同じように 熱心に、そして治って欲しいとの思いを込めて研鑽を忘れないでしょう。

自分を特別な人間なんだと思ったり、相談にきた相手を「おかしな奴なんだ」などと思う人には向いていない、というよりも催眠やカウンセリングなどやって欲しくない、と私は思っています。

相手の置かれている立場や痛みがわからないのに、相手の問題の原因がわかる筈もないでしょう? 「自分には関係ない」と思っていれば相手の立場には決して立たない。

一段高い所から相手を見下ろすような感覚だけが残ります。

私はカウンセリングの基礎は決して技術だけだとは思わないんです。相手の立場に立ち、相手の気持ちを汲むことだと常日頃から大事だと思っています。

その気力や勇気が湧かないとか、相手の痛みから遠ざかるようなら一線から退くべきでしょうね。