一致してしまう証言と証拠
夢の中で「誰かを殺してしまう」というのは別に珍しいことでもないのですが・・・。
心理学の始祖で「潜在意識」という用語の生みの親であるジークムント・フロイトは「夢とはその本人の願望やストレスを軽減させる、または実現させるために現れるものだ」といった解説を加えています。
夢判断という著書を出して当時のベストセラーになっているくらいです。1900年に書かれたものなのですでに100年以上前の本ですね。
現在の心理学でも、夢で誰かを殺しているから現実にもやるかもしれない、危険な兆候だと受け取ることは殆どありません。
ただし、白日夢というかご本人が意識を失った状態なのにしっかり目を見開き、前世のことを滔々(つとう)と話し始めるというのは前代未聞でしょう。
まさかというのが、当時関わった全員の印象です。当初は誰も信用してはいませんでした。
それをすぐ素直に信じるならおかしいでしょう? 急に様子がおかしくなった彼に「いったい何があったんだろう?」と皆でうろたえただけです。
彼が男性が好きだったり付き合っているということもご家族は知りませんでした。いきなりのカミングアウトだったんですよ。驚くなというほうが無理です。
もちろん、私も当時はそのことを誰にも話していません。ウチに相談に見えたことも伏せていました。ご家族や実演を行った店も含めて、個人のプライバシーについては一切表には出していないのです。
ご家族はやはり、病院に連れてゆこうとも考えたそうです。
その話を家族から打ち明けられた時、私は催眠が悪かったんだろうか? とも考えました。まだ開業して間がなかった頃ですから・・・。
以前に付き合っていた女性が多重人格で苦しんでいた時、私はある言葉を投げつけられ驚くと同時に悩んだ経験があったからですね。
「私がこんなに催眠で苦しんでいるのに!」と。
まあ実際には違うわけですが。催眠で症状とか状態が「顕在化」することで確かに表には出てきます。一時は苦しんだのですが、その後は徐々に改善に向かっています。苦しめているのは私や催眠ではなくて「彼女自身の」過去やトラウマであるわけで。
私が虐待を加えたわけではありません。
催眠をかけていない、かかっていない状況でも「多重人格」が消えて無くなるわけではないので。当事者は私が側にいるから発覚、発症したように勘違いしますが、実際にはこれまでにもあちこちでトラブルを引き起こしていた可能性が残るのです。
別人になった彼の語った言葉の中には妙な符合がありました。
「このことは倉の中にある家系図と書き付けに記してある」と告げて、彼(前世の彼です)は消えたのです。
まあ、消えたというのは語弊があって幽霊ではないですから、目の前から姿が消えたのではありません。元の彼に戻っただけ。
あまりの豹変ぶりにまるで憑き物が落ちたかのような印象をご家族が受けただけです。
半信半疑ながら家族が倉の中をひっくり返して探すと確かに、古びた長櫃(ながびつ)の中から虫食いだらけの書き付けと古い家系図が見つかりました。
そんなこともあるのか?
読めませんよそんなもの(笑)。古い文章で文体ですし、筆で草書(崩した書体)で書いてありますから、現代人に読める筈もありません。
知識人で聡明であられたその家のお祖母さん(当時、お祖父さんはすでにお亡くなりになられていました)でも、読むことができなかったそうです。
仕方なく出入りの業者(書画や骨董の鑑定を行う専門家)を呼び寄せて、書かれてある内容を読んでもらうことになったそうです。
私は残念ながら、現実主義者です。
私自身、数多くの神秘体験や不思議な霊体験をしています。ウチの母方は巫女さんの系譜です。その系統か血筋を色濃く引いたのか、死ぬ人は事前にわかります。
母親も私と同じタイプです。テレビ番組をみていて亡くなる方を当てたのも、仕事や事業で失敗したり失脚する政治家を当てたのも一度や二度ではありません。
たぶん、占い師としてそっちで身を立てたほうが儲かったでしょう(笑)。
(社会一般における)常識では説明がつかないような出来事や事件に遭遇してますし、催眠などという、一般の人には馴染みが薄くて「嘘だ!」「インチキだ!!」などと言われがちな内容や技術に関わっていながら、それでもそれらを簡単には受け入れることができません。
どちらかというと、むしろ否定的ですね。
何を見ようが当てようが、信じられないものは信じられませんし恐いものは恐いからです。それが普通でしょう。私も普通の人ですよ。
ただね、あまりにもはっきりとした証拠が見つかってしまうと、否定できなくなってしまいます。彼の証言に誤りはなく、書き付けと家系図には彼の言った通りの内容が書かれていたのです。
当主の名前もお手討ちになった男性(部下)の名前も、自分の妻、子供の名前、父母の名前、年代も誤りはありません。これには関わった全員、背筋がゾーッとしました。
今を遡る(さかのぼる)こと何百年前、第何代当主の名前、なんて誰も知ってる筈がありませんよ。家族や親族は皆、そんな書き付けや家系図が残されていることすら知らなかったのですから。
現代では読むこともできないような文字です。専門家でないと解読も無理でした。ですから子供の頃に倉に入り込んで本人がそれを読んだ、とか、誰かにそれを聞かされて育ったなどはあり得ないのです。
つまり前出の「ブライディ・マーフィーを探して」などのケースとは明らかに異なってくると思われます。
信じたくはないのですけど・・・
私がこれまで自らのホームページにこういった話を載せなかったのは、催眠や私のホームページをオカルトと一緒にされるのを嫌ったからです。
ネタはたくさんあるんですけどね(笑)。掲示板などに書き込むと喜ばれます。なにしろ実体験ですから・・・。
へっぽこ芸人が売れたいと思って作り出す半端な怪談話よりよほどリアリティもありますし、驚く話しもありますよ?
私も匿名でなら書き込みすることがあります。
よくいるんですよ。オカルトと超能力、心理学と占い、本来、催眠とは違う筈のものを、全て一緒くたにしてしまう人が・・・。中には気功なんてのもあります(笑)。
私からすればそれぞれは独立した物で、知識や技術の一部が重なることがあったとしても、まったく同じ扱いにしてはいけないと思うのですが・・・。
私は実体験として確かにそういった経験は複数あるのですが、それらをどんなに懸命に綴った所で意味がないでしょう。何事にも適材適所、雰囲気や空気を読む必要はあります。
このホームページや催眠がオカルトと一緒にされたり、何かの勘違いや錯覚、誤解を生じさせるのは困ります。ですからこれまでは一切、載せないでやってきました。
こういった具体的で特殊な事例に当たるとなんとなく信じざるを得ない部分が確かにありますね。
私だけが見たとか聞いただけなら「間違いないんだ!」とは言えません。一人じゃだめでしょう。世の中には大嘘つきとか目立ちたい、注目を集めたい、金儲けをするためにだけ前世やスピリチュアルなものを利用しよう、そう偽ろうとする連中が大勢いますから。
複数の人がその状況に関わりはっきりと証言できる人がいたり、証言を補強する証拠、今回なら書き付けとか家系図でもない限り信じられないのが当たり前です。
その状況(いわゆるトランス状態)に陥ったご本人は自分が語った内容をまったく覚えてはいませんでした。それが余計にびっくりしました。家族だけがその状態を目撃し書き留めました。
本人どころか家族もまったく覚えていないのに、蔵に仕舞ってあった書き付けや家系図にの場所ついては正確に言い当てたのです。不思議に思いませんか?
彼はすでに地位と財産、肩書きを手に入れていました。通常であれば、私のような人間? が簡単に出会ったり触れあうことなどない人だと思われます。
ですから、そのような内容を私に偽る必要はないと思うのですが・・・。
芸人志望で目立ちたがり屋の貧乏人とか、金目当てでそう偽る詐欺師や占い師とは立場が違うのです。ましてその頃、私はまだ無名で事務所こそ持っていたものの、テレビ番組にも出演してませんよ。
私は未だに信じられないというか、なぜ、ああいったことが起きたのだろうと不思議に思っています。